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約5,800万円で手に入れた憧れのビルドインガレージ…30代夫婦が夏になって初めて分かった“大誤算”【一級建築士は見た】

  • 2026.7.14
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「あこがれのビルトインガレージだったのに、夏になったら、車のにおいが2階のリビングまで上がってくるんです。エンジンを切ったあとも、ドアを開けるたびに、ガソリンのようなにおいが入ってくる」

そう話すのは、都内近郊にビルトインガレージ付きの注文住宅(築3年・延床35坪・約5,800万円)を建てたCさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。車好きのCさんにとって、念願のガレージでした。

「換気の設備はついていたので、まさかにおいで悩むとは思っていませんでした」とCさんは振り返ります。

なぜ、ガレージのにおいが家の中まで入ってくるのか

ビルトインガレージは、住まいと一体になった駐車スペースです。車のある空間と暮らす空間がドアをはさんで隣り合うため、エンジンをかけたときに出る排気ガスやガソリン、オイル、ゴムのにおいが、ドアの隙間や開け閉めのたびに室内へ流れ込むことがあります。エンジンを切ったあとも、ガレージ内にはにおいの成分がしばらく残り、こもった空気が入れ替わらないかぎり、室内へ入り続けます。

しかも、暖まった空気は上へと動くため、1階のガレージから入ったにおいは、階段を通って2階のリビングまで広がっていくことがあるのです。

見落としやすいのが、家全体の空気の流れです。いまの住宅には24時間換気が義務づけられ(建築基準法)、多くはファンで室内の空気を吸い出すため、室内はわずかに気圧が低くなりがちです。すると、ガレージとの間のドアの隙間などから、ガレージ側の空気が居室へ引き込まれることがあります。つまり、ガレージに換気設備があっても、空気の流れる向き次第では、においはガレージから居室へ入ってくるのです。

この24時間換気が義務なのは「居室」で、車庫は対象外です。居室側は常に換気されて気圧が下がるのに、ガレージ側は自動では換気されないことも多く、換気扇を回さずにいると、その空気が居室へ引き込まれやすくなります。

なお、排気ガスには無色無臭の一酸化炭素も含まれます。においのある成分とちがって気づきにくく、締め切ったガレージでエンジンをかけ続けると一酸化炭素中毒を引き起こし、最悪の場合は命に関わる危険があります。これが、におい対策以前に、換気そのものが欠かせない理由です。

夏は、においがいっそう強くなりやすい

このにおいの問題は、夏にとくに強く出ます。ガレージは居室のような断熱がされていないことが多く、夏は内部の温度がぐっと上がります。ガソリンやオイル、ゴムなどのにおいの成分は温度が高いほど気化しやすいため、こもった熱気とともににおいが強まります。

加えて、夏は暑くて窓を開けにくい季節です。冷房で窓を閉め切ると、換気で生じる負圧をやわらげる外気の入り口がなくなり、そのぶんガレージから空気を引き込みやすくなります。暑さでにおいが強まり、なおかつ抜けにくいのが夏なのです。

Cさん夫婦はどう対応したのか

においに悩んだCさん夫婦は、「ガレージの空気を室内に流さない」ことを軸に見直しました。それまで乗るときだけ回していた換気扇を、エンジンを切ったあともしばらく回して、排気や熱気を外へ出してから止めるように。

エンジンは、シャッターを開けてからかけ、入庫したらすぐに切る。これも家族のルールにしました。

「ガレージの換気を先にして、家の中に流れ込む前に外へ逃がす。その順番を意識するだけで、ずいぶん違いました」とCさんは振り返ります。

ビルトインガレージを選ぶときは「換気と空気の流れ」も考えて

家の中から愛車に乗り込めるビルトインガレージは、車好きにとって大きな魅力です。一方で、車のある空間と暮らす空間がひと続きになるぶん、においや空気の流れへの目配りが欠かせません。検討するなら、デザインや使い勝手だけでなく、換気と空気の流れまで意識してみてください。

・ガレージ専用の換気扇や換気口があるか(シャッターと反対側など、空気が流れる配置か)
・ガレージと居室の間のドアは、気密性の高いものか
・ガレージと居室の間に、廊下や収納などのワンクッションを置けるか
・寝室や子ども部屋は、ガレージからできるだけ離した配置になっているか

大切なのは、「車と一緒に暮らす」ことは「車の空気とも隣り合う」ことでもあると知っておくこと。そのうえでガレージの換気や居室との気密まで考えておけば、夏のにおいの悩みはぐっと小さくできます。

参考: 住宅等における換気等に関する情報提供について(国土交通省)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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