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沖縄・読谷村の「ゆんラボ・未来館」で見つけた。旅の途中で味わいたい、本とコーヒーが溶け合う静かで贅沢なひととき

  • 2026.6.3

那覇から沖縄の青い海を横目に、のんびりと車を走らせ北へ。沖縄本島の中部に位置する読谷村(よみたんそん)は、ゆっくりとした時間が流れる穏やかな場所。海に囲まれた半島の街には、海沿いのドライブを楽しんだあと、ふと車を停めてひと休みするのにぴったりな、おすすめスポットがある。それが、2025年10月に誕生し、静かに話題を呼んでいる「ゆんラボ・未来館」だ。

「出逢い・つながり・賑わいを生む創造拠点」として誕生した「ゆんラボ・未来館」。そのネーミングは、「ゆんたんざ(読谷村の意)」と「ラボ(研究・実験)」が由来となっている
「出逢い・つながり・賑わいを生む創造拠点」として誕生した「ゆんラボ・未来館」。そのネーミングは、「ゆんたんざ(読谷村の意)」と「ラボ(研究・実験)」が由来となっている

ここでは、「読谷村立図書館」、「スターバックス」、「OISTサイエンススタジオ(沖縄科学技術大学院大学)」、「読谷村史編集室」、「読谷村青少年センター」などの施設がゆるやかに混じり合い、あたたかな活気が生まれている。車を止めて館内へ入ると、コーヒーの香りとともに、ふとした発見と安らぎが心地よく迎えてくれた。

豊かな自然と伝統の手仕事が息づく、読谷村という場所

沖縄本島の中部、西海岸の美しい半島に位置する読谷村。東シナ海に沈む夕日を望むこの村は、「日本一人口の多い村」としてたくさんの人が暮らしていながらも、どこか懐かしい沖縄ののんびりした空気が今も大切に残されている。

石垣とリュウキュウマツに囲まれた座喜味城からは、青い海と空が広がる絶景が楽しめる
石垣とリュウキュウマツに囲まれた座喜味城からは、青い海と空が広がる絶景が楽しめる

その歴史は深く、琉球王国時代に築かれた世界遺産「座喜味城跡(ざきみじょうあと)」の美しい石垣は、今も当時の面影を静かに物語る。古くから海外との交易などで多様な文化を受け入れてきたおおらかな気風と、先人たちが大切に守り抜いてきた伝統が、この土地には根付いている。その証のように、伝統的な焼き物「やちむん」の窯元の煙が立ち上り、色鮮やかな「読谷山花織(ゆんたんざはなうい)」の機織りの音が、今も人々の暮らしの中に響き続けている。

 残波岬灯台から眺めた、読谷村の雄大な景色
残波岬灯台から眺めた、読谷村の雄大な景色

実はこの村、ただ歴史を懐かしむだけでなく、三線の材料となる木を未来へ向けて植樹するプロジェクトが進められているなど、自分たちの足元にある文化を次世代へつなごうとする想いにあふれている。「ゆんラボ・未来館」の中にも、村の貴重な歴史資料や行政文書を大切に保管し、村の歩みを後世へ伝える「村史編集室」や「行政文書保管庫」がしっかりと設けられているほど。きっと、自分たちの歴史や文化を大切にする村の人々の日常から、こうした穏やかな風土が自然と生まれているのだろう。

読谷らしさを大切にした読谷村立図書館。本とコーヒーを片手に見つけるお気に入りの場所

「読谷村立図書館」の統括マネージャー・飯塚さんは、「建物のコンセプトは『読谷村の未来を育む家』なんです。入り口を玄関に見立てて、奥へ進むと書斎、そして子ども部屋へと続くような作りにしています」と語る。その言葉の通り、ここは誰もが親しみやすい空間作りがされている。

木の温もりが感じられるエントランス
木の温もりが感じられるエントランス

「県内随一のライブラリー&カフェ」を目指すここは単なる本の貸出所にとどまらず、地元企業とTSUTAYAなどを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)がタッグを組み、村の新しい文化拠点の役割を担っている。現在の蔵書数は約13万冊で、ゆくゆくは20年かけて24万冊へと育っていく予定とのこと。公共の図書館でありながら夜22時まで開いていて、スターバックスのコーヒーを片手にくつろげるため、敷居の高さをまったく感じさせないのがこの場所の素晴らしいところ。利用者カードと公式LINEを連携すると、LINE画面に利用者バーコードが表示され本を借りられるスタイル。読谷村の住民でない人もスマホひとつで本を借りられるので、旅行者が気軽に利用できるのもうれしいポイントだ。

館内には「スターバックスコーヒー 読谷村立図書館店」が併設されている
館内には「スターバックスコーヒー 読谷村立図書館店」が併設されている
コーヒーと一緒に、のんびり読書時間が楽しめる
コーヒーと一緒に、のんびり読書時間が楽しめる

「今いる場所がこの図書館の玄関口になります。ここではBGMがかかっているんですが、奥に行くにつれて、だんだんと静かになっていくような作りにしているんです」と飯塚さんが教えてくれた。そんな音のグラデーションのように、館内は「賑わいゾーン」「中間ゾーン」「集中ゾーン」、そして「こどもとしょかん」の4つのエリアに分かれていて、外のテラス席も含めるとゆったりと過ごせる席は224席も用意されている。その日の気分に合わせて、自分だけの居場所を見つけられるような工夫が施されているのだ。

