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主要スタジオの戦略と、観客の需要に“ズレ”あり?CinemaCon 2026の総括から浮き彫りになったハリウッドの問題点と、新たな3つの潮流

  • 2026.7.6

北米では、夏休み突入間近の5月最終週末のボックスオフィス速報に、業界中が騒然とした。1位はA24配給の“リミナル・スペース(本来人が行き交う場所が閑散としている状態)”ホラー作品『バックルームズ』(9月4日公開)。北米週末興収8,140万ドル(公開当時のレートで約129億円)、全世界興収1億1,800万ドル(約188億円)という数字は、A24史上最大のオープニング記録となった。前記録保持者だったアレックス・ガーランド監督『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(24)の2,550万ドル(約41億円)を3倍以上上回る快挙だ。2位は5月15日に公開された低予算ホラー作品『オブセッション 災愛』(7月17日日本公開)。第2週で前週比39%増、第3週でさらに14%増という、ホリデーシーズン以外では『E.T.』(82)以来となる興収カーブを描いたことが話題になっている。製作費は『バックルームズ』が1,000万ドル(約16億円)、『オブセッション』が75万ドル(約1.2億円)と、2作合わせても1,100万ドル弱(約17億円)。両作の監督はいずれもYouTube出身のクリエイター、しかも30歳未満の“Z世代”ど真ん中である。

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16歳で発表した短編動画「The Backrooms(Found Footage)」から始まった、ケイン・パーソンズの⻑編監督デビュー作『バックルームズ』 [c] 2026 Backrooms Rights LLC, PC Films, LLC. All Rights Reserved.
16歳で発表した短編動画「The Backrooms(Found Footage)」から始まった、ケイン・パーソンズの⻑編監督デビュー作『バックルームズ』 [c] 2026 Backrooms Rights LLC, PC Films, LLC. All Rights Reserved.

興味深い符号もある。今年1月にYouTubeクリエイター、マーク・フィッシュバック(マークプライヤー)監督による『Iron Lung』(26)が独立系配給による劇場公開で予想外のヒットを記録したのに続き、『バックルームズ』『オブセッション』と、YouTube出身の若手監督による作品が連続して興行記録を塗り替える展開となった。そして2029年の第101回からは、アカデミー賞そのものがYouTubeでの全世界無料配信へと移行することがすでに発表されている。2028年の第100回がABCで放送される最後の式典となり、その翌年からは映画の最高峰を讃える式典がYouTubeで世界中に届けられる時代に入る。映画の作り手と、その栄誉を伝えるプラットフォームの両者が同時にYouTubeを軸として再構成されつつあるのは、偶然ではなく時代の表れと見るべきなのかもしれない。

CinemaCon 2026の主な争点となった“劇場独占公開期間”

4月13日から16日にかけて米ラスベガスで開催された映画興行のコンベンション、CinemaConの時点でこうした展開を予測した業界関係者はほとんどいなかった。象徴的なのは、『バックルームズ』を配給したA24はそもそもCinemaConでプレゼンを行っておらず、『オブセッション』配給のユニバーサル・ピクチャーズ傘下のフォーカス・フィーチャーズは、同作を自社プレゼンのラインナップに含めていない。年間最大の興行イベントで紹介されなかった2作品が、CinemaConからわずか1か月半で、興行ランキング1位2位を占めることになる。スタジオが議論していた論点と観客の動向に、看過できない乖離が浮かび上がったと言えるだろう。

ステージに登壇したソニー・ピクチャーズ エンタテインメントのトム・ロスマン会長 David Becker/Getty Images for CinemaCon
ステージに登壇したソニー・ピクチャーズ エンタテインメントのトム・ロスマン会長 David Becker/Getty Images for CinemaCon

