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「娘の障害年金で飲む酒はうまいか」蒸発から4年後に戻り、母の遺産まで使い果たす父親→車いす女性の夜逃げ作戦【作者に聞く】

  • 2026.7.3

DVや虐待、深刻な家庭内トラブルに直面する依頼者たちを、文字通り命がけで救出する「夜逃げ屋」。その緊迫した現場の実態を、実際にスタッフとして働く漫画家・宮野シンイチ(@Chameleon_0219)さんがリアルに描き、SNSや書籍で爆発的な人気を博しているのが『夜逃げ屋日記』だ。

2026年6月現在も、家庭内の経済的虐待や孤立が深刻な社会問題として議論されるなか、今回は過去に紹介した第36話から第37話のエピソードをピックアップ。実の父親から凄惨な搾取を受けていた車いすの女性の救出劇と、人間の底知れぬ業について、作者の宮野シンイチさんへのインタビューを交えてお届けする。

蒸発から4年後に戻った父親の暴挙。2カ月に1度の支給日に仕掛ける「口座凍結」のタイムライン

画像提供:宮野シンイチさん
画像提供:宮野シンイチさん
画像提供:宮野シンイチさん
画像提供:宮野シンイチさん
画像提供:宮野シンイチさん
画像提供:宮野シンイチさん

今回の依頼者は、交通事故で母親を亡くし、自身も足に障がいを抱えて車いす生活を送る松下ホノカさん(25歳)。母の死後、実の父親は彼女を置いて蒸発したが、4年が経過したある日、突然何食わぬ顔で自宅へ戻ってきた。そして、ホノカさんが受給している障害年金や、亡き母が遺してくれた大切な遺産を、自分の娯楽のために好き放題に使い始めたという。

実の親からの非道な搾取に心身ともに限界を迎えたホノカさんは、現状を打破するために夜逃げを決意。障害年金の支給は2カ月に1度であるため、次の支給日までに何としてもここから逃げ出さなければならない。しかし、無職の父親は1日中家に引きこもっていることが多く、実行のタイミングが掴めずにいた。そこで夜逃げ屋の社長と宮野さんは、ホノカさんから父親の行動パターンを詳しく聞き出す。

浮き彫りになったのは、「障害年金の支給日当日、父親は1日中外で飲み歩く」という強欲な習性だった。作戦は、その支給日に決行することに決定。同時に障害年金の振込先口座を差し止める手続きを行い、金が引き出せずに焦った父親が右往左往している隙に、一気に荷物を運び出して時間を稼ぐという、極限の頭脳戦が幕を開ける。しかし、万全に見えたこの作戦の裏で、彼女たちを翻弄する想定外の事態が待ち受けていたーー。

「娘のお金で娯楽に耽る姿は卑劣」 現役スタッフが痛感した、血縁という名の闇の深さ

障がいを持つ我が子を食い物にし、酒に溺れる父親の姿。この信じがたい実態について、宮野シンイチさんは怒りと共に当時の胸中を語ってくれた。

「家族の生活のため、食費や水道光熱費などに使うということなら理解はできるんですが、自分の娯楽のために娘の障害年金を使うというのは、卑劣なことだと感じました。ただ、社長から聞いた話だとこういったケースは過去にも何件か受けたことがあるらしく、闇の深さを実感しました」

血のつながった家族だからこそ逃れられない、現代社会のセーフティネットの死角。宮野シンイチさんの作品は、単なるフィクションのホラーやサスペンスを遥かに凌駕する「現実の恐ろしさ」を私たちに突きつけてくる。

無事にホノカさんは自由の身になれるのか。緊迫のドラマが描かれる『夜逃げ屋日記』は待望の第3巻が発売されており、単行本では宮野シンイチさんと夜逃げ屋の社長による貴重な対談(前編・後編)も収録されている。冷徹な悪意から他者を守るために戦う人々の記録を、ぜひその目で確かめてほしい。

取材協力:宮野シンイチ(@Chameleon_0219)

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