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夫が病気で他界→『遺族年金は自動的に振り込まれる』と思いきや…数週間後、発覚した事実に60代妻が“絶句したワケ”

  • 2026.7.15
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーを務めながら、家計のご相談に日々向き合っている中川です。

今回ご紹介するのは、夫を亡くした60代のAさんの体験談です。

「遺族年金は自動的に来月から入金される」と思い込んでいたものの、実際の支給まで数か月かかり、その間の生活費に困った経緯をご紹介します。

「遺族年金は自動的に来月から入金される」と思っていた

Aさんは63歳。長年連れ添った夫を病気で亡くしました。

夫は会社員として長く働き、定年後も継続雇用で勤めていました。夫婦は、夫の手取り約22万円の給与を主な収入源として、毎月約20万円で暮らしていました。Aさんはまだ自分の年金を受け取る前で、家計は夫の収入に支えられていたのです。

「遺族年金は自動的に来月あたりから入ってくるのだろう」。そう思っていました。

葬儀や役所への届け出に追われるなか、市区町村の窓口で手続きの一覧は受け取っていたものの、Aさんはよく目を通さないまま、「年金はそのうち自然に振り込まれるのだろう」と、どこか安心していたのです。

遺族年金は、自分で請求しないと始まらない

ところが遺族年金は、自動的には始まりません。

自分で年金事務所などに「請求(裁定請求)」をして、初めて支給に向けた手続きが開始されます。役所に死亡届を出したからといって、年金の手続きまで自動的に行われるのではないのです。

請求には、戸籍謄本や住民票など、亡くなったことや家族関係を確認するための書類が必要でした。あちこちの窓口を回って取り寄せるのに時間がかかり、書類をそろえるだけで数週間。慣れない手続きに、Aさんは何度も戸惑ったといいます。

支給が始まるまで、数か月の空白があった

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

請求してからも、審査を経て実際に振り込まれるまでには、さらに時間がかかりました。Aさんの場合、最初の振り込みまでおよそ3か月。その間、夫の給与は途絶え、Aさん自身もまだ年金を受け取る年齢ではないため、収入が入ってこないまま、光熱費や食費といった生活費だけは毎月出ていきます。

Aさん一人の生活費は毎月およそ15万円。3か月分の約45万円を貯蓄から取り崩してしのぐことになりました。「請求すればすぐに入ると思っていたので、この期間はまったくの想定外でした」とAさんは振り返ります。

なお、Aさんが受け取れる遺族厚生年金は、夫の加入期間や報酬によって決まり、月およそ8万円。これに、40歳以上65歳未満の一定の条件を満たす妻に支給される「中高齢寡婦加算」(2026年度で年635,500円、月にするとおよそ5万円。金額は年度により改定されます)が加わり、合わせて月およそ13万円になります。遺族年金の給付が始まれば、Aさんの生活費の大半を賄うことができる計算です。65歳でAさん自身の老齢年金を受け取れるようになるまでは、毎月不足する約2万円を貯蓄から補いながら生活することになりますが、貯蓄で対応できる金額です。想定外だったのは、自動的に入金が始まらなかったことと、手続きに時間がかかったことでした。

ただし、ここで注意したいのは、65歳になると月およそ5万円の「中高齢寡婦加算」は支給終了(失権)となる点です。その代わりとしてAさん自身の「老齢基礎年金」の受給が始まりますが、ご自身の現役時代の未加入期間などによっては、65歳以降にもらえる年金総額がそれまでより減ってしまうケースもあります。「65歳になれば自分の年金が入るから今より楽になる」と楽観視せず、65歳以降の年金見込み額も「ねんきん定期便」などで事前に把握しておくことが不可欠です。

相続の手続きと並行して、早めに手続きを

遺族年金は、死亡届を出した後、自動的に入金が始まるものではありません。書類を準備して請求することが必要で、支給までには数か月かかることもあります。

配偶者を亡くしたあとは、相続の手続きも重なり、気持ちの整理もつかないまま動くことになります。大変なときではありますが、遺族年金の請求は後回しにせず、相続の手続きと並行して早めに始めておきましょう。

あわせて、支給までの空白に備えて、当面の生活費を数か月分ほど「残されたご家族(今回の場合はAさん自身)の名義の口座」に確保しておくことも、生活を守る大切な備えになります。亡くなった配偶者の口座は死亡の事実が金融機関に伝わった時点で凍結され、遺産分割が終わるまで原則として自由に出し入れができなくなるためです(※法改正により一定額の仮払い制度はありますが手続きが必要です)。

いざという時に動かせるお金を「自分名義」で持っておくことが、生活を守るためのリアルな防衛策となります。


執筆・監修:中川 佳人
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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