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『娘の結婚式費のため…』200万で買った旧車を売却→1,400万円で売れて喜ぶも…50代男性が直面した“想定外の事態”

  • 2026.6.27
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出典元:PIXTA(※画像はイメージです)

こんにちは!税理士・元国税調査官の神崎遊です。

長い間、大切にしている自分だけの宝物ってありますか?

自分にとっての価値があり、持っているだけで幸せを感じることができる。50代前半の会社員Yさん(仮名)にとっては、お気に入りの旧車がそうでした。

娘のために宝物を手放したYさん。しかし、その喜びの裏には思わぬ落とし穴が待っていました。

「娘のためなら…」

都心から電車で70分。緑が多く閑静な住宅街が広がる某県T市(仮称)で、Yさんが建売住宅を購入したのは30年前のことでした。購入を決めた理由の一つは、広いガレージが付いていたことでした。Yさんの唯一の趣味であるスポーツカーを保管できると思ったからです。

Yさんが購入したのは1980年代に発売された国産スポーツカー。中古ではありましたが、低走行車を200万円で購入できたことは幸運だったと振り返ります。

それから30年間、毎週末に整備をして、近所を走るだけで日頃の疲れが癒されたそうです。

そして、昨年。Yさんの娘が結婚することが決まりました。

「結婚式費用を出してあげたい」

家計に余裕がなかったこともあり、大事にしてきた車を売ることを決意しました。最近は旧車人気が高まっていると聞いていたため、「高く売れるのではないか」と期待もありました。

旧車買取専門店に査定を依頼すると「状態がとてもいい」と評価され、期待以上の1,400万円の高額査定に大喜びでした。

売却後、担当者から「来年の確定申告は税理士に頼んだ方がいいかもですね」と言われ、税理士に相談することにしました。

「趣味の車を売っただけなのに?」

「先生!車を売って申告なんてしたことないですよ?」

通勤など日常生活に使用している車の場合は原則、課税されません。しかし、趣味で所有している希少性のある車やコレクション性のある旧車などは取り扱いが異なります。

Yさんの場合は趣味で所有していた旧車で大きな利益が発生していたため、確定申告が必要でした。

「高く売れてラッキーと思って、税金のことまで考えていませんでした。」

さらに注意が必要なのは、税務上の「取得費」の計算です。車は法定耐用年数が6年のため、30年が経過した時点では減価償却がほぼ完了しており、取得費は購入額200万円の5%にあたる約10万円まで圧縮されます。つまり課税の対象となる譲渡所得は、単純な差額(1,200万円)ではなく、約1,390万円になります。ただし、5年を超えて保有した資産の譲渡所得は長期譲渡所得として扱われ、課税される所得金額が1/2になる優遇があります。

それでも、かなりの税金が発生すると知り、Yさんは残念そうに肩を落としました。

大切な車が残してくれたもの

先日、車の売却代金を使い、無事に娘の結婚式を挙げることができたそうです。さらに、来年の申告に備えて納税資金も確保し、余ったお金で新たなスポーツカーを購入していました。

「孫が生まれたら乗せてあげたい」とYさんは楽しそうに語っていました。

趣味の品が思わぬ税金負担につながることもあります。特に長年保有した資産は、購入価格と売却価格の差だけでなく、減価償却による取得費の圧縮も考慮する必要があり、実際の課税額は直感より大きくなることがあります。高額で売却できた場合は、手放す前に税務署や税理士へ確認しておくと安心です。


執筆:税理士・元国税調査官 神崎遊

国税組織で12年間勤務し、法人税調査を中心に200件以上の税務調査に従事。現在は「ゆとり税務会計」を運営し、中小企業・個人事業主の税務支援を行っている。

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