今年のCinemaConを一言で総括するなら、「劇場独占公開期間(ウィンドウ)の数字を競う4日間」だった。各スタジオはプレゼンテーション冒頭に、劇場公開後されてから配信に移行するまでの独占公開期間について言及。ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)のトム・ロスマン会長兼CEOは「より長い劇場独占公開期間を徹底」と踏み込んだ提言で口火を切り、続くユニバーサルではドナ・ラングレー会長がこれに呼応した。圧巻はスティーヴン・スピルバーグ監督の登壇発言で、「ユニバーサルが45日間の独占期間を宣言したことをうれしく思う。でも今日は欲張らせてほしい。60日を要求したい、聞こえますか?」と訴え会場を沸かせた。最終日のパラマウント・ピクチャーズではデヴィッド・エリソンCEOが「ワーナー・ブラザースとの統合後、両スタジオで年間最低30本を劇場公開し、45日間の劇場公開期間を確保したうえで、90日後にはストリーミングに移行する」と大胆なコミットメントを表明した。「45日」「60日」「90日」の数字合戦が、4日間を貫くトレンドとなった。

スタジオの経営陣に物申したスティーヴン・スピルバーグ監督 David Becker/Getty Images for CinemaCon
スタジオの経営陣に物申したスティーヴン・スピルバーグ監督 David Becker/Getty Images for CinemaCon

伏線は会期前夜にもあった。CinemaCon前日の日曜日、Netflixのテッド・サランドスCEOがラスベガスを訪れ、AMCシアターズ、リーガル・シネマズといった大手興行チェーンの幹部と非公式に懇談していた。関係者の話を総合すれば、両者の認識のすり合わせは難航したようだった。ストリーマーと興行主の溝は依然として深く、独占期間延長の現実的な見通しは立っていないとの見方が大勢を占めた。ところが、CinemaCon閉幕からわずか2週間後の5月1日、Netflixが意外な動きを見せた。グレタ・ガーウィグ監督による『Narnia: The Magician's Nephew』を、2027年2月12日にIMAXを含む世界規模の拡大劇場公開とし、Netflix配信開始までの49日間を劇場独占公開期間として確保する方針を発表した。当初は2026年11月の感謝祭にIMAX限定2週間上映後、クリスマス前後に配信する計画だったが、製作の遅れも重なり大幅な路線変更となった。Netflix自社製作の主要作品で本格的な拡大劇場公開+業界標準の独占期間が設定されるのは初めてのことだ。CinemaConでの興行主たちの議論が、いくらかでも実を結んだ結果と見ることはできるだろう。

会期中盤には、興行団体Cinema Unitedが主催する「フィルムメーカー・リーダーシップ評議会」のパネルが開催された。登壇したのは、「パイレーツ・オブ・カリビアン」「トップガン」シリーズなどの大ヒット作プロデューサーとして知られるジェリー・ブラッカイマー、クリストファー・ノーラン監督作品の長年のプロデューサー(かつ妻でもある)エマ・トーマス、そしてCinema United会長兼CEOのマイケル・オリアリーの3名。このパネルは事前には、パラマウントによるワーナーの買収に反対する場として喧伝されていた。だが蓋を開けてみれば、議論の大半はやはり劇場独占期間の伸長に集約されていった。買収反対のメッセージは打ち出されるどころか、業界全体がそれを既定路線として消化しつつあるかに見える。

全米の映画館を代表する業界団体「Cinema United」 David Becker/Getty Images for CinemaCon
全米の映画館を代表する業界団体「Cinema United」 David Becker/Getty Images for CinemaCon

象徴的だったのは、最終日のパラマウントのプレゼンにデヴィッド・エリソンが登壇した際の反応。プレスエリアからはブーイングが起きた一方、会場の興行主たちは拍手で迎えた。45日間の独占期間への明確なコミットメントが、業界内で一定の信頼を生んだことが見て取れる。買収後の体制をめぐる温度差は、業界内部とジャーナリズムの間で明確に分かれている。総じて言えば、新生“ワーナーマウント”は既に興行界に受け入れられ始めているということだろう。

