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お中元の配達で「冷凍鮭が溶けてました」翌日にクレームが…2度目の配達で判明した“意外な盲点”に「なるほど」

  • 2026.7.11
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

皆さまこんにちは。元宅配員のmiakoです。

お中元シーズンがやってきました。
この時期は、ハムやビール、アイスやゼリーなど、涼を感じさせてくれる贈り物が全国を行き交う季節です。
私もよくそんな「品名」が書かれた荷物をお届けに走りました。

冷たいものをおいしいまま届けたい、そんな気持ちで送り主も宅配員も一生懸命になる時期でもあります。
今回は、そんな冷凍便にまつわる、ちょっとしたミステリーのようなエピソードをお話しします。

冷凍庫ぎりぎりの大きな箱

当時、私は冷凍保管庫付きの軽トラックで配達をしていました。
出勤するとまず車のエンジンをかけ、冷凍保管庫を冷やすところから一日が始まります。

お中元のシーズンは、普段よりも冷凍や冷蔵の商品が多くなり、特に夏場は温度管理に気を配らなければなりません。

そんなある日、細長く大きな冷凍の箱が届きました。
箱には大きく「新巻鮭」とプリントされており、中身は鮭がまるごと一匹入っていると思われました。
ただ、その長さが問題でした。

私の軽トラックの冷凍庫に入れるには、かなりぎりぎりの大きさだったのです。

他にも入れなければならない冷凍商品があり、一番奥に入れてしまうと後から取り出しにくくなります。
かといって手前に入れようとすると、鮭の箱が邪魔になって奥のものが取り出しにくくなります。
この荷物に時間指定がなかったことと、他にも午前中指定など時間指定の冷凍荷物がたくさんあったため、庫内に入れられる数や箱の大きさを踏まえて、これは一旦事務所の冷凍庫で保管し、午後便でお届けすることに決めたのでした。

その日の荷物が減った夕方、いよいよ新巻鮭のお届けに向かいました。
冷凍保管庫はずっと稼働しており、庫内の温度計はマイナス18度を示していました。

到着すると、荷物を保冷用のシートに包み、早足でお客様のご自宅へ向かいます。
お荷物をお渡しすると、お客様は嬉しそうに受け取ってくださいました。

普段通りの流れでお届けしたこともあり、その日は特に気になることもなく、そのまま業務を終えました。

翌朝届いた「鮭が溶けていた」というクレーム

翌朝、出勤してすぐに事務の方に呼ばれました。

昨日お届けした冷凍の新巻鮭のお客様から、あなたが帰った後にクレームが入って、『鮭が溶けていた』とのことです

背筋がすっと冷たくなるような感覚がありました。
温度管理は適切だったはずで、お届け前の冷凍庫の温度もマイナス18度だったのを覚えています。

それでも、私が帰った後にクレーム対応を引き継いだ夜担当のドライバーが、お客様のもとへ謝罪と現物確認に伺うと、凍って届くはずの鮭が溶けかけてシャーベット状になっていたそうです。

そのまま回収し、新しいものと交換する手配になったという、事後報告でした。

万全を期した2度目の配達、それでも同じ結果に

数日後、代替品の新巻鮭が届きました。

前回とまったく同じ箱、同じ冷凍状態です。
今回も時間指定はありませんでしたが、箱を開けて中身を確認したわけではないので、本当にしっかり凍っているかはわかりません。
また同じクレームになったらどうしよう…。そんな不安がよぎりました。

そこで、センター長に相談することにしました。

軽トラックであっても車の特性上は問題ないと思うものの、もし冷気が漏れたまま配送していたり、何らかの原因で凍りきっていなかったのかもしれないと、色々と心配になったからです。

「あまり心配はないと思うけれど、同じ状況でまたクレームになる心配があるなら、状況を変えてみましょうか」

「時間指定がなく、夜でもいいなら、前回のことも確認したいので自分が届けに行きます」と、代わりの配達を申し出てくださいました。

営業所の冷凍庫で夜まで保管したうえで、センター長の乗る2トントラックで、センター長自身の配達を終えてから新巻鮭を届けに行ってくれることになりました。

その翌日、出勤後にセンター長のもとに行き、新巻鮭のお客様の件を確認しました。

「あ、あのお客さん、全然大丈夫でした!」

笑顔でその時の状況を教えてくれました。

夜の配達までしっかり事務所の冷凍庫で保管し、トラックで運んだ新巻鮭を、玄関先でセンター長とご家族が見守るなかで開封したところ、やはり鮭は完全には凍っていなかったそうです。

