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結婚して初めて「母親と距離を置こう」と思えた…毒親育ちの当事者が、今でも「うちの親は毒親?」と自問自答する深いワケ【作者に聞く】

  • 2026.7.1

子どもは親を選べない。「自分の親はよその親と少し違うのではないか」と気が付くのは、一体いつごろなのだろうか。幼い子どもにとって、家庭という閉ざされた世界が世界のすべてであり、どれほど歪んだ環境であっても、それを「日常」として受け入れるしかない残酷な現実がある。

2026年6月現在、機能不全家族や児童虐待を当事者の視点から生々しく描き出し、多くの読者の胸を締め付けているのが、漫画家・魚田コットン(@33kossan33)さんの自伝漫画『家族やめてもいいですか?』だ。まだ保育園児だったころの孤独な朝の記憶から始まる本作。今回は、凄惨な環境を「当たり前」と信じていた幼少期のエピソードを紹介するとともに、自身の過去と向き合った作者の心の変化について、インタビューを交えてお届けする。

友達の家で朝ごはんを食べる「放置子」だった日々

家族、辞めてもいいですか?_01 画像提供:(Ⅽ)魚田コットン
家族、辞めてもいいですか?_01 画像提供:(Ⅽ)魚田コットン
家族、辞めてもいいですか?_02 画像提供:(Ⅽ)魚田コットン
家族、辞めてもいいですか?_02 画像提供:(Ⅽ)魚田コットン
家族、辞めてもいいですか?_03 画像提供:(Ⅽ)魚田コットン
家族、辞めてもいいですか?_03 画像提供:(Ⅽ)魚田コットン

子どものころは、母親のことを純粋に尊敬していたという魚田コットンさん。しかし現実の母親は、まだ保育園児だった我が子を家にひとりのこして、頻繁に姿を消す人物だった。朝起きたら、家に誰もいないーー。そんな過酷な状況のなかで、幼い魚田コットンさんはひとりで母親の帰りを待つしかなかった。

ある朝、またしても母親がいないことに気づいた魚田コットンさんは、同じ保育園に通う友達の家に行こうと思いつく。子どもながらに必死のSOSだったのだろう、友達の家に駆け込み「家に誰もいない!」と伝えると、その家の親は驚きながらも朝ごはんを食べさせ、保育園まで一緒に連れて行ってくれたという。

当時の家庭環境は、父親はほとんど家に不在で、母親は幼い魚田コットンさんを連れて特定の男性と定期的に会うような生活を送っていた。周囲の大人は「冷たい人と優しい人」に二極化していたが、純粋で疑うことを知らなかった魚田コットンさんは、「これがうちの当たり前」だと信じ込んでいた。

自身の過去が「毒親」や「ネグレクト」の環境であったと気づいた時期について、魚田コットンさんは複雑な胸中を明かす。

「うちの親が毒親か?と言われると今でも『毒親なのかな……?』と微妙な気持ちになるのですが、『毒だ』と思わずとも、『少し母と距離を取ろう』と思えるようになったのは、結婚して自分の家族ができて、しばらくしたくらいでした」

「私ってけっこう酷い生活をしてたんだな」という気づき

小学生のときに両親が離婚し、その後に母親が再婚。しかし、その継父から10年間にわたる性的虐待を受け、魚田コットンさんは深刻な男性不信に陥ることとなる。あまりにも壮絶な半生を1冊の漫画にまとめる作業は、自身の傷口を再び開くような苦痛を伴うものだった。

初の書籍化にあたり、ブログで連載していた『うちの家族ってもしかしてオカシイですか?』をベースに、別社での連載作品『母の再婚相手を殺したかった。性的虐待を受けた10年間の記録』(竹書房)との差別化を意識しながら、初めてのコマ割り漫画制作に試行錯誤を重ねた。

自らの心と深く向き合う作業を経て、魚田コットンさんの心境には大きな変化が訪れたという。

「描くにあたって、自分の半生をさらに振り返ることになったので『私ってけっこう酷い生活をしてたんだな』と、気づくことができました。ブログで描いている段階でも、継父との話はまだしも、家庭環境はそこまで酷いとは思っていなかったので、改めて気づけたのはよかったかと思います。冷静に自分のことを俯瞰して見ることができたおかげか、人に対しても少し寛容になれた気がします。以前の自分は、もっと自分にも他人にも厳しかったのでーー」

「家族を辞めたい」と何度も願いながら、血のつながりという呪縛に抗い続けた魚田コットンさん。過酷な過去を客観的に見つめ直し、他者への寛容さを手に入れた彼女の言葉は、今もどこかで「うちの家族はオカシイかもしれない」と悩む人々の心を救う、静かな光となっている。

取材協力:魚田コットン(@33kossan33)

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