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「スタッフが壊したんじゃないか?」補聴器が聞こえず怒鳴る利用者…数日後、“発覚した真相”に「思わず驚いた」

  • 2026.7.16
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「補聴器が聞こえない」と怒りをあらわにする利用者様。電池を交換しても改善せず、スタッフへの不信感も募っていきました。

故障だけでなく、耳の異常も疑って耳鼻科を受診すると、原因は思いもよらないものでした。利用者様の言葉の背景にある思いに目を向けること。その大切さを教えられた出来事です。

「補聴器が聞こえない」と訴えた利用者様

これは、わたしが有料老人ホームで働いていた頃の出来事です。

ある日、80代の男性利用者様から「右耳の補聴器が聞こえなくなった」と相談を受けました。

普段から聞こえにくい右耳に補聴器を使用されていましたが、その日の利用者様は表情も硬く、不安そうな様子でした。

介護スタッフが補聴器の電池を交換しましたが、「やっぱり聞こえない」と訴えは続きます。

原因は補聴器以外にあるのかもしれない。そう感じました。

利用者様の不安は怒りへと変わっていきました

思うように改善しない状況に、利用者様は次第に落ち着きを失っていきました。

「電池を替えたばかりなのに、スタッフが壊したんじゃないのか。」

「家族に新しい補聴器を買ってきてもらいたい。」

不安は次第に怒りへと変わり、施設長にも繰り返し訴えられるようになりました。

周囲の利用者様も心配そうに様子を見守っていました。

聞こえづらさは、会話がうまくできないもどかしさにもつながります。普段は穏やかな利用者様だっただけに、思うように伝わらない状況が、不安や苛立ちを大きくしていたのかもしれません。

施設のスタッフ間で、

「補聴器が故障しているのかもしれない。」
「耳に何か異常が起きているのではないか。」

とさまざまな可能性を話し合い、ご本人とご家族の了承を得て後日耳鼻科を受診することになりました。

 原因は補聴器ではありませんでした

耳鼻科では聴力検査や診察が行われました。

利用者様は診察室でも、「補聴器が聞こえないので直してください」と大きな声で訴えていました。

すると、医師が耳の中を確認してすぐに言いました。

「耳垢がたくさん詰まっていますね。掃除しましょう。」

耳掃除が始まると、次々と耳垢が出てきます。その様子に、思わずわたしも驚いてしまいました。

耳掃除を終えて補聴器を装着すると、利用者様は「ああ、聞こえる」と笑顔を見せてくださいました。

右耳の聞こえにくさは補聴器の故障ではなく、耳垢が原因だったのです。

訴えの背景にあるものを考える

施設でも耳掃除を行うことはありますが、安全面を考慮して耳の奥まで処置することはできません。

そのため、日々少しずつ耳垢がたまり、聞こえにくさにつながっていたようです。

今回の出来事を通して感じたのは、利用者様の言動を「高齢ゆえの思い込みだろう」と決めつけないことの大切さでした。

利用者様の怒りの背景には、「聞こえなくなってしまった」という不安がありました。

もし「補聴器が古くなっただけだろう」「年齢のせいかもしれない」と思い込み、受診を見送っていたら、利用者様は聞こえにくいまま不安な毎日を過ごしていたかもしれません。

介護の現場では、ときに利用者様が感情的になる場面もあります。

そんな時こそ、目の前の言葉を受け止め、「なぜそう感じているのだろう」と言葉の背景に目を向けることが大切です。

利用者様の訴えの背景には、本人しか分からない不安や身体の変化が隠れていることがあります。その理由を決めつけず、一緒に探していく姿勢をこれからも大切にしていきたいと感じた出来事でした。


文:しまむらけいこ/介護福祉士・Webライター 

介護福祉士として10年以上、デイサービスや入所施設などさまざまな介護現場で経験を積む。現在も介護職として働くかたわら、Webライターとして活動。介護や暮らし、働き方について発信している。二児を育てるワーキングマザー。


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