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奈良市が富裕層に向けて完全オーダーメイドの旅を提案する稀覯(ki kou)を始動

  • 2026.6.22
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奈良市観光協会が新たに発表したラグジュアリー観光ブランド稀覯(ki kou)。奈良を「観る場所」ではなく、「向き合う場所」として再提示する取り組みの一環として、VIP向けのオーダーメイド型滞在プログラムをスタートさせました。由緒ある社寺をはじめとする伝統文化をテーマに、一期一会の体験をカスタマイズしてくれる新たな旅のスタイルが提案されます。

オーダーメイドで体験プログラムを提案するラグジュアリー観光ブランド稀覯とは?

「薬師寺」国宝薬師三尊像 ※イメージ 写真提供:奈良市観光協会

奈良に古くから伝わる精神や美意識を現代的に再編集した滞在型プログラムを提供する、奈良市観光協会のラグジュアリー観光ブランド稀覯。奈良の文化や歴史を五感で捉え、内面に響く体験を国内外に向けて発信しています。それぞれの参加者の関心やテーマ、滞在の目的に寄り添い、企画から商品造成、販売に至るまでを一貫して設計するオーダーメイド型で、問い合わせベースに対話しながら旅を具体化していく仕組みに。

「薬師寺」国宝東塔四相像結縁 特別写経 ※イメージ 写真提供:奈良市観光協会

大型グループではなく1グループ8 人程度までの少人数のためだけに、通常は非公開の場所や国宝、重要文化財をプライベートに公開するという贅沢な内容です。

稀覯の取り組みについて奈良市観光協会の髙橋一専務理事にインタビュー

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奈良でしか得られない精神的なリトリートの価値を、体験型のプログラムとして提案する稀覯。奈良市観光協会で観光プロモーションを主導する髙橋一専務理事に、稀覯という独自の施策に至った経緯やプログラムの特徴について伺いました。

<Profile>
髙橋一(たかはしはじめ)/公益社団法人 奈良市観光協会 専務理事(業務執行理事)
2018年に奈良市観光協会の専務理事に就任。奈良市の観光プロモーションとブランド戦略を担当し、主に社寺や地域資源を活用した誘客企画の推進を主導している。「稀覯」の企画・運営にも携わる。

―― いま、稀覯を企画した理由を教えてください。

奈良では、1,000年以上にわたり人々の祈りと営みが連綿と受け継がれてきました。同じ観光地といっても東京や大阪、京都とは著しく構造が異なり、いわば「祈り、癒し、そして学び」の町だといえます。しかしながら、その本質的な価値は、短時間の滞在や表層的な観光では来訪者に十分に伝わっていないという課題があります。また、オーバーツーリーズムが話題となる中で、奈良は“量”を追う観光から“質”を高める観光への転換を模索する時期ではないかと感じておりました。そのような思いから奈良の奥深い世界観を来訪者が五感を通じて体験していただくプログラムとして構想したのが、新観光ブランド稀覯です。単なる珍しい体験の提供ではなく、奈良の文化に深く向き合い、新たな気付きと共に体験していただくことを目指しています。

「法華寺」樋口教香門主 ※イメージ 写真提供:奈良市観光協会

―― 稀覯のターゲット層を教えてください。

自らの探究心や知的好奇心にこだわる、いわば“知的ラグジュアリー層”を意識しています。さらに、奈良の奥深い歴史や文化に対して強い関心と深い敬意を持ち、そのような事物に触れることで得られる精神的充足に高い価値を見出していただける方々にお届けしたいと思います。単なる高額消費を目的としたものではありませんが、コンテンツの貴重さと個別調整を前提とした完全オーダーメイドであることから、結果として一定の費用をお願いすることになります。その費用が文化財保護に貢献することも、ご理解いただける皆様を対象とさせていただいています。

―― 本企画を通じて、奈良のどんな魅力を伝えていきたいとお考えですか?

奈良の魅力は、1,300年途切れることなく受け継がれてきた文化が、いまもなお日常に息づいている点にあります。商業的に整えられた体験ではなく、本物の歴史とあるがままの文化そのものに触れることができます。稀覯では、文化継承者との対話や実体験を通じて、その背景にある思想や美意識に触れていただき、奈良の本質的な魅力を“体感”として伝えていきたいと考えています。

―― おすすめのモデルプランを教えてください。

光明皇后にゆかりのある「海龍王寺」では、貸しきりで住職に案内していただきます。西金堂に安置された国宝五重小塔の見学や通常は非公開の十一面観音菩薩立像の拝観、空海直筆と伝わる通常非公開の隅寺心経の公開などが組み込まれます。光明皇后が創建した「法華寺」では、日本最古の浴室で通常非公開の浴室(からふろ)を見学。同じく通常非公開の国宝、十一面観音菩薩立像の拝観や光明皇后が宮中女官の心身修養の務めにしていたという法華寺御流華道の体験が予定されています。

