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ノッてる男・パク・ジフン主演『伝説のキッチン・ソルジャー』は韓ドラコメディの良さが詰まっている

  • 2026.6.24

『弱いヒーロー』と映画『王と生きる男』の大ヒットも話題のパク・ジフン。最新ドラマ『伝説のキッチン・ソルジャー』は、ど田舎の小隊に配属され、やったこともないのに炊事兵になっちゃった「精神的引きこもり青年」が、その真面目さと頑張りと、何より料理の味で、軍隊を変えていくお話ーーって書くと普通に清々しい成長ドラマみたいに見えますけど(いやそれも間違ってないけども)、このドラマが何よりも最高なのは常軌を逸して凝りに凝ったアホっぷりなんです!!知られざる軍隊メシの世界、そして美味しそうな料理と可愛さで、見てる私たちのみならず、先輩たちからオッサンまで陥落させてゆく様も最高。もやもやする気持ちを、美味しさと笑いで吹っ飛ばしてくれること間違いなし!

軍隊×グルメ×ファンタジーという異色コラボ!

ドラマの舞台は、みるからに田舎のカンリム小哨(めっちゃ小さい基地のこと)。そこに新兵としてパク・ジフン(『弱いヒーロー』)が配属されたところから物語は始まります!ジフンは内向的でどこで働いてもいまいち馴染めず、どこか現実から足が浮いたような感じで生きてきた人なんですけど、軍隊に入って最初の訓練所でなんと「最優秀訓練生」に。

等級とフルネームをいちいち大声で名乗る軍隊あるあるも頻発。 © 2025. CJ ENM Japan/ STUDIO DRAGON all rights reserved

でも配属先に着くと、なぜか「VR(メガネも掛けてないのに、なぜか)ゲームの中」みたいな感じで、常に空中に「このクエストに参加しますか?」とか「〇〇のアイテムを使いますか?」とかが浮かび上がるようになっちゃうんですね。どこか虚ろでオドオドと挙動不審な(空中のゲームと会話してるから)上に、入隊時に「ゲーム依存で鬱気味」と診断されたジフンを、周囲は「取り扱い注意のポンコツ新兵」と思いはじめます。

(c) STUDIO DRAGON CORPORATION & TVING Co., Ltd. All Rights Reserved

そんな中、誰よりも考えなしの小哨トップ、中隊長イ・サンイ(『ブラッドドッグ』)が、「母親がキッチンカーやってるから」という理由で、ジフンを炊事兵に抜擢。現在、小哨の食事を仕切っているのは除隊間近で料理センスゼロの兵長イ・ホンネ(『悪霊狩猟団カウンターズ』)なんだけども、ジフンはこの人の料理を食べてあまりのマズさにぶっ倒れます!隊員たちは、圧の強い上官で胸肉しか食わない筋肉野郎のホンネに正面切って「マズい!!!」とは言えず、言ったとしても全然変える気なしなホンネに、「食い物の恨み」をつのらせているんですね~~~!!!!

パク・ジフンお得意の少年味残した寂しげで傷ついた青年

韓国ドラマでは「時代劇×ゾンビ」とか「ラブコメ×ホラー」とか「刑事もの×ファンタジー」みたいな「どーなっとんのや」と思わせるクロスジャンルがたくさんありますが、本作も「なんやそれ」って感じの「軍隊×グルメ×ファンタジー」です!

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軍隊ものと言えば、軍隊内のいじめの実態を暴いた衝撃作『D.P 脱走兵追跡官』以降、私の大好きな『新兵 僕はスーパーVIPソルジャー』とか『軍検事ドーベルマン』とか面白い作品が次々と登場しているジャンル。そういう作品同様に、「軍隊メシ」を切り口に、「軍隊という知られざる世界」を描いた作品です!申し訳程度に腹筋やる場面とかもありますけど、中心にあるのはメシ、屋外演習描いても「屋外メシで腹下した」とか「勝利のきっかけはメシ」みたいにメシ関連に笑える形で落とし込む、原作マンガ天才だろという話になっています!