パラマウントのCEO、デヴィッド・エリソンによる大胆発言には、賛否の声が David Becker/Getty Images for CinemaCon
パラマウントのCEO、デヴィッド・エリソンによる大胆発言には、賛否の声が David Becker/Getty Images for CinemaCon

各スタジオの2026年公開ラインナップをおさらい

各スタジオのプレゼンには、はっきりとした濃淡があった。最も気合いが入っていたのはワーナー・ブラザースとディズニー。前者は『スーパーガール』(公開中) 『デューン 砂の惑星PART3』(12月18日公開)『DIGGER/ディガー』(2026年公開)など14本の2026年公開ラインナップを誇示し、後者は『プラダを着た悪魔2』『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』(ともに公開中)『トイ・ストーリー5』(7月3日公開)『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』(12月18日公開)という鉄壁の布陣で大トリを飾った。ユニバーサルはクリストファー・ノーラン監督『オデュッセイア』(9月11日公開)、スピルバーグ監督『ディスクロージャー・デイ』(10月1日公開)という2大巨匠の新作を中軸に据えた。

長編映画で史上初、全編がIMAXフィルムカメラで撮影された『オデュッセイア』 photo by Melinda Sue Gordon [c] Universal Studios. All Rights Reserved.
長編映画で史上初、全編がIMAXフィルムカメラで撮影された『オデュッセイア』 photo by Melinda Sue Gordon [c] Universal Studios. All Rights Reserved.

ラインナップを語る前に、もうひとつ触れておきたいトピックがある。NEONプレゼンの前座として、GKIDS/Toho International枠で山崎貴監督が登壇し、新作『ゴジラ-0.0』(ゴジラマイナスゼロ、11月3日公開)の初映像と舞台裏映像が初披露されたのだ。前作『ゴジラ-1.0』(23)は日本作品として初めてアカデミー視覚効果賞を受賞し、山崎監督は『2001年宇宙の旅』(68)のスタンリー・キューブリック以来55年ぶり、史上2人目の「監督による視覚効果賞」受賞者となった。新作は日本映画として初めて「Filmed For IMAX」基準を満たして制作された作品でもある。「ゴジラは映画館で体験されて初めて、ゴジラになるのです」と語る山崎監督のスピーチは興行関係者から大きな拍手で迎えられた。会期後半には、業界関係者向けのレセプションで山崎監督がスピルバーグやノーランらと言葉を交わす姿も目撃されている。前作で日本映画の新たな扉を開いた山崎監督が、今度はIMAXという最大スクリーンの土俵でなにを見せてくれるのか、2027年の第99回アカデミー賞に向けて、大きな期待が高まる一作となりそうだ。

ゴジラと共に会場に現れた山崎貴監督 Monica Schipper/Getty Images for CinemaCon
ゴジラと共に会場に現れた山崎貴監督 Monica Schipper/Getty Images for CinemaCon

一方、ほかのスタジオのプレゼンには明確な温度差もみられた。SPEは『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』(7月31日公開)『バイオハザード』(10月9日公開)『Jumanji: Open World』(12月25日全米公開)などビッグタイトルを揃えた。Amazon MGM はマイケル・B・ジョーダン監督・主演のリメイク『The Thomas Crown Affair』(2027年3月5日全米公開)、『マスターズ・オブ・ユニバース』(公開中)、『Spaceballs: The New One』(2027年4月23日全米公開、『スペースボール』続編)など、派手な演出で押し切ろうとしたが、結果的にゲームIPと既存IPリブートに偏重したラインナップの薄さを露呈する形となった。パラマウントは体制変更直後ながら『ストリートファイター/ザ・ムービー』(10月16日公開)『Call of Duty』(2028年6月30日全米公開)の新規IPと『A Quiet Place Part III』(2027年7月30日全米公開)と『Top Gun 3』(公開日未定)のフランチャイズで興行主から好意的な反応を得ていたと思う。