「海龍王寺」空海直筆「隅寺心経」 ※イメージ 写真提供:奈良市観光協会

明治元年に創業し、奈良県最大の清酒の生産量を誇る「奈良豊澤酒造」では社長自らが解説しながら醸造工程を見学し、その後には利き酒体験も楽しめます。

世界遺産「薬師寺」では、国宝の東塔の心柱の修理の際に生じた木片を漉き込んだ写経紙に般若心経を筆写し、東塔内に永代奉納されるといった内容も。さらに白鳳伽藍と非公開の東塔内を僧侶が案内します。同じく世界遺産の「春日大社」では、学芸員の解説付きで国宝殿を見学。神職による本殿特別参拝のほか、直会殿を貸しきりにして御巫(みかんこ)による平安朝から伝わる社伝神楽を鑑賞します。

―― 直前のオーダーでもご対応いただけるのでしょうか。

社寺や文化施設との個別調整を前提としたオーダーメイド型のため、内容や時期によって対応可否が大きく異なります。特に社寺関係は宗教行事が優先です。直前のご相談にも可能な範囲で対応いたしますが、特別拝観や関係者の調整を伴う体験が多いことから、できましたら2~3カ月前を目安にご相談いただけると、より幅広い提案が可能です。ご希望の内容や時期によっては、案内が難しい場合もございますので、あらかじめご了承いただけますと幸いです。

―― 稀覯だからこそ叶えられるポイントを教えていただけますでしょうか。

第1に、通常は公開されていない空間や機会に、文化的な配慮のもとで触れることができる点。第2に、文化財そのものだけでなく、それを支える人々との対話を通じて理解を深められる点です。そして第3に、これらをあらかじめパッケージ化するのではなく、参加者ごとにオーダーメイドで設計する点です。

商業的に整えられた“分かりやすい商品”ではなく、歴史の積層をそのまま感じていただく、“あるがままの文化”である点も特徴です。その意味で、この体験は全ての方に均一に提供されるものではなく、奈良の奥深さに向き合おうとする方にこそ響く、“お客様を選ぶ体験”であるともいえます。

オーダーメイドに組み込めるスポットを厳選してご紹介

ここでは、髙橋専務理事からおすすめいただいた、奈良市内のスポットと稀覯で体験できる内容をご紹介します。現在は、奈良市観光協会の趣旨に賛同している施設に限りがありますが、今後はラインナップが順次更新されていく予定とのことです。

光明皇后ゆかりの宮廷寺院「海龍王寺」

「海龍王寺」本堂 ※イメージ 写真提供:奈良市観光協会

710(和銅3)年の平城遷都の際に藤原不比等が邸宅を構え、北東の隅にあった寺院を壊さずに残したとされる古刹。光明皇后がその後、寺院の伽藍を整備し仏教政策を推進したといいます。玄昉が帰国した際に、寺号が現在の「海龍王寺」と定められました。創建当時から西金堂内に安置されている国内最小の国宝「五重塔」で有名です。

「海龍王寺」石川重元住職 ※イメージ 写真提供:奈良市観光協会

【稀覯が手配する体験】
・住職の石川重元さんによる案内
・国宝五重小塔の特別拝観
・十一面観音の特別拝観
・空海直筆「隅寺心経」を期間限定で特別公開
・聖武天皇御筆「海龍王経」を期間限定で特別公開

浴室(からふろ)文化を現代に伝える「法華寺」

「法華寺」本堂 ※イメージ 写真提供:奈良市観光協会

光明皇后が創建し、約1,300年前にその歴史が始まった総国分尼寺。女人成仏の根本道場としての役割を果たし、皇后の菩提も祈られています。日本最古のお風呂といわれる「からふろ(施浴)」の文化をいまに伝える場としても有名。

「法華寺」浴室(からふろ)※イメージ 写真提供:奈良市観光協会

【稀覯が手配する体験】
・浴室(からふろ)の施浴体験
信者を対象に毎年6月に実施している施浴体験を特別に体験
・華道法華寺流と東書院での精進料理
光明皇后が池のほとりに華道道場を建て、宮中女官や当時奉仕の女人たちの新進修養の場としていたと伝わる華道体験
・象鼻盃(ぞうびはい)体験
蓮の花が咲く時期に蓮の葉に酒を注いで茎をストロー代わりに飲む、象鼻盃(ぞうびはい)の体験

こだわりの酒づくりに徹する「奈良豊澤酒造」

「奈良豊澤酒造」外観 ※イメージ 写真提供:奈良市観光協会

「高品質のお酒を多くの方に」という理念のもと、純米酒造りに注力している創業150年の老舗酒蔵。機械化を避け手づくりに徹することで、杜氏の経験と勘を重視し続けています。自家製酵母を使用し、香り高くすっきりとした飲み口の酒を製造。4代目の豊澤安男さんは消費者のニーズに寄り添い、価格を抑えた純米酒「黒松貴仙寿」を世に送り出しました。

「奈良豊澤酒造」酒蔵 ※イメージ 写真提供:奈良市観光協会

【稀覯が手配する体験】
・豊澤社長が語る「清酒発祥の地」奈良と奈良酒のストーリー
・酒蔵見学で日本酒の製造工程を体感
・利き酒&試飲体験(6種類)

