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「話すスピード」と「礼儀正しさ」に関連性があると判明

  • 2026.6.24
Credit: canva

礼儀正しく丁寧な人は、どこか話し方も落ち着いて聞こえるものです。

逆に、早口でまくしたてられると、たとえ言葉づかいは丁寧でも、少し急かされているように感じることがあります。

では私たちは、相手の「話すスピード」から礼儀正しさを読み取っているのでしょうか。

新たな研究は、この直感が単なる気のせいではない可能性を示しました。

イスラエル・テルアビブ大学(Tel Aviv University)の研究により、人は丁寧に話そうとすると実際に話す速度を落とし、聞き手もゆっくりした話し方をよりフォーマルで礼儀正しいものとして受け取りやすいことが示されました。

研究の詳細は2026年5月27日付で学術誌『Social Psychological and Personality Science』に掲載されています。

目次

  • 礼儀正しさは「話すスピード」に表れる
  • 丁寧に話そうとすると、人は実際にゆっくり話す

礼儀正しさは「話すスピード」に表れる

私たちは誰かと話すとき、相手によって言葉づかいを変えています。

親しい友人に話すときと、初対面の人や上司に話すときでは、自然と表現が変わるものです。

しかし、変わっているのは単語だけではありません。

声の大きさ、声の高さ、間の取り方、そして話すスピードも、社会的な意味を持っています。

研究チームは、このうち「話すスピード」が礼儀正しさと関係しているのではないかと考えました。

丁寧さは、相手との社会的距離を調整するための手段だと考えられています。

たとえば、相手の地位が高い場合、大きな頼みごとをする場合、あるいは相手とあまり親しくない場合、人はより丁寧に話そうとします。

このとき、ゆっくり話すことは、相手に注意を向け、会話に手間をかけているというサインになる可能性があります。

そこでチームは、事前登録された4つの実験、合計369人を対象に、話すスピードと礼儀正しさの関係を調べました。

最初の実験では、ヘブライ語話者102人にフィンランド語の短い音声を聞いてもらいました。

参加者はフィンランド語を理解できないため、言葉の意味ではなく、声の印象だけで判断することになります。

研究者たちは同じ音声について、音の高さを変えずに、少し遅い版と少し速い版を作りました。

遅い音声は元の速度の86〜92%、速い音声は112〜122%に加工されました。

参加者はそれらを「丁寧でフォーマル」か「くだけていてインフォーマル」かに分類しました。

その結果、75%の割合で、遅い音声が丁寧、速い音声がカジュアルだと判断されました。

つまり、言葉の意味がわからなくても、人は話すスピードだけを手がかりに、礼儀正しさを読み取っている可能性が示されたのです。

丁寧に話そうとすると、人は実際にゆっくり話す

次にチームは、聞き手の印象だけでなく、話し手自身の意図にも注目。

英語話者100人を対象にした実験で、参加者に、見知らぬ人に小さな頼みごとをする場面を想像してもらいました。

半数は「丁寧でフォーマル」に話すように、残りの半数は「カジュアルでインフォーマル」に話すように指示されました。

その後、同じ内容を反対の話し方で言うなら、速く話すか遅く話すかを尋ねました。

すると80%の人が「丁寧にするなら遅く、カジュアルにするなら速く話す」と答えました。

さらに別の94人を対象にした追試では、「速度を変えない」という選択肢も用意されました。

それでも63%の回答が、丁寧に話すなら遅くするという仮説と一致しました。

ただし、ここまでの実験は、聞き手の判断や話し手の自己申告に基づくものでした。

そこで最後の実験では、実際の発話が録音されました。

対象となったのは、ヘブライ語を話す73人です。

参加者には、見知らぬ学生に質問票への記入をお願いする同じ台本が渡されました。

一方のグループは丁寧に、もう一方のグループはカジュアルに読むよう指示されました。

重要なのは、両グループの台本が完全に同じだった点です。

その結果、丁寧に読んだグループの録音時間は平均29.66秒でした。

一方、カジュアルに読んだグループは平均27.94秒でした。

わずか1.7秒ほどの違いですが、この差は統計的に有意でした。

しかも研究者は、参加者に「話す速度を変えてください」とは一切伝えていません。

つまり、人は丁寧に話そうとしただけで、無意識のうちに話すスピードを落としていた可能性があります。

この結果は、礼儀正しさが言葉づかいだけでなく、声のテンポにも表れることを示しています。

もちろん、ゆっくり話せば必ず丁寧に聞こえるわけではありません。

あまりにも遅すぎる話し方は不自然に感じられ、逆に印象を下げる可能性があります。

また、今回の研究では文化差や年齢差、男性でも同じ傾向が見られるかは十分に検討されていません。

そのため、この効果がどこまで普遍的なのかは、今後の研究で確かめる必要があります。

それでも今回の研究は、私たちが日常会話の中で、かなり微妙な声の手がかりを使って相手との距離感を調整していることを示しています。

丁寧さは、ただ正しい敬語を選ぶだけで生まれるものではないのかもしれません。

相手に配慮していることは、ほんの少しゆっくり話すという小さなテンポの変化にも表れているのです。

参考文献

New psychology research finds a subtle link between speaking speed and politeness
https://www.psypost.org/new-psychology-research-finds-a-subtle-link-between-speaking-speed-and-politeness/

元論文

An Association Between Speech Rate and Politeness
https://doi.org/10.1177/19485506261447555

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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