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昔の“型破り”な主人公とは違う? 28年ぶりの続編で描かれた“弱さ”にこそある説得力

  • 2026.8.1
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反町隆史 (C)SANKEI

2026年7月20日、連続ドラマ『GTO』の放送がスタートした。本作は1998年に放送された反町隆史が元暴走族の型破り教師・鬼塚英吉を演じた学園ドラマの28年ぶりの続編。52歳になった鬼塚が、令和の高校生たちと向き合う姿が描かれる。

※以下本文には放送内容が含まれます。 

赴任先の学校で次々と問題を起こしては解雇される日々を過ごしていた鬼塚は、企業が運営する「私立誠進学園」の面接を受けて採用される。
再び教鞭を振るうことになった鬼塚は意気揚々と高校に向かうが、そこで待っていたのは、事なかれ主義の校長・大久保安博(宇梶剛士)。過去の因縁から鬼塚を敵視する教頭・中丸浩司(近藤芳正)、効率を優先して、生徒にも教育にも関心が薄い副担任の古典教師・柏原実央(生見愛瑠)、そしてタブレットばかり見ている生徒たち。

鬼塚は生徒たちと仲良くなろうとするが、何を言っても無関心で彼の言葉は届かない。また、学園には「教師フィードバック制度」という生徒が教師を評価する仕組みがあるため、生徒の反感を買うような態度を取ると、低評価を受けて解雇されることもあると柏原から指摘される。
鬼塚は、かつてのように生徒たちに対して自分の意見をストレートに伝えることができずに戸惑うのだが、不登校の生徒・片山健太(森本陸斗)の存在を知ると、彼の家に向かい、直接向き合おうとする。

続編であることに自覚的なドラマ

28年ぶりの続編となった反町隆史版『GTO』だが、脚本家の遊川和彦、監督の中島悟といった98年度版のスタッフが再結集している。

第1話の冒頭では、本作での共演がきっかけに反町と結婚した松嶋菜々子が演じる冬月あずさが登場し、SPドラマ『GTOリバイバル』でも話題になった夫婦共演を見せてくれた。
その後、鬼塚の元教え子・渡辺マサル(山崎裕太)と、98年度版では鬼塚と敵対する教師として登場した近藤芳正が演じる中丸浩司も教頭として再登場する。
何より嬉しかったのが、主題歌が98年度版と同じ反町隆史の『POISON~言いたいことも言えないこんな世の中は~』だったことだ。
OP映像では主題歌に乗せて、バイクで走る現在の鬼塚の姿の合間に98年度版『GTO』の名シーンが挟み込まれるのだが、やっぱり『GTO』と言えばこの主題歌だよなぁと思う。
同時に感じるのが98年当時よりも、令和の今の方がこの曲の歌詞のように、言いたいことが自由に言えなくて息苦しい思いを抱えている人が多いのではないかということだ。 その予感はそのまま、物語の中にはっきりと表れている。何より鬼塚が、生徒の低評価を恐れていつものように強引に行くことができなくなっている。

本作は98年度版『GTO』の続編であることにとても自覚的な作品で、優等生が集まる私立高校に鬼塚が赴任するという物語は、旧作を意識的になぞっているように見える。

また、第1話で鬼塚が最初に向き合うことになった不登校の片山が父親との関係に問題を抱えていたことも、前作で鬼塚が最初に向き合うことになった生徒・水樹ナナコ(希良梨)が家庭内別居状態の両親に心を痛めていた姿を彷彿とさせる。

50代になった反町が演じる、落ち着いた鬼塚

だが、ここまで状況を似せているのは、平成に放送された旧作と、令和が舞台の今作との違いをはっきりさせるためだと次第にわかってくる。

それを強く実感したのが、片山が、自分がコロナをうつしてしまったことで、母親の命が失われたことを鬼塚に告白する場面。マスクを着けて参列した葬儀の場で、父親の手に触れようとしたら避けられたことが片山の心の傷となっており、彼は小学5年生の時から、誰にも触れていなかった。ここでコロナのエピソードが語られたことには驚いたが、現在の高校生を描くのであれば、2020年以降のコロナ禍は避けては通れないのだろうと納得した。

また、片山の話を真剣に聞く鬼塚の表情も素晴らしかった。
98年度版『GTO』と比べると、鬼塚の行動は、だいぶ抑制の効いたものとなっており、破天荒なヒーロー性は薄まっている。 だが、50代の鬼塚には年齢を重ねたからこそにじみ出る優しさがある。
片山の苦しみと彼が真剣に向き合う姿はとても感動的で、コロナの影響によって他人に触れることができなかった片山が鬼塚のバイクに乗る際に、後ろから腰に腕を回して掴まる姿を見て、これこそ令和の学園ドラマだと感じた。

昔と変わらない破天荒なヒーローとしての鬼塚を描くこともできただろうが、本作では、年齢を重ねて教師として揉まれてきたことで、少し弱々しくなった鬼塚を描こうとしている。
このあたりは現在の反町隆史の佇まいに合わせたのかもしれない。 『グレイトギフト』や『ラムネモンキー』といった近作のドラマで反町は、くたびれた中年男性を演じており、90年代の軽薄だが優しいヒーロー性とは違う味のある等身大のおじさんを演じられるようになっている。今回の鬼塚もその延長線上にある役柄だが、いざという時は、昔の鬼塚に戻ってがむしゃらになる。

これから鬼塚と生徒たちの関係がどうなっていくのかはわからないが、まずは令和の『GTO』を作るにあたって、おじさんになって昔よりも落ち着いた鬼塚の姿を描くという姿勢は間違っていないと感じた。


出典:カンテレ・フジテレビ系 月10ドラマ『GTO』公式HP より

ライター:成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)、『テレビドラマクロニクル 1990→2020』 (PLANETS)がある。

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