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福原遥主演の大ヒット映画『あの花』の続編がこの夏公開! 現代から終戦間際の日本へタイムスリップした孤独な少女。特攻隊員との悲恋の先、少女は今をどう生きるのか【書評】

  • 2026.7.3
あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。 汐見夏衛/スターツ出版
あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。 汐見夏衛/スターツ出版

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現代から終戦間際の日本へタイムスリップした少女と、特攻へ向かう青年。時空を超えて出会い、戦争によって引き裂かれたあの切なすぎる恋には続きがあった。観客動員350万人を突破し、多くの人の涙を誘った映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』。その続編であり、完結編となる映画『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』が2026年8月に公開される。前作同様、主演は福原遥。愛する人を失ったあと、現代に戻った少女はどんな思いで生きていくのか。涙なしには観られなかったあの物語の続きが気になってたまらない。

そんな映画の公開に合わせて読みたいのが、原作小説『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』(汐見夏衛/スターツ出版)。『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』シリーズは、累計180万部を突破したことでも話題になった。

映画を観る前にこの原作を読んでおくと、物語をより深く味わえるだろう。というのも、映画と原作では、描かれる時期も視点も大きく異なる。映画では、現代に戻った高校生が大人になり、教師となってからの日々が描かれるが、原作で描かれるのは、タイムスリップから戻って間もない時期。しかも、原作は、少女の視点ではなく、少女に思いを寄せる同級生の視点から綴られていく。映画を観る前に原作を読んでおけば、現代に戻った少女が、愛する人を失ったあと、どんな時間を過ごしてきたのか、その痛みや葛藤により深く思いを馳せられるはずだ。

原作の主人公は、サッカーが大好きな中学2年生の少年・涼。彼は、転校先の学校で、大人びた同級生・百合と出会う。まっすぐで、凛としていて、けれど、いつもなぜかここではない遠くを見つめていて。涼は、そんな百合に初めて出会ったそのときから、彼女に強く惹かれていた。だが、涼が告白を決意した時、百合は言う――「……今からね、すごく変な話するけど……聞いてくれる?」。百合が語ったのは、今年の夏のはじめの出来事。母親とケンカした百合が近所にある防空壕の跡に入り込むと、気づけば、そこは、1945年、終戦間際の日本だったのだという。突然のタイムスリップに戸惑いながら、百合は、その世界で、特攻隊員の彰と出会い、恋に落ちた。だが、彰の特攻は瞬く間に決まり、彼は空のかなたへと消えていってしまった。

百合を苦しめる深い後悔

戦争を経験し、現代に戻ってきた百合が、涼から見てどこか大人びて見えるのは、当然のことなのかもしれない。百合は戦争を知ってしまった。おなかをすかせたまま死んでいくたくさんの子どもたち、戦地へ向かったまま決して帰ってこなかった青年たち。空襲にも遭い、彼女の目の前では何人もの人が、炎に焼かれて、苦しみながら死んでいった。

そして、何よりも、恋い焦がれた大切な人が、彰が、空へと飛び立ち、儚く散ってしまった。その喪失感をどうしろというのか。元の世界に戻ったって、どうしたって忘れることなどできない。彰のために、自分によくしてくれた人たちのために、自分は何をしてあげることもできなかった。百合の胸にはその後悔が巣食っている。彰が命をかけて守ろうとした未来にいるというのに前を向けずにいる。

大切な人を失った百合に、涼は何ができるのか

強い後悔を抱える百合に、涼は何ができるだろう。涼は百合に惹かれてしまった。けれど、百合には彰という忘れられない人がいる。命がけでこの国を守ろうとして散っていった、今は亡き人。その存在が百合の胸に深く刻まれている以上、今を生きる自分に入り込む余地などあるのだろうか。

百合のすべてを受け止めたい気持ちと、そのどうしようもない重み、おさえきれない嫉妬。自分では届かない場所に百合の心があるように思えて苦しむ涼の姿に、私たちの胸も痛いほど締め付けられる。

好きになった人の心に、忘れられない誰かがいたとしたら

好きになった人の心に、忘れられない誰かがいる。もし自分が涼ならどうするだろうか。そう思いながら読み進めるうちに、この物語が描いているのは、百合と涼だけの恋ではないのだと気づかされる。

戦争は、命だけを奪うものではない。遺された人たちは、大切な人を失ったあとも、その記憶と後悔を抱えて生きていかなければならない。百合の苦しみは、戦争が遺された人々の時間までも変えてしまうことを、静かに物語っている。

戦争によって引き裂かれた恋の先、彰を失った百合は、その記憶を抱えたまま、どう生きていくのか。涼は、そんな百合とどう向き合うのか。……ああ、この作品もまた、涙なしには読むことができない。なんて切なく、そして、希望にあふれた物語なのだろう。6月17日には映画の世界観を小説として再構築した『ノベライズ あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』も発売されたばかり。8月に公開される映画で再び大きな話題となる前に、まずは原作小説・ノベライズで、彼らの未来を見届けてほしい。

文=アサトーミナミ

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