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「特別プランがございます」銀行員の勧めで“退職金1,500万”を預金商品へ→6ヶ月後、60代女性を待ち受けていた“想定外の悲劇”

  • 2026.7.8
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPの柴田です。

まとまった退職金が口座に振り込まれると、銀行などの金融機関から資産運用の提案を受ける機会が増えます。

今回は、銀行からの提案で購入した商品について、後から思わぬ気づきを得ることになったAさん(62歳・女性)の事例をご紹介します。

「普通預金の10倍」の魔法の言葉

Aさんは昨年、勤め先を定年退職し、退職金1,500万円を受け取りました。

すると数日後、銀行から「退職金をお受け取りのお客様限定の特別プランがございます」と案内があったそうです。

窓口で提示されたのは「普通預金の10倍以上の金利」という預金商品でした。Aさんの頭の中には「10倍」という魅力的なフレーズが強く残り、商品の詳細なリスクへの意識が薄れてしまいました。説明書類にサインをして、結果として資金の大部分を一括で預け入れたのです。

入院費を引き出そうとしたら「満期日は銀行が決めます」

半年後、Aさんは体調を崩して緊急入院。まとまった医療費が必要になり、銀行に電話をかけました。

ところが返ってきた答えは想定外のものでした。

「この商品は満期日を当行が決める仕組みでして、お客様のご都合での中途解約は原則できません。どうしてもという場合は、元本を割り込む可能性がございます」

受話器を持ったまま、Aさんは自分の耳を疑ったそうです。「私のお金なのに、私の都合では引き出せないんですか?」「預金なのに元本割れするって、何かの間違いではないんですか?」残念ながら、契約上はその通りでした。

「仕組預金」の仕組みとは

Aさんが契約したのは「仕組預金」と呼ばれる商品です。

たとえば「当初の満期は1年後だが、銀行側の判断で最長10年まで延長されることがある」といった条件が付いており、満期を延長するかどうかの選択権は銀行側にあります。また、中途解約の際には市場環境によって元本割れが生じるリスクもあります。

「10倍」という高い金利の背景には、こうした特有の条件が含まれていたのです。Aさんは結局、家族に費用を一時的に立て替えてもらうことで急場をしのぎました。 「説明は受けたはずなのですが、当時は『普通の預金よりも有利な商品』という点ばかりに目を奪われていました」とAさんは振り返ります。

高金利の背景にある「金融商品の仕組み」

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

仕組預金の金利が一般的な預金よりも高く設定されているのは、銀行側が「満期を延長するかどうかを判断できる」という権利を持つ見返りとして、金利が上乗せされているからです。つまり預金者は、高い金利を得る代わりに「資金をいつ手元に戻せるか」という流動性を一定期間委ねることになります。

こうした退職金を対象とした勧誘については、金融庁も定期的に注意を呼びかけています。「退職金向けプラン」の中には、高金利の適用期間が最初の数ヶ月間に限定されていたり、投資信託とのセット購入が条件になっていたりするものもあるため、契約前にリスクやコストを十分確認することが推奨されています。

金融機関はそれぞれのビジネスモデルに基づいて商品を設計・販売しています。提案を受ける際は、提示されたメリットだけでなく、その商品が「自身のライフプランや資金需要に本当に合致しているか」を冷静に見極める姿勢が大切です。

まとめ

金利の高さは魅力的ですが、お金には「増える力」と同じくらい「必要なときにすぐ使える力(流動性)」が大切です。特に退職後は、医療費のように急に必要になるお金の出番が増える時期。生活費や予備費は普通預金などすぐ引き出せる場所に置き、当面使わないお金だけを運用に回すのが鉄則です。

そもそも金融庁が注意喚起をしている事実は、「一般的な預金とは異なり、非常に慎重な判断が必要な商品である」というサインにほかなりません。わざわざ資金の流動性(すぐ使えること)を犠牲にしてまで得る金利なのか、コストとリスクのバランスを冷静に評価することが大切です。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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