1. トップ
  2. エピソード
  3. 「先生に言いつけてやるからな!」理不尽に激怒する患者家族に…普段は無愛想な医師が“放った一喝”

「先生に言いつけてやるからな!」理不尽に激怒する患者家族に…普段は無愛想な医師が“放った一喝”

  • 2026.7.29
undefined
出典:photoAC ※画像はイメージです。

皆さんこんにちは!看護師×webライターのsaoriです!

突然ですが、職場にいつも無愛想で声をかけづらいスタッフの方はいらっしゃいませんか?

私が以前働いていた病棟にも、かなり話しかけにくい雰囲気をまとった医師が1人いました。何かを報告すると「なんでそうなってんの?」と質問攻めにしてくるような人です。 今回は、そんな無愛想な医師にまつわるエピソードをお届けします。

せん妄状態にあった70代男性患者さん

ある日、私が出勤すると70代男性のAさんという患者様が新しく入院されていました。 Aさんはもともと頑固なご性格。

さらに、入院という環境の変化も重なり「せん妄(体に負担がかかった際に一時的に生じる脳機能の乱れや意識の混乱)」を起こしている状態でした。 他の患者様に危害を及ぼすリスクもあったため、お部屋は個室で対応することに。

Aさんは点滴を引き抜いたり、装着している酸素を外してしまったり、朝一番で室内を整えてもすぐに散らかしてしまうような状態が続いていました。

片付けをして環境を整えて退室しても、次に訪室した際にはまた散らかっていて、再度片付ける……という作業の繰り返しだったのです。

来院した家族が驚いたのは…

Aさんが入院してから2週間ほど経ったある日のこと、ご家族が面会にいらっしゃいました。

入院以来初めての面会だったため、Aさんのせん妄状態について理解しきれていない部分もあり、さらに「病室が汚すぎる」とその荒れ具合に驚かれてしまったご家族。

「勤務帯の中で頻繁にお部屋へ伺い片付けを行っているのですが、Aさんはせん妄状態にあるため、どうしてもすぐに散らかされてしまうのです。

他の患者様も入院されていますし、常に綺麗な状態を維持するには限界があるのが現状でして……」と説明いたしました。

するとご家族は、

「そんなのただの言い訳だ。看護師なら患者の身の回りを綺麗にして当然だろう。いまの現状について主治医から話を聞きたい。その時に『部屋が汚すぎるから看護師を指導しろ』と先生に言いつけてやるからな!」

とおっしゃったのです。

看護師側の対応自体に不備はなく、ここで「先生には言わないでください」と引き下がるのもおかしな話ですので、Aさんの詳しい状況を重ねてご説明しました。

それでもご納得いただけないご様子だったため、私は「承知いたしました。先生に直接お話しいただいて構いません」とお答えしました。

主治医との話し合い。ご家族からの指摘に先生の返答は?

30代男性のB先生に「Aさんのご家族が来院されており、病状説明をご希望です」と連絡を入れると、「わかりました、すぐ行きます」と返事があり、面談することになりました。

B先生は口数が少なく、一言で言えばとっつきにくい性格の方です。

日頃の言動を思い返すと、ご家族から“言いつけ”をされても「僕に言われても困ります」などと言うだろうなと、勝手に予想していました。

病状説明が始まると、ご家族は「看護師にしっかり指導してほしい。部屋が散らかっているとはどういうことだ。それでも看護師なのか!」と怒りを露わにして詰め寄りました。

その発言に対してB先生は、なんとこのように返したのです。

「看護師は24時間体制で命と向き合っているんです。夜間なんて50人近い患者をたった3人で診ているんですよ。何度も病室に足を運んでは片付けてくれています。せん妄状態ですから、整えてもすぐに散らかってしまうのは仕方ありません。

看護師は十分に尽くしてくれています。これほど頑張っているスタッフに対して、僕から『もっと頑張れ』なんて言えません」

と、全面的に看護師側をかばってくださったのです。

さらに「そこまで仰るのであれば、ご家族が毎日面会に来てお部屋を片付けていただいても構いませんよ」とまで伝えてくれました。 医師が看護師を叱りつけると思っていたご家族は絶句し、何も言い返せないご様子でした。

医師の口からせん妄状態と部屋の状況について筋道立てて説明してもらえたことで、最終的にご家族は「さきほどは失礼いたしました」と謝罪され、部屋も綺麗に整えてお帰りになりました。

自分が今できることを誠実にやっていこうと思えた

正直なところ、私はB先生に対して「話しかけづらいしいつも冷たい態度だから、クレームを言われても看護師を責めるか、知らん顔をするのだろう」と思い込んでいました。

しかし蓋を開けてみれば、裏では看護師の働きぶりをよく見ていてくれて、言うべき場面でしっかりと言ってくれていたのです。

「見ていてくれる人は必ずいる。自分にできることを愚直に、誠実にやっていこう」 そう強く思い直すことができた、忘れられない出来事です。


ライター:saori
2011年に正看護師を取得し、急性期病院と施設内訪問看護を経験。現在は子どもに関わる仕事に従事中。看護師×webライターとして活動している。「言葉で人を救いたい!」と心に響くような発信を意識している。3人の子どもを育てながら働くパワフルママ。(note


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名OK

の記事をもっとみる

注目コンテンツ