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彼の予約確認に並んでいたのは→よりによって、私がいちばん苦手な窓際の席だった

  • 2026.6.27
ハウコレ

スマホに届いた予約確認のメッセージを、私は何度か読み返しました。彼が選んでくれたのは、二人でよく話に出るあのお店です。ただ、添えられていた席の指定だけが、どうしても気になってしまったのです。

予約は取れた、と彼は言った

「予約は取れたよ。窓際の席、お願いしておいたから」

彼からのメッセージは、そんな一文で締めくくられていました。お店が取れたのは嬉しいはずなのに、私はすぐに返信を打てずにいました。窓際の席。それは、私がいちばん落ち着かない場所だったのです。

言えないまま、苦手な席だけが残った

あのお店の窓際は、入口の風がまっすぐ届く席です。以前に座ったときは、最後まで上着を脱げませんでした。人の出入りも近くて、料理の味より周りの動きにばかり気を取られてしまう。けれど私は、その苦手を彼にはっきり伝えたことがありませんでした。わざわざ言うほどでもないと、自分でのみ込んできたのです。

だからこそ、彼が選んだのが他でもないあの席だったことに、引っかかってしまいました。最近の彼は仕事が立て込んでいて、連絡も短くなりがちでした。私のことなんて、もう細かく気にかけていないのかもしれない。そんな考えがよぎって、それでも私は「ありがとう、楽しみにしてるね」とだけ返しました。

向かった先で、彼が口にした言葉

約束の日、案内されたのはやはりあの窓際の席でした。私は上着を膝にかけ、いつもより姿勢を正して座りました。向かいの彼は、メニューを開いたり閉じたりして、どこかそわそわした様子です。注文を終えてしばらくして、彼が窓の外に目をやりながら言いました。

「ここ、初めて二人で来たとき座った席だよ」

私が黙っていると、彼は続けました。

「どうしても同じ席がよくて、無理を言って頼んだんだよ」

覚えていなかったのは、私のほうでした。

そして...

「二年、付き合ってくれてありがとう」

そう言われて、私はやっと、自分が何を不安がっていたのかが恥ずかしくなりました。彼は私を気にかけていないどころか、二人の始まりの場所をわざわざ選んでくれていました。苦手だと一度も言わなかったのは私で、その沈黙を、彼は彼なりのやさしさで埋めようとしてくれていました。

次に気になることがあったら、のみ込まずに口にしよう。膝の上で小さくなっていた上着をたたみ直しながら、私はそう決めました。

(20代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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