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「黙って食えよ!」味見した娘を怒鳴った夫。だが、妻がシチューに仕掛けた罠で夫に仕返し

  • 2026.6.16

自信作の味見

普段はまるで台所に立たない夫が、その日に限って張り切ってシチューを作った。よほど納得のいく出来だったらしく、小4の長女と私を順番に呼びつけた。

「ほら、味見してみろよ。うまいから」

差し出されたスプーンからは、もうもうと湯気が立っている。

見るからに熱そうで、私は笑って首を振った。

「熱々だから今はいいよ〜」

夫は不満げに、今度は隣の長女の口へスプーンを運ぶ。

素直に口に含んだ娘が、はふはふと舌を出した。

「あっついよ〜。これじゃ口の中ヤケドするよ〜」

笑いながらそう言っただけだった。

湯気を見れば、熱いのは誰の目にも明らかだ。この流れなら、夫も自分で味見して「本当だ」と笑うはずだ。私はそう思っていた。

娘への怒声

ところが、夫の顔色が一変した。

「そんなに熱くないだろ!黙って食えよ!」

突然の大声に、長女がびくりと固まる。

たった一度の、けれど物凄い剣幕だった。私はとっさに娘を抱き寄せた。

「熱かったね。口の中、大丈夫?」

「……うん」

娘の小さな背中をさすりながら、私の頭はすっと冷えていった。

たかが「熱い」のひと言で、なぜここまで怒鳴れるのか。

そばで見ていた次女も、箸を持ったまま黙り込んでいる。そんなことがあったシチューだ。私も娘たちも、誰ひとり口をつける気にはなれなかった。

「俺は食うからな。せっかく作ったんだ」

夫だけは、平然とそう言い張った。ならば、望み通りに出してあげよう。私はもう一度、鍋に火を入れた。

煮立つひと皿

グツグツと音を立てるまで、たっぷり煮込む。

皿に盛りつけてもなお、表面がふつふつと泡立っていた。それを知らない夫は、いつも通り何気なくスプーンを口へ運ぶ。

シチューが喉を通った、その瞬間だった。

「うっ」

夫の表情が、ぐにゃりと歪んだ。

目を見開いたまま一瞬固まり、コップの水へ手を伸ばしかける。

けれど散々「熱くない」と怒鳴った手前、引っ込みがつかないのだろう。

手はコップの寸前で止まり、夫は無言のまま、何事もなかったような顔でシチューを食べ続けた。

額にはうっすら汗がにじんでいる。それでも意地でスプーンを動かし続ける姿が、おかしくて仕方なかった。

「おいしい?」

「……ああ」

水を一気にあおる夫を、私は黙って見つめた。

さっきまでの怒鳴り声は、もうどこにもない。立場というのは、案外あっけなく入れ替わるものらしい。

その滑稽な顔を見ていなかった長女に、寝る前にこっそり一部始終を伝えた。聞き終えた娘は布団の上で目をまんまるにしたあと、力いっぱいガッツポーズをしてみせた。あんなに張りつめていた小さな顔が、ようやくいつもの笑顔に戻っていた。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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