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手術で入院することになった50代男性→『高額療養費で戻ってくる』はずが…退院時、窓口で告げられた請求額に“青ざめたワケ”

  • 2026.7.4
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPとして家計相談やお金に関する情報発信を行っている柴田です。

「最終的に戻ってくるお金だから、と軽く考えていたんです」そう振り返るのは、会社員のAさん(52歳・男性)。

急な手術で入院することになり、退院時に窓口で請求された医療費は約80万円。「高額療養費制度があるから大丈夫」と知ってはいたものの、その安心が、思わぬ落とし穴になってしまいました。

「後から戻ってくる」という認識は正しいものの

まず、Aさんの認識自体は間違っていません。

日本には医療機関の窓口で支払った自己負担額が、ひと月で一定の上限を超えたとき、超過分が払い戻される「高額療養費制度」があります。収入によって上限額に差がありますが、たとえ窓口で大きな金額を払っても、あとから上限を超えた分はきちんと返ってくる仕組みです。

Aさんは、「最終的に戻ってくるなら、同じことだろう」と考えました。そのお気持ち、よくわかります。トータルの負担額が変わらないなら、気にしなくていいように思えます。

ところが、ここに大きな見落としがありました。Aさんの場合、問題は「いくら戻るか」ではなく、「いつ手元のお金が出ていくか」だったのです。

払い戻しまで約3ヶ月

Aさんを苦しめたのは、払い戻しまでにかかる時間でした。

高額療養費は、申請してから実際にお金が振り込まれるまで、受診から3ヵ月程度を要するのが一般的です。つまりAさんは、窓口で立て替えた約80万円を、3ヶ月ものあいだ自分の財布から出したまま過ごさなければならなかったのです。

「戻ってくるとはいえ、80万円が3ヶ月も手元からなくなるのは想像以上にこたえました。住宅ローンも教育費もある中で、生活費の口座が一気に細くなって……」とAさん。最終的な損得はゼロでも、その3ヶ月間の資金繰りが、家計を一気に圧迫してしまったのです。

「認定証」があれば立て替えずに済んだ

実は、この立て替えそのものを避ける方法がありました。それが「限度額適用認定証」です。

この認定証を入院前に用意し、医療機関の窓口で提示すれば、支払いを自己負担限度額までにとどめられます。つまり、最初から上限額だけを払えばよく、大金を立て替える必要がなくなるのです。申請先は、加入している健康保険(協会けんぽ、健康保険組合、お住まいの市区町村の国民健康保険など)。Aさんはこの一手間を惜しんだために、80万円もの立て替えを背負うことになってしまいました。 

さらに今は、もっと手軽な方法もあります。マイナ保険証です。オンライン資格確認を導入している医療機関では、マイナ保険証を提示し「限度額情報の提供」に同意するだけで自動的に限度額が適用されます。マイナ保険証をお持ちであれば、こちらのほうが手間がかかりません。

2026年8月の制度改正でも考え方は同じ

なお、高額療養費制度は2026年8月から第1段階、2027年8月から第2段階と見直されます。所得区分によって、月ごとの自己負担の上限額が引き上げられる予定です。

ただ、制度の根っこは変わりません。「窓口での立て替えをいかに避けるか」という今回のポイントは、改正後もそのまま重要であり続けます。むしろ上限額が上がるぶん、窓口で求められる金額が増えるケースもあるため、認定証やマイナ保険証で立て替えを抑える工夫は、これまで以上に大切になっていくでしょう。

今回の話とは少し論点がずれますが、こうした不測の出費に備えて、いざというときに使える「生活防衛資金」をきちんと確保しておくことも同じくらい大切です。正直なところ私は、Aさんの話を聞きながら、「認定証やマイナ保険証を使っても間に合わない場合に備えて、数十万円程度の現金はいつでも動かせるようにしておけば、ここまで慌てずに済んだのに」と内心感じていました。

認定証やマイナ保険証で立て替えを防ぐ工夫に加えて、数十万円程度の現金はいつでも動かせるようにしておく。この二段構えがあれば、突然の入院でも落ち着いて対応できるはずです。

まとめ

Aさんのケースが教えてくれるのは、家計を考えるうえで「最終的な損得」だけを見ていては足りない、ということです。

たとえ全額戻ってくるお金でも、それが一時的に手元から消える数ヶ月のあいだ、生活が回らなくなっては元も子もありません。「戻ってくる」のと「今すぐ立て替えなくて済む」のは、まったく別の話なのです。

入院や手術は、ただでさえ心身ともに負担の大きい出来事です。そこにお金の不安まで重ならないよう、認定証やマイナ保険証という「立て替えを防ぐ備え」を、ぜひ事前に整えておいてください。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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