『罪人たち』のマイケル・B・ジョーダンは新作『The Thomas Crown Affair』で監督と主演を務める David Becker/Getty Images for CinemaCon
『罪人たち』のマイケル・B・ジョーダンは新作『The Thomas Crown Affair』で監督と主演を務める David Becker/Getty Images for CinemaCon

ラインナップ全体を俯瞰すると、各社ともゲームIPの実写化およびZ世代に目配せしたタイトルを多数並べる傾向が顕著だった。ただし、興行主の反応は決して芳しいものではなかった。「観客が劇場まで足を運ぶ理由」という根本的な問いに対する説得力に欠ける、というのが多くの興行主の本音である。ワーナーとディズニーが「劇場主導」を強くアピールしたのに対し、SPEやMGMは「次の一手」が見えにくい状態でCinemaConを終えた。

気合いの入った「ワーナー」、「ディズニー」のプレゼン内容とは?

【写真を見る】CinemaConの舞台で撮られたトム・クルーズ&ジェイソン・モモアのレアな2ショット! Monica Schipper/Getty Images for CinemaCon
【写真を見る】CinemaConの舞台で撮られたトム・クルーズ&ジェイソン・モモアのレアな2ショット! Monica Schipper/Getty Images for CinemaCon

ワーナーとディズニーの「気合い」は、それぞれ別の方向に振れていた。ワーナーのプレゼンは、終了予定時刻を30分近く押すほどの熱量で、象徴的だったのは、トム・クルーズとニコール・キッドマンを同じプレゼンに、わずか1時間ほどの時間差で別々に登壇させるという驚愕の采配である。クルーズはアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督『DIGGER/ディガー』、キッドマンはサンドラ・ブロックと共に『プラクティカル・マジック/魔女たちの秘密』(9月18日公開)の紹介で別々にステージに立った。1990年から2001年まで11年間夫婦だった2人が、離婚から四半世紀を経て同じ会場の同じスタジオプレゼンに前後して登壇するというのは、業界における長年の「不文律」が破られた光景でもある。海外メディアはこれを「数分差ですれ違った2人」と報じたが、直接の交流はなかったとされる。一方で、これだけ近接した時間枠で別々の作品プロモーションのために2人を起用するのは、ラインナップの厚みの裏返しでもあり、同時に「作品多すぎ問題」の表出でもあった。1本1本のプレゼン時間が圧縮され、興行主が各作品を消化しきれないまま次々と紹介が続く展開となった。

『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』でMCU復帰を果たすロバート・ダウニー・Jr. David Becker/Getty Images for CinemaCon
『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』でMCU復帰を果たすロバート・ダウニー・Jr. David Becker/Getty Images for CinemaCon

対してディズニーは、かつてのユニバーサル全盛期を彷彿とさせる気合いの入れ方だった。タレントの稼働数も多く、フッテージも惜しみなく投入された。注目すべきは、最終日のプレゼン直前にプレスへ配布された「フッテージ以外の撮影OK」というメールである。これまでの「写真・ビデオ撮影一切禁止」の方針が、直前に一部緩和された。背景には、ディズニーが『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』のプロモーション強化のため、プレスとしてインフルエンサー、ポッドキャスター、ブロガーなどSNS拡散層を多数招いていたという事情がある。『アベンジャーズ』のパネルでは、彼らが歓声と悲鳴で会場を盛り上げる場面が目立った。これについては、業界メディアの一部から「会場の熱気がいくらか人為的に作られたものではないか」との指摘も出た。同じパネルでは、ディズニー独自のプレミアム・ラージフォーマット(PLF)劇場認証プログラム「Infinity Vision」も発表された。IMAXやドルビーシネマのような新フォーマットではなく、既存のPLF劇場の中で大スクリーン、レーザープロジェクション、プレミアム音響の要件を満たすものに付与する認証ラベルである。第一弾は9月25日からスタートする『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)の全米での劇場再上映(日本でも9月にリバイバル上映を予定)、続いて12月18日の『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』本公開で、同日公開の『デューン 砂の惑星PART3』にIMAXスクリーンを奪われるなかでの、ディズニーなりの解答と見ることができる。

