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「洗濯、ちゃんとマニュアルどおりにやってくれた?」寝込んだ夫の面倒な要求。だが、体調が良くなった夫に突きつけたのは

  • 2026.7.5

隔離中の夫から届いた指令

夫が高熱を出して、寝室で数日間の隔離生活に入った。

顔を合わせられないぶん、家のことはすべて私が引き受けることになった。

掃除も食事も文句なくこなしていたある夜、隔離部屋の扉の下から、一枚の紙がすっと滑り出てきた。何かの置き手紙かと思って拾い上げる。

そこには「うちの洗濯機の使い方」という表題と、こまかい手順が箇条書きで並んでいた。

第一項から第八項まで、わざわざパソコンで作って印刷したらしい。

「この手順どおり洗濯機回して」

扉越しに、かすれた声が念を押してくる。

柔軟剤は決まった線まで、コースは必ずこれ、干す順番はタオルから。夫が普段“担当”している洗濯には、そんなマイルールが山ほどあった。

「順番を守らないと生地が傷むから」

熱があってもそこは譲れないらしい。

寝込んでいる相手に言い返すのも大人げない。

その夜は、言われたとおりに洗濯機を回した。

「じゃあ今日から全部あなたね」

数日後、夫の熱が下がって隔離が明けた。リビングに出てきた第一声は、体調の心配でも家事への礼でもなかった。

「洗濯、ちゃんとマニュアルどおりにやってくれた?」

私はたたんだばかりのタオルを差し出して、にっこり笑って答えた。

「じゃあ今日から全部あなたね」

「え?」

夫の顔から、さっきまでの得意げな色がすっと引いた。

あなたのやり方が一番正しいんでしょう、あの手順は私には難しすぎるから、と私は付け加えた。

その日から、洗濯は宣言どおり夫の担当に戻した。ところが本人がいざ回してみると、マニュアルの手順はやたら多く、干す前の仕分けだけでひと苦労だった。

「めんどくさいな…」

洗濯かごを前に、夫がぽつりとつぶやいた。自分で決めたルールに、自分で音を上げている。第三項の柔軟剤の分量を、こっそり目分量で済ませているのも見えた。

「順番、そんなに大事だった?」

今度は私が、笑いをこらえて聞き返す番だった。夫は答えに詰まって黙り込み、しばらく洗濯物の山とにらめっこしていた。

三日目の朝、夫はあの印刷した紙を丸めて、ばつが悪そうにこう言った。

「あのマニュアル、なしでいい。手伝ってくれると助かる」

印刷したマニュアルを突き返した朝、我が家の洗濯ルールは、ずいぶんゆるくなった。夫はもう、私のやり方に口を出さない。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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