制作記者会見にて。やはり演技ドルだけあってビジュがいい! JTBC PLUS / Getty Images
今年の百想芸術大賞では人気賞と新人賞の二冠に。こんなポーズだって抵抗なくできちゃうのはアイドル出身だから。 HLL / Getty Images

さてドラマの見どころは、ジフンの可愛さです!とか言いたいところなんですけど!いや、もちろん「子役時代(「Wanna One」以前の7歳から、ドラマとかバラエティに出てた)とほぼ変わらずかわいいまんま!!!」とか思うんだけど、こういう「少年味残した寂しげで傷ついた青年」っていうキャラクターは、今年の春に大ヒットした『王と生きる男』やら『遠見には緑の春』やら『弱いヒーロー』やら、ジフンがこれまでにさんざん演じてきた当たり役そのまんま、つまるところ無敵に得意技なんですね!

『弱いヒーロー シーズン2』より。 Netflix

ドラマはめちゃめちゃコメディなんだけど、ジフンが演じることで独特のしっとり感も担保されてるつうんでしょうか!

このポスターを見るだけでわかるジフンの奥行きのあるコメディっぷり。 (c) STUDIO DRAGON CORPORATION & TVING Co., Ltd. All Rights Reserved

例えば、何度もやればワンパターン的な退屈なシーンになっちゃうだろう調理の場面とか、空中のVRに目を奪われポカーンとしてるかと思えば、その合間には入隊直前に死んだ父親の幻影に涙浮かべ、同じ切な顔で料理を食べる兵士たちの頭の中(※後述!)で、めっちゃ変なコスプレしてる!ワケワカメだと思いますけど、つまりどの場面でも「その場面用」の演技でなく、均等に可愛いくせして(くせして?)、きっちり笑いも涙も取れるわけです!ペラっとしたコメディでなく、奥行きを出せる、これぞ得意技、これぞ存在感!って感じのジフンをお楽しみいただけると思います!もちろん、愚直にひたむきにミッションに取り組む、天然っぷり炸裂の姿もめっちゃ可愛い!てか結局可愛いんかい!

美味しさの表現のクセがすごい!アイドルグループまで誕生

さてもう一つの切り口はもちろん「グルメ」なんですけど、本作が数多の大ヒットグルメドラマと一線を画すのは、めちゃくちゃ力の入ったその「美味しさ(不味さ)」の表現です!なんつうか、ネジが外れちゃってると言うんでしょうか!

ドラマでは人物たちが料理をひとくち食べた瞬間に、その味に覚える「がつーん!」とか「ぽわわーん」とか「うわあああ」みたいな感じを、妄想形式で映像化してるんですね。例えば初回で食べたジフンがぶっ倒れることになる「しょっぱすぎるテンジャンチゲ」では、「悪の帝王みたいに高笑いするホンネの前にある地獄の鍋の中でジフン溺れる」みたいな描写になっているんですけど、そんな感じで「こんなマズイもん食ったら死ぬ」とか「あまりに美味しくて天にも昇る気持ち」とか、セリフで言ったら2~3秒の展開を、いちいち1~2分、下手すりゃ3~4分かけて、「あまりにアホらしくて意味不明だけど多幸感だけはわかりました」という爆笑映像にしています!話が進むとどんどん長くなるんで、このあたり韓国でも大好評だったに違いない!つうかこのドラマで一番金かかってるのそこなんじゃなかろか!という仕上がりです!

私が最高に笑ったのは、2話の「脱北者が生まれて初めて食べた南朝鮮のとんかつ」と、5話の「ホンネのソルロンタンに込められた真心に打たれた補給官ユン・ギョンホ(『トラウマ・コード』) featuring 某名女優」、そして6話の「『MY FLAVOR』by味覚ボーイズ featuring 中隊長イ・サンイ」!

いやでも考えてみたら、舞台となる「カンリム小哨」は何にもない山の中、かつ「左遷者とダメ軍人の吹き溜まり」のような極小基地で、食べることは軍人にとって唯一の楽しみなんで、食事による喜怒哀楽はこのくらい増幅しちゃうっていうことなのかもしれません!作り手がどうかしてるだけかもしれませんけども!

ジフンが繰り出すアイディア料理が秀逸

グルメの切り口としてもうひとつ触れたいのが、ゲーム様に導かれてジフンが作り出す様々なひとひねりのアイディア料理です!