結果論ではあるが、観客の関心がYouTubeやSNS発のクリエイターたちへと広がりつつある流れに対し、業界内でいち早く動こうとしたスタジオのひとつがディズニーだとも言えるだろう。もっとも、5月最終週末の北米ボックスオフィスで自社の『マンダロリアン・アンド・グローグー』が、まさにそのYouTube出身監督の2作品に1位2位を譲ったことを思えば、マーケティング的視座で先を読むことと、興行で勝つことは別の難しさを伴うのかもしれない。

CinemaCon 2026の総括、そして映画界に訪れている3つの新たな潮流

4日間を通じて、最も多くのスタジオで存在感を放った俳優は、間違いなくジャック・ブラックだった。SPE、ユニバーサル、ワーナーの3スタジオで登壇または主演作の言及があり、現在のハリウッドにおいて最もBankable(興収を稼ぐことができる)な俳優は誰かという問いに、明確な指標を示した。続いてドウェイン・ジョンソンが、SPEの『Jumanji: Open World』、ディズニーの実写版『モアナと伝説の海』(7月31日公開)、MGMの新作『Lizard Music』(公開日未定)と複数のスタジオで存在感を放った。

『Jumanji: Open World』で共演するケヴィン・ハート、ドウェイン・ジョンソン、ジャック・ブラックが集結 Monica Schipper/Getty Images for CinemaCon
『Jumanji: Open World』で共演するケヴィン・ハート、ドウェイン・ジョンソン、ジャック・ブラックが集結 Monica Schipper/Getty Images for CinemaCon

CinemaConのプレゼン会場で交わされた議論は、「劇場独占期間をどう守るか」「強力なIPをどう束ねるか」「デジタルネイティブのZ世代をどう劇場に引き戻すか」という、いずれもスタジオ側の論点に終始していた。各社は旧来のフレームワークの中で陣取り合戦を続け、その枠組み自体を疑う声は限定的だった。しかし、それから1か月半。観客が出した答えは、スタジオが議論していたどのカテゴリーにも厳密には属さない、YouTube出身監督による2本の小規模映画だった。20歳(当時)のケイン・パーソンズは『クロニクル』(12)のジョシュ・トランク(当時27歳)を抜いて、世界興収1位を獲った史上最年少の監督となり、26歳のカリー・バーカーによる『オブセッション』は、『E.T.』以来44年ぶりの興収カーブを描いた。前時代の記録を爆速で塗り替えるかのように…。

世界興行収入が3億ドルを突破した、カリー・バーカー監督の『オブセッション災愛』 [c] 2026 Focus Features LLC.
世界興行収入が3億ドルを突破した、カリー・バーカー監督の『オブセッション災愛』 [c] 2026 Focus Features LLC.

もちろん、2026年の年間興行ランキングの上位は、最終的には『トイ・ストーリー5』『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』『オデュッセイア』『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』『デューン 砂の惑星PART3』といったタイトルで占められる公算が高い。シリーズ、コミック原作、巨匠の新作…この骨格は揺らがない。だがその一方で、ゲーム原作映画への信頼性向上(『バイオハザード』『ストリートファイター/ザ・ムービー』など)、2000年代初頭ノスタルジア(『プラダを着た悪魔2』)、そしてYouTube発の若手監督台頭という3つの新しい潮流が、確実に劇場を訪れる観客の選択を動かし始めている。

CinemaConの議題そのものが、すでに半歩ずれ始めているのかもしれない。スタジオが「劇場独占公開期間」を語っている間に、観客はすでに別の質問への答えを探していた。「いま、どんな映画を観たいのか」と。2026年下半期、ハリウッドはこの問いにどう向き合うのか。来年のCinemaCon の論点設定は、今回とは大きく様変わりしている可能性が高い。

文/平井伊都子

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