深い歴史と文化を感じさせる「薬師寺」

「薬師寺」金堂と国宝、東塔 ※イメージ 写真提供:奈良市観光協会

680(天武天皇9)年に、皇后の病気平癒を祈願して建立された法相宗の大本山。創建時から現存する東塔は国宝に指定されています。710年に平城京へ遷都されて以降、重要な寺院として発展を遂げ、過去には多くの堂塔が失われましたが、1968(昭和43)年からの復興運動により主要な堂塔が復元され、現在も多くの信仰を集めています。

「薬師寺」食堂 ※イメージ 写真提供:奈良市観光協会

【稀覯が手配する体験】
・国宝、東塔四相像結縁での特別写経
・白鳳伽藍の夜間、早朝特別拝観
通常非公開の国宝東塔、西塔、食堂(じきどう)の特別拝観と白鳳伽藍内(金堂・大講堂・東院堂など)を僧侶の解説付きで拝観
・平山郁夫画伯の「大唐西域壁画」を時間外に特別公開
玄奘三蔵の旅行記である「大唐西域記」から「大唐西域壁画」と名付けられた7場面13枚、全長49mの大壁画の特別公開
・御家流香道を体験
香木を焚き文学的テーマの元で香りを鑑賞する日本独自の伝統芸能の体験
・食堂(じきどう)
3度目の再建を果たした寺内の中でいちばん新しく、通常非公開の空間を貸切り、特別イベント(音楽、伝統文化、芸術、講演など)を実施

朱塗りの社殿が厳かな「春日大社」

「春日大社」中門・御廊(ちゅうもん・おろう)※イメージ 写真提供:奈良市観光協会

神護景雲2年(768年)に称徳天皇の勅命により平城京鎮護のために創建され、武甕槌命(たけみかづちのみこと) をはじめとする霊験あらたかな四柱を祀る神社。全国約3,000社の春日神社の総本社です。国家と国民の平和を祈る祭りが年間2,200回以上開催され、特に「春日祭」は1,200年以上の歴史を誇ります。奈良の鹿は春日の神の使いとして大切にされ、奈良公園内には約1,300頭の鹿が生息しています。

「春日大社」釣燈籠 ※イメージ 写真提供:奈良市観光協会

【稀覯が手配する体験】
・国宝御本殿の特別参拝と非公開の貴賓館で抹茶体験【神職等の案内付】
・国宝御本殿正式参拝と神楽奉納【神職等の案内付】
・国宝御本殿夜間特別参拝と献燈体験【神職等の案内付】
・国宝御本殿夜間貸切特別参拝と特別万燈籠【神職等の案内付】
・国宝殿時間外拝観【学芸員の案内付】

伝統と現代を結ぶ「紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良」

「紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良」メイン棟(旧奈良県知事公舎)※イメージ 写真提供:紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良

奈良公園西端の若草山の麓、緑豊かな世界遺産エリアに2023年に開業した「紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良」。森トラストグループが立ち上げたホテルブランド翠 SUIと、マリオット・インターナショナルのホテルブランド、ラグジュアリーコレクションとのダブルブランドホテルとして誕生しました。

隈研吾建築都市設計事務所がリノベーションを手掛け、大正時代に建てられた「奈良県知事公舎」を改築した建物がホテルのメイン棟になっています。ここには、昭和天皇が「サンフランシスコ講和条約」と「日米安全保障条約」の批准書に署名をした「ご認証の間」が保存されており、日本史の一端を垣間見ることができます。

デラックスルーム(温泉付き)※イメージ 写真提供:紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良

客室は日本の伝統工芸の技術を生かしたデザインが施され、自然と調和する内装に。全43室の客室はスタンダードやスーペリアのほか、デラックスルーム、スイートルームなどの幅広いカテゴリーに分かれ、うち23室は専用温泉風呂もしくは露天風呂付きです。

レストラン「翠葉」料理「奈良」※イメージ 写真提供:紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良

館内には奈良のテロワールと食文化の歴史を体感できるレストラン「翠葉」や、蔵を活用した鮨レストラン「正倉」のほか、旧興福寺子院「世尊院」を活用したカフェがあり、さまざまな趣向の美食体験を提案。敷地内の日本庭園「吉城園」では、四季折々の自然の美しさと共に古都奈良ならではの風情を感じることができます。

紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良
所在地/奈良県奈良市登大路町62
TEL/0742-93-6511(代表)
URL/www.suihotels.com/shisui

単なる観光の枠を超えて、心の中に変化や内省の時間をもたらすような旅のスタイルを提案する観光ブランド稀覯。オーダーメイドの手配ができる施設などの詳しい内容は稀覯(ki-kou)特設サイトで確認できますので、ぜひチェックしてみてください。

問い合わせ先
公益社団法人 奈良市観光協会
TEL/0742-30-0230
URL/narashikanko.or.jp/ki-kou

INTERVIEW:AYANO ISHIHARA

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