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おばあちゃんの味、遠い故郷の味…おいしい記憶がじんわりと心にしみてくる。懐かしいおやつの思い出を描いた「特別じゃない日」シリーズ第6弾【書評】

  • 2026.6.19

【漫画】本編を読む

子どものころに大好きだったおやつの味は、今でも鮮明に心に残っているだろう。『特別じゃない日 おばあちゃんのレシピ』(稲空穂/実業之日本社)はそんなおやつの記憶を描いたほっこりさせてくれる短編集だ。「特別じゃない日」シリーズの第6弾となる本作に登場するのは、干し芋スティックやカルメ焼き、砂糖がけした煎り大豆など、「おばあちゃんのレシピ」というタイトルの通り、懐かしくて素朴な味だ。

表題となっているエピソードでは、遊園地に行けなくなり不機嫌になっている小学生の女の子が描かれる。父親の急な仕事で予定が延期になってしまい、心待ちにしていた気持ちの行き場がなくなってしまう。そんな彼女に祖母は、遊園地のおやつを作ろうと提案し、干し芋を使ってカリッとした甘いおやつを作り始める。祖母と一緒におやつを作る時間がくさくさした気持ちを少しずつほどいていき、「今日は最悪の日ではなかったかもしれない」と彼女に思わせる。そしてその味は、高校生になった彼女の記憶に大切な思い出として残り続けるのだ。

また、ベトナム人留学生とホットチェーの話では、異国で暮らす寂しさに寄り添ってくれる人の優しさに心が温かくなり、老夫婦とカルメ焼きのエピソードでは、長く一緒に生きてきた夫婦だからこその尊さを感じられる。どの話も短いが、それぞれにしっかりと胸に来るものがあるのだ。

このように本作では、食べ物の記憶を「誰かと過ごしたかけがえのない時間」として描いているので、読んでいると「好きだった味」と「あのころの思い出」が蘇ってくるだろう。

各エピソードに登場するおやつのレシピが掲載されているのもうれしいポイントだ。親子で作ると、その味がいずれ素敵な思い出となるかもしれない。

文=つぼ子

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