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「これで老後は安心」退職金2,000万で“新車”を購入→10年後、60代夫婦を襲った“想定外の大誤算”

  • 2026.7.15
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関勤務の現役マネージャーとして、日々お金にまつわる相談に向き合っている中川です。

長年勤め上げた証として手にする退職金。まとまった大金を前に「これで老後の生活は安泰だ」と胸をなでおろす人は多いでしょう。しかし、退職金への過信から現役時代の金銭感覚を抜け出せないでいると、老後の家計は私たちが気づかないうちに、静かに破綻へと向かっていきます。

60歳で2,000万円もの退職金を受け取りながらも、わずか10年で資産が底をつきかけてしまったAさん夫婦のリアルな事例をご紹介します。

退職金を単なる「余裕資金」ではなく、一生を支える大切な「原資」として守り抜くために、今から実践すべき生活設計のポイントを一緒に見ていきましょう。

「老後は安心」のはずだった退職金2,000万円

60歳で定年退職を迎えたAさんは、退職金として2,000万円を受け取りました。

住宅ローンは完済済み。子どももすでに独立しています。現役時代の世帯年収は約800万円。外食や年1~2回の旅行も楽しめる、安定した暮らしでした。

「これで老後は大丈夫だろう」

そう考えるのは自然なことだったのかもしれません。退職後もしばらくは、それまで通りの生活を続けることにしました。

さらに、「これが最後の車」と新車を購入。

古い車に乗っていた息子夫婦にも車を買い替えてあげました。退職金というまとまった資金が、心に余裕を与えていたのです。

静かに家計を蝕む収支のズレ

定年後、Aさんは再雇用として働き続けましたが、手取りは月20万円ほどに減少しました。

一方、夫婦の生活費は月30万円前後。毎月10万円の赤字です。

「65歳からは年金をもらえるから、それまでの辛抱だ」と考えていましたが、いざ65歳を迎えても、現役時代の収入が高かったAさんは「在職老齢年金」の仕組みによって厚生年金の一部が支給停止(カット)に。結局、年金を受け取り始めても物価高や医療費の負担が重なり、毎月の赤字額はほとんど減りませんでした。

通帳を見るたびに残高が確実に減っていく現実を感じながらも、「まだ1,000万円以上ある」「もう少し働ける」と自分に言い聞かせてきました。

物価と医療費が広げた想定外の支出

やがて物価の上昇により食費や光熱費が増加。通院回数も増え、医療費の負担も重くなりました。

家電の買い替え、冠婚葬祭、親族への支援。単発の支出が重なるたびに、退職金は着実に減っていきます。特別な浪費をしたわけではありません。それでも、収入に対して支出が多い状態が続けば、資産は減少していきます。

「気づいた時には、どうすればいいのかわかりませんでした」

Aさんはそう振り返ります。退職時に生活を収入水準に合わせて見直さなかったことが、後々大きな影響を及ぼしました。

10年後、口座残高が示した現実

定年から10年。70歳になった頃、退職金はほとんど残っていませんでした。車を手放し、旅行も取りやめます。それでも将来への不安は拭えません。

老後破産は、突発的に訪れるものではありません。毎月の赤字と、「まだ大丈夫」という感覚の積み重ねが、家計を静かに圧迫していきます。

退職金は余裕資金ではなく、老後を支える原資です。退職前から生活水準を収入に合わせて見直し、長期的なライフプランを立てることが、老後の安心につながるでしょう。


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)(@YoshitoFinance

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。 20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。 専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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