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【実話】ジム担当者のミスで「未入金」扱い→信用情報に傷 落ち度なきコラムニストが負った理不尽な自衛策

  • 2026.7.4
スポーツクラブの不手際が原因で身に覚えのない催促状が(画像はイメージ)
スポーツクラブの不手際が原因で身に覚えのない催促状が(画像はイメージ)

「クレジットカードの審査に落ちる」「住宅ローンが組めない」など、多くの人が漠然と恐れる「信用情報の傷」は、たいてい自分の不始末の結果だと思われています。

しかし、もしその傷が、自分には何の落ち度もないところで付くとしたら、どうなのでしょうか。私は今、まさにその当事者になっています。

身に覚えのない「赤い封筒」と一方的な未入金記録

事の発端は、スポーツクラブTへの入会でした。2026年3月、私は会費の口座振替を申し込み、求められた書類と口座情報を窓口で提出しました。引き落としに必要な手続きをすべて済ませていました。

ところが同年5月、会費は引き落とされていなかったことが判明したのです。私はそれを知らされていませんでした。事前の連絡は一切ないまま、ある日突然、信販会社O社から赤い封筒の督促状が届きました。一目でそれと分かる、督促の封書でした。慌ててO社に電話を入れました。

応対した女性スタッフは、「支払われていない」の一点張りでした。上司と思われるN氏に替わってもらい、ようやく事情が分かりました。口座振替の登録そのものが、完了していなかったのです。私の提出物に不備があったのではありません。登録を処理する企業側で、完了していなかったのです。

ここからが問題でした。なぜなら、引き落とせなかったその一件が、O社を通じて私の信用情報に「未入金」として記録されたからです。落ち度は手続きを完了させなかった側にあるのに、不利益の記録は、利用者である私に付くという、この非対称こそ、私が1点目にこの記事で訴えたいことです。

なぜ引き落とせなかったのか、その原因は誰にあるのかということを一切確かめないまま、O社は未入金という結果だけを見て私の信用情報に記録し、督促状を送りつけました。背景を問わず、まず登録するというのは、与信を担う会社の手続きとして問題はないのでしょうか。

2点目は、通知のあり方です。O社の言い分は「登録ができなかった旨は5月末に郵送で通知した、だから当方に責任はない」というものでした。

しかし、私は、その通知を受け取っていません。発送の記録や郵便の種別を示すよう求めても、提示はありませんでした。普通郵便は、追跡番号も受領印も残りません。送ったか、届いたかを、誰も証明できません。届いていないと反論しても、話は堂々巡りになるばかりでした。

民法97条1項は、意思表示は相手に到達して初めて効力を生じると定めています。信用情報への登録という、個人に長く影響する不利益を通告するのなら、到達を確認できる手段を選ぶのが筋ではないでしょうか。届いたかどうかも分からない一通で、人の信用に手をつけてよいはずがありません。

そして3点目、最も根の深い問題に行き着きます。信用情報の登録は、「延滞という事実があったか」を基準に、半ば機械的に動きます。「その延滞が誰の責任で生じたか」は、登録の瞬間には問われないのです。

だから、書類を出し終えた利用者にも、相手の処理ミスを起点として「未入金」の記号が刻まれてしまいます。制度の設計に、落ち度の所在を選別する仕組みが組み込まれていないのです。

傷一つない履歴に刻まれた汚点 原因は「カナ1字」の誤入力

その後、請求された会費を全額支払い、クレジット会社の信用情報を扱う指定信用情報機関、CIC(シー・アイ・シー)に自分の情報の開示を請求して確認しました。私はこれまで、支払いを延滞したことが一度もありません。開示した記録のすべてにわたって事故を示す登録は1つもなく、信用評価の指数も良好でした。

長年積み上げてきた、傷一つない履歴に、初めて刻まれた汚点が、自分の落ち度ですらない一字の打ち間違いでした。この事実が、私の怒りに火をつけました。

幸い、5年も記録に残り、世間で「ブラックリスト入り」と恐れられる重い事故情報、業界では「異動」と呼ばれるものには至っていませんでした。残っていたのは、単月の未入金を示す一文字だけでした。実害は限定的でしたが、軽重の問題ではありません。

落ち度なき者に記録が付くこと、その記録を消すための労力と費用、例えば開示手数料、書面の作成、追跡郵便での送付を、付けられた側が一方的に負わされること。この一方通行こそが、不条理なのです。

電話で押し問答を続けても進まないと判断し、私はO社の社長と担当センター宛に、書留で正式な申し入れ書を送りました。並行して、契約相手であるT社にも出向いて苦情を申し立て、その場で退会しました。

窓口にはO社の督促状の写しを手渡しました。だが、いつまでに何を回答するという説明は、ついにありませんでした。真面目に取り合う姿勢が感じられなかったため、T社にも書留を送りました。

すると、T側からは、当初の対応がうそのように、期限より早く書面の回答が届きました。原因が自社にあったことを認めるものでした。入会手続きの際、担当者が氏名のカナを一字打ち間違えていたというのが、口座振替登録の不備を招いたのだといいます。複数の目で確認したはずだったが、最初の一字を見落としたまま処理は進んでいたということです。

会社は非を認め、信用情報の回復をO社に依頼し、手続きを進めていると伝えてきました。その対応は誠実でした。しかし、当初は窓口で一切取り合わなかった会社が、書面で正式に求めた途端に動くという結末に、消費者側が動かなければ、まともに向き合ってもらえないのだと痛感しました。

その後、私は改めて信用情報を開示しました。問題の「未入金」の記録は、消えていました。訂正はなされたのです。

もっとも、O社が回答期限として定めた日は、本稿の執筆時点でまだ先にあります。データ上の記録は直りましたが、私が書面で求めた回答は、その期限を前に、今のところ届いていません。

相手の対応をここで断じるつもりはありません。ただ、私の信用情報には一片の確認もなく「未入金」が刻まれたのに、その回復と説明にはこれだけの時間と、こちらの労力を要したというその事実だけは、書きとどめておきたいのです。

消費者が強いられる不条理な自衛

一字の打ち間違いが、人の信用に傷を残すという点を考えてほしいです。その記録を消すために、利用者が気付き、電話し、開示し、書面を作り、送り、待たねばなりませんでした。企業側が最後に誠実だったことは救いでしたが、もし私が信用情報を開示していなかったら、その一文字は静かに残り続けたはずです。消費者にできる防衛は、今のところ限られています。

年に一度でもCICなどの信用情報機関に自分の情報を開示請求し、身に覚えのない記録がないかを確かめ、異変があれば、登録元の会社に書面で訂正を求めることが自衛策と言えます。だが本来、落ち度のない個人が、自衛のためにここまで動かねばならない制度の方が、問われるべきではないでしょうか。

信用とは、本来、積み重ねた誠実さの記録のはずです。それが、他者の一字の誤りと、届かぬ一通の郵便で揺らぐのなら、私たちが信じてきた「信用」とは、いったい何なのでしょうか。

コラムニスト、著述家 尾藤克之

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