1. トップ
  2. マンガ
  3. 「君のことは、覚えてるから」と言った僕が、彼女との録音だけ消していた理由

「君のことは、覚えてるから」と言った僕が、彼女との録音だけ消していた理由

  • 2026.7.4
ハウコレ

彼女との録音だけ、僕は消しました。取り繕う自分が嫌だったからです。けれど道具を手放した僕は、いちばん大切な頼みごとを忘れていたのです。

通話を終えると、僕は決まって録音アプリを開きます。相手の頼みごとや約束を、自分の声で短く残しておくのです。そうしないと、すぐに忘れてしまうから。几帳面なのではなく、忘れるのが怖いだけでした。

誰かをがっかりさせるのが、ずっと怖かった

昔から、人の話をうまく覚えていられません。約束を取りこぼして相手を落ち込ませるたびに、自分が嫌になりました。録音アプリは、その不安をなだめるための道具です。妹の相談も同僚の愚痴も、聞き返せるように残しておけば、次に会ったとき正しく応えられます。誰かをがっかりさせずに済む、僕なりのやり方でした。

彼女との録音を消した

付き合い始めたころは、彼女との会話も残していました。けれどある日、自分の録音を聞き返していることに気づきました。彼女の言葉を巻き戻し、次にどう返すかを組み立てている。それではまるで、宿題の答え合わせです。せめてこの人の前でだけは、取り繕わずにいたい。そう思って、僕は彼女の録音をすべて消しました。

覚えていると言った言葉は、僕の願いでしかなかった

「他の人との相談は録音してるのに、私のは一回もないんだね」。そう言われて、僕は「君のことは、覚えてるから」と答えました。本心のつもりでした。けれど「先月お願いしたこと、覚えてる?」と重ねられて、記憶をたどっても何も浮かびません。「結果が出たら、いちばんに聞いてほしい」。転職を迷う彼女にそう頼まれていたのに、僕は一度も聞けていなかったのです。

そして...

数日後、僕は彼女に録音のことを話しました。消したのは、取り繕わない関係を築きたかったからだと。これからは覚えるためではなく、忘れたくないから書き留めるのだと伝えました。手帳の最初のページには、彼女の転職の結果を書いています。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる