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踏切に横たわる“高校生の幽霊”「お前知らないで行ったろ」激務に疲弊した20代配達員の言葉に涙【作者に聞く】

  • 2026.6.6
その踏切には幽霊が眠るという 送達ねこ(@jinjanosandou)
その踏切には幽霊が眠るという 送達ねこ(@jinjanosandou)

その町には幽霊が出る踏切がある。受験を苦に自ら命を絶った高校生の幽霊なのだという。見えない人が多いが、幽霊が出ることは皆が知っていた。その踏切が配達エリアにある郵便配達員の水谷くんは“見える人”で、踏切待ちをしていると嫌でも目に入ってしまう。

幽霊は何をするでもなく、そこに眠っていた 送達ねこ(@jinjanosandou)
幽霊は何をするでもなく、そこに眠っていた 送達ねこ(@jinjanosandou)
踏切に眠る_P003 送達ねこ(@jinjanosandou)
踏切に眠る_P003 送達ねこ(@jinjanosandou)
踏切に眠る_P004 送達ねこ(@jinjanosandou)
踏切に眠る_P004 送達ねこ(@jinjanosandou)
踏切に眠る_P005 送達ねこ(@jinjanosandou)
踏切に眠る_P005 送達ねこ(@jinjanosandou)

この幽霊について読者からは「幽霊が怖い風貌ではなくて、眠るように横たわっているというのがとても印象的でした」という声も届いた。この幽霊は何をするでもなく、ただ静かに踏切に横たわっているのだった。

激務の果て、誕生日の夜に対峙するもの

水谷くんの配達エリアは幽霊が出るだけでなく、クレーマーやトラブルも多かった。ある日、クレーム客から延々と説教を聞かされ、やっと解放されて局に帰ってくると、新人が入力し忘れた未処理の仕事が放置されていた。仕方なく代わりに処理をする水谷くんだったが、ふと「今日俺、誕生日じゃん」と気づく。帰りのコンビニで自分へのお祝いの“ちょっといいビール”を購入し帰路につくのだが、例の踏切に差しかかる。

踏切の幽霊と対峙する水谷くん。このあと、彼が発するひと言ひと言に、幽霊だけでなく読者も胸を打たれることとなる。仕事に疲れた読者の心に染み渡る、こぼれ落ちていくような言葉の一つひとつを読み逃さないようにしたい。

人生を踏ん張った者だけが知る喜び

本作は、現役郵便局員の送達ねこ(@jinjanosandou)さんの元に届いた同僚たちの不思議な体験を描く「郵便屋が集めた奇談」の一編だ。作中で水谷くんが制服姿でビールを隠すシーンについて、送達ねこさんは「知らない人に思いがけず会釈されることもあり、不特定多数の人と接する仕事の宿命かもしれないが、完全に1人になれるまで『会社員の顔』が脱げない緊張感がある」と語る。

また、水谷くんが幽霊に向かって語りかける場面には、強い想いが込められている。水谷くんには挫折を経て今の仕事に就いた経緯があり、人は理想に届かなくても生きていかなければならない。「苦労の多い人生を踏ん張った者だけが知る、ささやかな喜び。それを幽霊と分かち合おうと考えた」という送達ねこさん。若い受験生の霊が解きたかったかもしれない「人生に、とどまる意味はあったのか?」という問いに対し、「完全な答案を出すのはたやすくないが、大人の責任として自分も考えていかなければならない」と締めくくった。

読者からは「いろいろなところに配達に行く郵便屋さんならではのお話」「生きやすい世界ってなんだろう?」と多くの反響が届いている。日本のどこかの町でひっそりと起こっている“怪異”を覗き見してみよう。

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