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トマト、ソファ、ジーンズ、組体操の驚きの共通点…まさかのモノが襲って来る珍品ホラーの世界

  • 2026.6.19

今年は(も)早くから暑くなり、いよいよホラー映画の季節となってきた。ホラーとは安全な状況で恐怖を楽しむという一風変わった娯楽である。実際にホラー映画を観ると体温が下がるそうで(残念ながら持続性はないらしいが)、実にSDGsな涼む方法だ。

【写真を見る】珍品ホラーといえばこれ?巨大殺人トマトの恐怖を描く『アタック・オブ・ザ・キラートマト』

なかには怪作も?予想外なモノが人々を襲う珍品ホラーをご紹介

人の恨みが悪霊や怨霊化するのは当たり前として、ホラー映画では昔から様々なモノが恐怖の対象として登場してきた。死刑囚の魂がかわいい人形に取り憑いた『チャイルド・プレイ』(88)に、真っ赤なプリムス・フューリー(1958年型ヴィンテージカー)が邪悪な意思を持って持ち主に敵対する人々を殺害していく『クリスティーン』(83)、近所の優しい犬が狂犬病となり母子を襲う『クジョー』(83)といった正統派(?)もあれば、トンデモないモノが襲ってくる珍品ホラーもある。

悪魔が取り憑いたプレス機が殺人を繰り返す『スティーブン・キング/マングラー』 [c]Everett Collection/AFLO
悪魔が取り憑いたプレス機が殺人を繰り返す『スティーブン・キング/マングラー』 [c]Everett Collection/AFLO

先に挙げた『クリスティーン』と『クジョー』はホラー小説の帝王スティーヴン・キングの原作だが、そんなキングにもトンデモないモノが襲ってくる短編があり、しっかり映画化されている。洗濯工場の悪魔が取り憑き封印されていた洗濯用プレス機(なんぢゃあ、そりゃ!)に処女の生き血がかかったことで悪魔が復活し、恐ろしい殺戮が始まってしまう『スティーブン・キング/マングラー』(95/原作は「人間圧搾機」で、洗濯用プレス機をマングルというらしい)。そして、太鼓を叩くサルのおもちゃを動かした人たちがありえない方法で怪死を遂げていく『THE MONKEY/ザ・モンキー』(25)がある。

【写真を見る】珍品ホラーといえばこれ?巨大殺人トマトの恐怖を描く『アタック・オブ・ザ・キラートマト』 [c]Everett Collection/AFLO
【写真を見る】珍品ホラーといえばこれ?巨大殺人トマトの恐怖を描く『アタック・オブ・ザ・キラートマト』 [c]Everett Collection/AFLO

珍品ホラーといえば、まずはこれ。野菜のトマトが人々を襲いまくり、人類が絶滅寸前になるおバカホラー『アタック・オブ・ザ・キラートマト』(78)。凄惨な殺人事件を起こしまくるトマトと、それに対抗する人類…というハチャメチャなストーリー展開により、本国では公開当時は“Z級”と揶揄された。実はこの『~キラートマト』、劇中で唐突に起きるヘリコプターの墜落シーンは実際に撮影中に起きた事故の映像をそのまま使用している。幸いなことに死者は出なかったのだが、映画だけでなくスタッフまでトンデモない。ティム・バートンの『マーズ・アタック!』(96)など多くの映画のパロディや元ネタになったりしている怪作中の怪作だ。

トマトによって人類は追い詰められていく…(『アタック・オブ・ザ・キラートマト』) [c]Everett Collection/AFLO
トマトによって人類は追い詰められていく…(『アタック・オブ・ザ・キラートマト』) [c]Everett Collection/AFLO

もはやなんでもあり?珍品ホラーの守備は広い!