難あり食材と軍の備蓄品を掛け合わせてミラクルを起こす。 (c) STUDIO DRAGON CORPORATION & TVING Co., Ltd. All Rights Reserved

もちろん「おお、なんやらうまそう」って感じもありますが、家で「なんか食べたいんだけど、残り物以外何もない」みたいな時にに使えそうなアイディアが満載つうんでしょうか!

例えば「トッポギの甘みに〇〇を使う」とか「肴の臭み消しに〇〇を使う」とか「牛肉がない時には、わかめスープに〇〇を入れる」とかいろいろあるんですけど、個人的には文字にするとなんか怖い「食う気失うビニール飯(名前すごい)を〇〇と〇〇でおしゃれイタリアンに」ってのをやってみたいです!韓国人の「しょっぱい料理にジャムつける」的感覚はここでも健在ですけど、それは個人的には「ごめんなさい」でした!

料理人を主人公にしたグルメジャンルは、古くは『宮廷女官チャングムの誓い』とか『製パン王キム・タック』、ここ最近では『哲仁王后 俺がクイーン?!』に『暴君のシェフ』に、さらにはドラマじゃないけど『白と黒のスプーン』なんかも含めて、とにかく大ヒット作が多いんですね。

なんで盛り上がるかっつうたら、韓国人が大好きな「競い合い」、別の言葉で言えば「サバイバル」があるから。ポカーンとしたジフンが主人公で、全体としちゃあ牧歌的なこの作品もそのご多分に漏れず、終盤は「競い合い」が始まります。その相手は、軍きってのエリート料理人ーー幹部食堂のシェフなんです!っていうか「幹部食堂」って何?って話ですけど、韓国の軍隊にはフルコースディナーさえ食べられる幹部のみが使える食堂があるんですよ!コリア・ザ・階級社会in軍隊!そこにいるレベチの料理人(軍人ですけど)と、ジフンは対決することになります!さらにここには、ジフンが知りたくないのにうっかり知ってしまった軍隊の暗部も絡んでくるんですね~。

最後に触れたい、おっさん俳優たち

この連載を読む人にはまったく興味なしかもですが、このドラマ的にはめちゃめちゃ重要な要素「おっさんたち」に触れさせてください!

記者会見より。 JTBC PLUS / Getty Images

もちろんこのドラマは脚本も、演出も、主演のジフンもいいけども、何がこのドラマを最高に面白くしているかと言えば、イケメンでもない周囲の面白個性派たち、そしてその大部分を占める「オッサン俳優たち」です。まず最高なのはカンリム小哨の2トップ、犬猿の仲のイ・サンイ中隊長とユン・ギョンホ補給官。

Coutesy via TVING

そもそもど田舎の小基地カンリムは「ダメ軍人の吹き溜まり」みたいなところで、そのトップであるサンイは「訓練所の同期のうちダントツのビリ」だった男で、格好ばっかり気にするわ、下手な英語を混ぜながら話すわ、部下の手柄を自分の手柄のように話すわ、さらにそれが自分以外の人にバレバレという、最悪の上司。ギョンホはそういうサンイが大嫌いな、出世とかあんまり考えてないもろ田舎のオッサンというタイプです。カンリムはある陰謀の舞台になっていると同時に、軍内でぞんざいに扱われている小隊で、数々のピンチが降り掛かってくるわけですが、それをどうにか乗り越えるうちに互いを認め合うようになります。

幹部にもおっさん名優たちが勢ぞろい! courtesy via TVING

その媒介として、「美味しい食事」を武器に窮地のカンリムを救いたいと頑張るジフンがいるのはもちろんなんですけど、自室に大量のオヤツ&おつまみを隠し持ってコソコソ食ってるギョンホの中盤の頑張りぶりとか、あんなにダメ上司だったサンイの後半の変貌ぶりとか、もう最高に面白く感動的で、このおっさんたちこそがこのドラマのMVP!ちなみにサンイは特別出演でこんなに出るはずじゃなかったみたいなんですけど、この人があまりに芸達者ゆえに、最後の最後にはほぼ主演クラスになってたというwww。悪役のチョン・ウンイン(『刑務所のルールブック』)とか、犬を溺愛する大隊長のアン・ギルガン(『広場』)も最高!というところで文字数!!

Disney+


「伝説のキッチン・ソルジャー」
ディズニー+にて全12話配信中。

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