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言葉は通じなくても、ペットと飼い主の心は近づいていく。魔獣や魔人の世界に転生したニンゲンと、それを飼うことにした異形の飼い主の交流に胸があたたまる【書評】

  • 2026.6.13

【漫画】本編を読む

ペットとは言葉は通じない。だが、たとえ言葉が通じなくても、少しずつ通じあえる日はくる。

『ニンゲンの飼い方』(ぴえ太/KADOKAWA)は、魔獣や魔人だけが暮らす世界に現れた「ニンゲン」と、そのニンゲンを飼うことにした異形の飼い主の日々を描く飼育コミック。人間が“飼われる側”になるという逆転の設定の中で、異なる存在同士が少しずつ距離を縮めていく姿があたたかく描かれている作品だ。

ある日、異世界に迷い込んでしまったところを魔人に保護された青年。青年は、少しずつ、見ず知らずの世界で、今の状況を受け止めようとする。外には恐ろしい野生の魔獣がいて、逃げるのは難しい。だが、魔人が用意したサークルの中に入れられた今は、食べ物や飲み物は与えられ、傷も手当てされている。青年は、飼い主である不気味な魔人の姿に怯えながらも「害のないやつなのかも」と考え始める。そして、魔人の発する音をよく聞くうちに、それは、ただの鳴き声ではなく、もしかして何らかの言語なのではないかと気づく。まずはこの世界のことを、そして、自分のことを気にかけてくるこの怪物のことを知らなければならないと思い始めるのだ。

そんなニンゲンの変化に、飼い主の表情も和らぐ。だって、これまでならニンゲンはすぐに逃げたり怯えたりしていたのに、今では、食事を素直に受け取り、水を飲み、少しずつ落ち着いて過ごすようになってきたからだ。「少しは慣れてくれたのかな」とつぶやく飼い主の姿に、私たちも思わず微笑んでしまう。「そうか、生き物と飼い主はこうやって少しずつ距離を縮めていくものなのか」――人間が“飼われる側”として描かれることで、改めてそのことを実感させられる。言葉は通じない。けれども、ふたりの関係は着実に変わり始めていく。その小さな変化がなんてあたたかいのだろう。私たちがペットと暮らす日々も、きっとこうした小さな歩み寄りの積み重ねに違いないと、そう思わせてくれる作品だ。

文=アサトーミナミ

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