ジーンズの特性を活かした殺害方法を披露!(『キラー・ジーンズ』) [c]Everett Collection/AFLO
ジーンズの特性を活かした殺害方法を披露!(『キラー・ジーンズ』) [c]Everett Collection/AFLO

ほかにもアイスクリーム(実はアイスクリーム状の未知の物体。ただし味はとってもおいしい)を食べた人がゾンビ化し、終いにはそのアイスクリームそのものが襲ってくるという『ザ・スタッフ』(85)。『らせん』(98)などの飯田譲治監督の劇場公開デビュー作『バトルヒーター』(89)もかなりの珍品だ。封印が解かれた人喰い電気コタツが人類に次々と襲いかかりパニックを引き起こす。コンドーム(…状の生物)が次々に男性器を喰いちぎる『キラーコンドーム』(96)。荒野に捨てられた古タイヤが(なぜか)自我を持って超能力で人間を襲う『RUBBER ラバー』(10)、新たな持ち主となった美しい娘に恋した古いソファが怪物化し、遊びに来た娘の男友だちを喰い殺していく『キラーソファ』(19)、自動で体型にフィットするAIジーンズがオシャレさんを殺していく『キラー・ジーンズ』(20)…。

ついでに逃走中の麻薬密売人が落としたコカインを食べてラリった巨大熊が大暴れする『コカイン・ベア』(23)なんつーのもあるが、この映画の最も恐ろしいところは実話であることだ!

宇宙船が幻覚や幻聴を引き起こす?(『イベント・ホライゾン』) [c]Everett Collection/AFLO
宇宙船が幻覚や幻聴を引き起こす?(『イベント・ホライゾン』) [c]Everett Collection/AFLO

恐怖の対象は人によって違うものである。そこを逆手に取ったホラーもある。「バイオハザード」シリーズで知られるポール・W・S・アンダーソン監督の『イベント・ホライゾン』(97)は、消息不明から突如7年ぶりに戻ってきた深宇宙探査船を救助に行くと乗組員全員が死んでおり、意思を持った宇宙船自体が相手の持つトラウマを幻覚で見せて死に追い込む怪物に変貌していた。偶然にもほぼ同じ時期に公開された『スフィア』(98)は同じような設定で、約300年前に海底に墜落した異星人の宇宙船から回収された巨大な球体が相手の最も怖いものを幻覚で見せてくる。これはズルい設定だが、怖いものなんてない無敵の人なら勝てそうな気がしないでもない…。

組体操が人を襲う!?珍品ホラーの最先端『NEW GROUP』

これでおわかりのように“恐怖”と“笑い”は実に紙一重である。ここに“恐怖”と“笑い”の狭間を行ったり来たりしながら観る者を不思議な感覚に誘う映画が誕生した。『NEW GROUP』(公開中)である。本作で恐怖の対象となるのは“組体操”だ。「組体操が怖い…?」。人間ピラミッドや人間タワーの天辺から足を滑らせて落下していくクラスメイトの姿を見たことがある人なら恐怖を覚えるかもしれないが、本作では直接的な恐怖ではなく“集団の同調圧力”の象徴として“組体操”が登場する。

家族内でとある問題を抱える、引っ込み思案な主人公、愛(山田杏奈) [c]2026映画「NEW GROUP」製作委員会
家族内でとある問題を抱える、引っ込み思案な主人公、愛(山田杏奈) [c]2026映画「NEW GROUP」製作委員会

自主性のない普通の女子高生、愛(山田杏奈)のクラスに海外の学校から優(青木柚)が転校してくる。なんでも集団であることを優先する日本式になじめずにいる優と、同級生とのトラブルから救ってくれた優に惹かれていく愛。そんなある日、校庭に一人で四ん這いになる生徒が現れ、日に日に人数が増えていき、巨大な(無表情の)人間ピラミッドが出来上がっていく。校長(ピエール瀧)も「集団こそ人間の幸せ」と声高々に叫び、世間の声も“集団の優位性”に流れていく。愛と優はなんとか集団に抗おうとするが、組体操の恐怖がそこまで迫っていた…。

襲い来る組体操を、組体操で迎え撃つ!?“集団”の恐怖を描く『NEW GROUP』 [c]2026映画「NEW GROUP」製作委員会
襲い来る組体操を、組体操で迎え撃つ!?“集団”の恐怖を描く『NEW GROUP』 [c]2026映画「NEW GROUP」製作委員会

謎が謎を呼ぶ考察のしがいのある映画となっている本作の監督は、新感覚のホラー『みなに幸あれ』(24)で注目を集めた下津優太。こんな映画を思いつく下津監督は確実に変だ。たしかに集団に居ることは楽で安心感を与えてくれる。だが、そんな他人の顔色ばかり伺っている人生は楽しいだろうか?変なホラー映画でも好きなら好きと言おう!(これも同調圧力になるか!?)

それでは皆さん、ご一緒に。

「変なホラー映画が大好きだ!」

文/竹之内円

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