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高齢者向けバスツアー中、山奥で“突然倒れた”高齢男性。バスガイドが咄嗟にとった行動に「今でも忘れられない」

  • 2026.7.13
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

バスガイドとして勤務していた頃、修学旅行だけでなく、高齢者向けのバスツアーも数多く担当していました。

中でも忘れられないのがお客様が突然意識を失い、救急ヘリで搬送された出来事です。

楽しい旅行を安全に終えることが私たちの仕事ですが、時には命に関わる緊急事態に直面することもあります。その時に大切なのは、慌てることではなく、状況を冷静に判断し、最善の行動を取ることだと改めて実感しました。

楽しいバスツアーが一変した瞬間

その日は、地元で仲の良い高齢者の皆様が参加される日帰りバスツアーでした。

仲の良いご友人同士で参加されている方が多く、車内ではお酒を飲み、おつまみを囲みながらカラオケを楽しむ、とても賑やかな雰囲気でした。サービスエリアでもお酒やおつまみを追加で購入され、皆様それぞれ楽しい時間を過ごされていました。

昼食会場の天橋立へ向かう途中、小さな神社へ立ち寄る行程が組まれていました。

その神社は、100段ほどの急な石段を登らなければ参拝できません。

すでにお酒を召し上がっているお客様も多く、私は「転倒される方が出るかもしれない」と不安を感じていました。

旅行添乗員とも相談し、階段下からのお参りに変更できないか検討しましたが、お酒を飲まれていないお客様もいらっしゃったため、予定どおり参拝することになりました。

そこで、添乗員が先頭、私は最後尾につき、体調が心配なお客様を見守りながらゆっくり階段を上ることにしました。

命を守るために私が最優先したこと

全員が神社へ到着すると、階段を登りきった場所で休憩されているお客様が何人かいらっしゃいました。

「大丈夫ですか。無理なさらないでくださいね。」

そう声を掛けながらお一人ずつ様子を確認していたところ、ご夫婦で参加されていた男性のお客様が、うつむいたまま動きません。

「大丈夫ですか?水分は取られましたか?」

そうお声掛けした瞬間、そのお客様は私の目の前で力なく横へずるずると倒れてしまいました。

一緒に参加されている奥様が呼び掛けても反応はありません。

しかし呼吸は確認できました。

私はすぐに意識障害だと判断し、自分のコートを脱いで地面に敷き寝転びやすい状態にし、持っていたバッグを枕代わりにして気道を確保しました。万が一嘔吐した場合でも窒息しないよう、身体を横向きにして安静を保ちます。

奥様には落ち着いていただけるよう寄り添いながら声を掛け続け、添乗員や運転士とも連携を取りました。

石段は狭く急勾配です。意識のない80kg近い男性を安全に運び下ろすことは困難であり、二次災害の危険もありました。

そのため、現場で無理に搬送するのではなく、救急要請が最善であると判断しました。

“大丈夫だろう”と思わないことの大切さ

救急車は約15分で到着予定との連絡でしたが、現場へは救急ヘリが出動しました。田舎の山奥のため、救急車より救急ヘリの方が速かったようです。

救急隊が神社まで駆け上がり、お客様を安全に搬送してくださいました。奥様も一緒に病院へ向かわれました。

幸い命に別状はなく、水分補給などの処置を受けた後、無事に帰宅されたと伺っています。

後日、ご本人から感謝のお手紙までいただき、私にとっても忘れられない出来事となりました。

他のお客様には事情をご説明し、観光時間を調整したことで出発は約15分の遅れで済み、予定への影響も最小限に抑えることができました。

ちなみに、この日は2月。私のコートはそのまま救急搬送に付き添う形となり、私はお客様からお借りしたマフラーだけで寒さをしのぐことになりました。それも今では笑って話せる思い出です。

旅行では、楽しい時間の裏で思いもよらない緊急事態が起こることがあります。

そんな時こそ、慌てず状況を見極め、命を最優先に判断することが大切です。この経験を通して、バスガイドは観光を案内するだけでなく、お客様の安全を守ることも重要な役割なのだと改めて実感しました。


ライター:くろちび

バスガイドとして4年間、奈良・京都・大阪を中心に観光案内を担当。修学旅行や団体旅行、高齢者ツアーなど、さまざまなお客様をご案内してきました。現場で実際に経験した出来事や、旅行の裏側、接客を通して学んだことを、実体験をもとにお伝えしています。



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