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アイドルの追っかけ→400万の借金→自己破産…「生活を立て直したい」と誓った女性(30)を待っていた“悲惨な結末”

  • 2026.7.15
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。アディーレ法律事務所の弁護士・谷崎です。

債務整理に興味はあるものの、借金の原因に浪費があるから難しいのではないかと迷われる方は、少なくありません。確かに過去の借入原因も大事ですが、過去を反省して真摯に債務整理に取り組んだかどうかのほうが重視されることもあります。

今回は、アイドルの追っかけにのめり込み、多額の借金を抱え、さらに自己破産の手続中の行動によって免責が認められなかったという例をご紹介します。

推し活が生活のすべてに

30代女性会社員のAさん(仮名)は、友人に誘われて、男性アイドルのライブへ足を運びました。

ライブ後の特典会ではメンバーと一対一で話ができ、「また来てね」と笑顔で声を掛けられたことが忘れられませんでした。テレビに映る芸能人と違い、直接会って話もできたことですっかり夢中になり、それ以来Aさんは足しげくライブ会場へ。チェキ撮影やグッズ購入、地方遠征にも参加するようになります。

当然そんな生活を続ければ給料だけで生活が回るわけもなく、気付けばAさんはカードで借金を重ね、その額は約400万円まで膨らみました。家賃の支払すら滞りがちになったことでAさんはついに我に返り、弁護士へ相談した結果、自力での返済は困難であると悟り、自己破産を申し立てることになりました。

破産管財人との約束

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

Aさんの事件を裁判所へ申し立てたところ、今回の件は浪費が原因であることから、Aさんの生活状況や資産状況をチェックするため、破産管財人が選任されました。管財人は、裁判所が選任する破産手続の監督者のような人で、破産者の事件を審査して、最終的に借金を帳消しにすべきか否かについて、裁判所に助言する役目の弁護士です。

それからすぐに、Aさんと管財人、Aさんの依頼した弁護士との間で、三者面談が行われました。
管財人は、借金の原因がアイドルへの浪費であることを確認したうえで、「アイドルへの浪費で膨らんだ借金は、法律上原則として帳消しにできません。きちんと反省の意思を見せていただかなければ、裁判所に対しても借金を帳消しにした方が良いと助言することが難しいです。あなたは今後も同じことを続けるつもりですか。」
と尋ねます。

Aさんは、管財人に対して「もう二度とアイドルの追っかけはしません」「生活を立て直したいです」と固く約束しました。

友人に誘われ、再び推し活へ

ところが数週間後、友人から推しのアイドルが参加するバスツアー旅行に誘われます。

「今回は絶対に参加したほうがいい。今のメンバーが揃うのはこれが最後だろう」
迷った末、Aさんは、「どうせ当選などしないだろう。万が一当選しても辞退すればいいんだから、運試しみたいなお遊びだ」と心のどこかで言い訳しつつ、十数万円もするツアーに申し込んでしまいました。

すると、皮肉なことに第一希望の旅程に当選したのです。
当初の決意はどこへやら、Aさんはこのチャンスを逃してなるものかと、ツアー代金を振り込んでしまいました。

しかも当選したことがうれしくなり、「○列目の席だった!」「推しと〇〇公園で一日一緒!」と、ツアーの日程や座席番号など特定につながる情報までSNSへ投稿してしまいます。

さらに、管財人から浪費を控えるよう注意されたことに不満を抱き、「趣味まで制限されるなんておかしい、権利の侵害でしょ!」、「推し活は絶対続ける!」などと投稿してしまいました。

郵便物の転送で発覚

Aさんは、大事なことを一つ忘れていました。自己破産手続中は、一定期間、郵便物が管財人へ転送され、中身をチェックされます。申立前に弁護士に注意されていたはずですが、普段郵便物があまり届かないAさんは、そんなものかと聞き流していました。

Aさんのバスツアーの案内やチケットも、当然管財人のもとへ転送されました。最初は事情が呑み込めなかった管財人ですが、ネットでバスツアーの内容を検索すると、どうやらAさんがハマっていたアイドルとのツアー旅行らしい。さらに検索すると、当選の喜びを報告するSNS投稿が次々見つかりました。

その中の一つにふと目を向けると、なんと管財人の手元にあるチケットと同じ日付、同じ席番の当選を喜ぶ声が。管財人がもしやと思い過去の投稿に遡ると、Aさんにしか知り得ない情報や自分としか思えない弁護士に対する文句が延々と書かれています。

事情を察した管財人は、Aさんを自分の事務所に呼び出して追及しました。チケットの現物やSNSの投稿画面を見せられたAさんは言い逃れもできず、推し活を続けてしまったこと、管財人への文句を書き込んだことを認めざるを得なかったのです。

「反省していると言いながら、再び浪費行為を行っている」「経済的更生への意思が認められない」
Aさんは、管財人から厳しく指摘されました。

借金の帳消しは認められず、多額の借金だけが残った

破産手続では、浪費やギャンブルなどによる借金があっても、真摯に反省し生活を改める姿勢が認められれば、裁判所の裁量により借金が帳消しにされることは少なくありません。

しかしAさんの場合、手続中にもかかわらず再び浪費行為を繰り返し、さらにSNSで反省のない発信まで行っていました。
そのため、裁判所は借金の帳消しを認めず、借金はそのまま残ることとなりました。

Aさん自身の収入ではとても返済できない金額であったため、Aさんは親戚中を回って頭を下げてお金を無心しました。親戚一同から呆れられながらも必死で資金を工面し、債権者との交渉を経て何とか任意整理を行ったAさん。現在も、毎月返済を続けながら生活を立て直しています。

自己破産は「借金をなくす制度」ではなく、「再出発する制度」

自己破産は、単に借金を帳消しにする制度ではありません。生活を立て直し、経済的に再出発するための制度です。
そのため、借金の原因となった浪費を続けたり、反省の姿勢が見られなかったりすると、帳消しが認められない可能性があります。特に自己破産手続中は、破産管財人や裁判所との信頼関係が重要になります。

もし借金問題で自己破産を検討しているのであれば、手続中は生活を改めることはもちろん、SNSでの発信内容についても慎重になることが大切です。

破産手続が利用できるか否かは、実際に弁護士と面談しないと見通しを立てることが困難です。迷ったときは、早めに専門家にご相談ください。

※実際の事例を参考に構成したストーリーであり、特定の事案を紹介したものではありません。


監修者:弁護士 谷崎 翔(アディーレ法律事務所)
早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。アディーレ入所後、2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

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