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結婚30年で熟年離婚した50代妻→『年金分割で夫の年金の半分がもらえる』と思いきや…受給見込額を見て“絶句したワケ”

  • 2026.7.22
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPの柴田です。

「離婚したら、夫の年金の半分がもらえるんですよね?」
こちらは私が受けることの多い相談ひとつなのですが、実は誤った認識であることはご存じでしょうか。

今回は、その誤解を信じたまま熟年離婚に踏み切ったAさん(55歳・女性)のお話です。

「30年支えたんだから、離婚後も半分はもらえるはず」

Aさんは結婚して約30年、専業主婦として家庭を守ってきました。夫は大手企業勤務。転勤にも単身赴任にも付き合い、夫の会社の都合で名古屋、福岡、仙台と引っ越しを繰り返しました。

Aさんが離婚を切り出した背景には、これまで守ってきた自分の居場所が奪われていくような息苦しさがありました。定年後に一日中家にいるようになった夫が、家事のやり方から近所付き合いまでいちいち口を出すようになったためです。

長年「家庭のことは任せる」と言っていたはずの夫の豹変ぶりに、Aさんは「この人とあと何十年も一緒にいるのは無理だ」と、静かに、しかし決定的に心を決めたのです(このような熟年離婚のパターンは、よく見かけます...)。

離婚届に判を押したときのAさんは、むしろ晴れやかな気持ちでした。離婚にあたって経済的な不安があったものの、「年金分割という制度があるから、夫の年金の半分はもらえる」と信じ、財産分与の話し合いもそこそこに協議の手続きを進めたのです。

私が試算してみると「月10万円台」

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

離婚後、老後資金の相談で私のもとにいらしたAさん。年金の記録をもとに、年金分割を反映した65歳からの受給見込みを試算してみると、出てきた金額は月10万円台でした(Aさんの老齢基礎年金と分割して増える分の合計)。

夫の受給見込額の半分どころか、3分の1ほどでした。「柴田さん、計算間違っていませんか?」と聞かれましたが、計算に間違いはなく、Aさんの「思い込み」が原因だったのです。

分割されるのは「夫の年金の半分」ではない

年金分割で分けられるのは、夫の年金全体ではありません。対象は「婚姻期間中の厚生年金の記録」だけ。ここが最大の落とし穴です。

まず、夫自身の老齢基礎年金は1円も分割されず、独身時代の厚生年金記録も対象外。さらに、会社の企業年金や夫が積み立てていたiDeCo・企業型DCも、年金分割の対象外です。

そして厚生年金の分け方の上限は50%。つまり「婚姻期間中の厚生年金部分の、最大半分」が正確なところで、「夫の年金の半分」とは似て非なるものなのです。

Aさん自身が受け取れるのは、自分の老齢基礎年金に、分割で得た厚生年金を上乗せした金額。これが「月10万円台」の正体でした。おまけに夫のiDeCoは財産分与の協議でも見落とされ、まるごと取り逃していました。

「離婚後5年」の期限を過ぎたら分割そのものが不可能に

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年金分割には「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。3号分割は2008年4月以降の第3号被保険者期間(会社員の夫に扶養される専業主婦・主夫の期間)について夫の合意なしで請求でき、期限内に手続きを行えば、対象となる厚生年金記録が2分の1ずつ分割される制度です。それより前の期間は、話し合いで割合を決める合意分割が必要で、夫が首を縦に振らなければ家庭裁判所の調停・審判で決めることになります。

結婚30年のAさんの場合、結婚から2008年3月までの十数年分は合意分割の対象。ここの交渉を「半分もらえるんでしょ」と軽く流してしまったことも、悔やまれるポイントでした。

そして重要なのが期限です。年金分割の請求は原則、離婚等をした日の翌日から起算して5年以内(離婚時期によっては2年)。この期限を過ぎると、原則として分割そのものができなくなります。「離婚でバタバタしていて気づいたら5年過ぎていた」は、笑えない実話としてしばしば起こっています。

まとめ

離婚を検討する段階になったら、年金事務所で「年金分割のための情報通知書」を取り寄せましょう。分割対象の記録と、分割後の見込みが確認でき、請求は配偶者に知られずにできます。数字を見てから協議に臨むのと、思い込みのまま判を押すのとでは、老後生活のイメージがまるで違います。

また、年金分割の対象外だった企業年金・iDeCo・退職金見込額は、離婚時の「財産分与」の協議で扱える財産です。年金分割と財産分与は別の制度。両方をテーブルに載せて初めて、フェアな話し合いになります。Aさんのように「年金分割があるから大丈夫」と財産分与を簡単に済ませてしまうのが、一番もったいないパターンです。


出典:離婚時の年金分割(日本年金機構)

出典:離婚時の厚生年金の分割(3号分割制度)(日本年金機構)

執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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