それを見たセンター長は、「ああ、なるほど」と思ったと言いました。

判明したのは「配送ミス」ではなく塩鮭の特性だった

完全に凍っていなかった鮭でしたが、これは配送に問題があったわけではありませんでした。

大量の塩に漬けられた海産物などは、家庭用の冷凍庫に保管してもカチカチには凍りにくいという性質があるそうです。
これには塩分が関係しています。

水は0度で凍りますが、塩が溶けていると水が凍る温度が下がる「凝固点降下(塩分が入ることで凍る温度がさらに低くなる現象)」が起こるためです。
塩分濃度が高い辛口の塩鮭などは、凍るために必要な温度がマイナス18度を下回ることもあり、冷凍庫の温度では結晶化しきれずシャーベット状のまま届くことがあるのだそうです。

そして、宅配トラックの冷凍保管庫は、あくまでも「保冷」のための設備です。
すでに凍っているものを冷たいまま保つ機能はあっても、常温のものを凍らせる機能はありません。

お客様はカチカチに凍った状態を想像されていたようでしたが、これは塩分による半解凍状態で、正常な状態だったのです。

センター長が念のため前回の荷物の状態も確認したところ、今回とほぼ同じ状態だったとのことでした。
お客様がこの半解凍状態を「溶けてしまった」と受け止めてしまっただけで、配送そのものには問題がなかったことがわかりました。

そのため、センター長がお客様にこの状態を説明し、前回も今回も問題がないとわかると、お客様は納得して受け取ってくださいました。

冷凍品はしっかり凍ったまま届くものだという印象を持たれる方も多いかもしれませんが、なかには凍りきらない性質のものもあります。
特に塩漬けの海産物は、冷凍であっても半解凍の状態になることがあるのだと、私自身このできごとを通じて学びました。

冷凍便で気をつけたいポイント

とはいえ、なかには本当に配送側の問題が疑われるケースもあります。

中身が芯まで完全にやわらかくなり、魚の脂や赤みがかった水分が袋の中に大量にたまっている場合は、配送中の温度管理に問題があった可能性があります。
また、一緒に届いた保冷剤や、塩分を含まない冷凍食品まで溶けてやわらかくなっている場合は、配送中に温度が上がっていたことがうかがえます。

もし他の商品も溶けていたり、全体的にぬるい状態で届いた場合は、受け取ったそのままの状態で、すぐに配送を担当した営業所へ連絡することをおすすめします。

一方、正常な半解凍(シャーベット状で芯は硬い状態)で届いた場合は、そのままご家庭の冷凍庫、できれば急速冷凍の機能や温度の低い場所に保管するとよいでしょう。

宅配便のトラックでの冷凍保管庫の設定温度は通常、マイナス15度からマイナス18度程度で管理されています。

普通の水や冷凍食品であればしっかり凍る温度ですが、塩分の強い新巻鮭にとっては、ぎりぎり凍りきらずシャーベット状になってしまう温度にあたるのだそうです。そのため、冷凍庫が正常に機能していても、やわらかい状態で届くことがあります。

鮮度のよい状態で贈り物を届けたいという気持ちは、とてもよくわかります。
ただ、宅配便の冷凍設備は、あくまで「凍っているものを溶かさないように冷たいまま運ぶ」ための保冷システムであり、常温のものを一から凍らせる力はありません。

そのため、贈る側があらかじめマイナス15度以下で12時間以上しっかり凍らせておく「予冷」を行うことが、配送中の温度変化に負けないための大切な準備になるようです。

 

それでも今日も走り続ける

同じ状況でも、商品の性質によって受け取り方の印象が変わってしまうことがあるのだと、このできごとを通じて改めて感じました。

宅配員としてできる限りの対策を尽くしても、誤解が生まれてしまうことはあります。
そんなときこそ、原因をきちんと確認し、お客様に丁寧に説明していく姿勢が大切です。

これからも、宅配員とお客様の間に、あたたかい信頼関係が積み重なっていきますように。
今日も全国のどこかで、荷物と一緒に小さな物語が交わされていることを願っています。



ライター:miako
宅配ドライバーとして10年以上勤務した経験を生かし、現場で出会った人々の温かさや、働く中で積み重ねてきた"宅配のリアル"を、経験者ならではの視点で綴っています。
荷物と一緒に交わされてきた小さなエピソードを、今は文章としてお届けしています。


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