エントランスを真っすぐ進むと、鳳のオブジェに
エントランスを真っすぐ進むと、鳳のオブジェに

もし誰かとおしゃべりを楽しみたい気分なら、迷わず「賑わいゾーン」へ。おいしいコーヒーとともに本のページをめくれば、日常のノイズが遠のいていく。すぐそばには販売コーナーも設けられており、「一番手前側にあるのが、読谷村の伝統工芸であるやちむんのお土産ですね」と飯塚さんが案内してくれた。

選りすぐりの古書も販売されている
選りすぐりの古書も販売されている
「やちむん」や「琉球ガラス」といった、沖縄の伝統工芸品も販売されている。お土産にぜひ!
「やちむん」や「琉球ガラス」といった、沖縄の伝統工芸品も販売されている。お土産にぜひ!

続けて本棚を指し、「図書館ですが販売用の本もあります。実は、読谷村内には本屋さんがないんです。なので生活の身近な場所で、いつでも本を手に取れる環境を増やしたいということで、古書も置いてあります。自分たちで選書しているというよりは、沖縄県内の古書籍商組合さんにご協力いただいて、古書店主さんが毎月選書をしてくださっているんです。沖縄に関する本や、その書店さんの特徴になるような本を置いていただいています」と教えてくれた。

一期一会の古書。レアな一冊に出合えるかも
一期一会の古書。レアな一冊に出合えるかも

中には貴重な本も紛れているようで、「郷土研究などをされている方が、『なんでこの本がこんなところにあるんだ』とお手に取られているところも何度か見ています」と微笑む。思いがけない宝探しを楽しんでみるのもいいかもしれない。

朱色の天井が広がる閲覧スペース
朱色の天井が広がる閲覧スペース
鳳のオブジェが鎮座する奥の閲覧スペース
鳳のオブジェが鎮座する奥の閲覧スペース

会話も静けさも、そのときの気分に合わせて心地よく過ごしたいなら「中間ゾーン」がおすすめ。そして、少し1人で考えごとをしたいときは、無音に近い「集中ゾーン」に足を運んでみてほしい。「こちらが閲覧席ですね。真ん中には『鳳(おおとり)』のオブジェがあります。読谷村の形が地図で見ると鳥が羽ばたく形をしているんですね。それをモチーフに作品を作っていただきました」と飯塚さん。手元を照らす明かりや電源、Wi-Fiまで完備され、誰にも邪魔されず自分の時間に没頭できる「書斎」のような空間が待っている。飯塚さんによると、村内にはコンセントやWi-Fiを自由に使える場所が少ないのだそう。ここの本棚は独自の分類で並べられているので、目当ての本を探していたはずが、隣に置かれたまったく知らない世界の一冊につい手を伸ばしてしまう。そんな知的好奇心をくすぐる仕掛けもうれしい。

ガラスの扉で仕切られた学習室は、静寂に包まれた別空間
ガラスの扉で仕切られた学習室は、静寂に包まれた別空間
ひとつずつ手織りされた「読谷山花織」の仕切りが、プライベート空間をほっこりと演出してくれる
ひとつずつ手織りされた「読谷山花織」の仕切りが、プライベート空間をほっこりと演出してくれる
「芭蕉紙」でつくられたシェードが、優しい灯りで手もとを照らしてくれる
「芭蕉紙」でつくられたシェードが、優しい灯りで手もとを照らしてくれる

こうして館内を歩いてみると、村の手仕事にいたるところで出合うことができる。内装デザインも担当したCCCが運営する蔦屋書店は、黒を基調とした店舗が多い。でも、「それだとやっぱり読谷の雰囲気に合わない」という想いから、読谷や沖縄の素材を使うことを提案したのだと飯塚さんが教えてくれた。その言葉通り、館内は読谷の風景になじむ温かい色合いになっている。学習スペースの視線を優しく遮る仕切りには、村の伝統工芸である「読谷山花織」を採用。「1点ずつ手織りで織っていただきました。本当に贅沢な、『ミンサー柄』と呼ばれる柄になっております」と飯塚さんは微笑む。さらに机の上の照明のシェードには、琉球時代から伝わる「芭蕉紙(ばしょうし)」が使われているそう。見上げれば天井には沖縄の赤瓦を思わせる朱色が広がり、ローカライズされたデザインになっている。

本が好きでも、そうでなくても。子どもたちの好奇心が弾むオアシス

さらに奥へ進むと、子どもたちのための「こどもとしょかん」が広がっている。「やっぱり本に興味がない子どもたちもまだまだいます。だからこそ、まずは『この本がある環境に来たい』と思ってもらえることを目的に作りました」という飯塚さんの言葉通り、室内には子どもたちが登って遊べるネット遊具や、冒険心をくすぐる小さなトンネルも。秘密基地のような空間でゴロゴロと寝転がりながらお気に入りの絵本を読むといった、ワクワクする体験ができる。

ジンベエザメなど、海の生き物のイラストが描かれた、鮮やかなアートワークが魅力的な「こどもとしょかん」
ジンベエザメなど、海の生き物のイラストが描かれた、鮮やかなアートワークが魅力的な「こどもとしょかん」
ネット遊具の下には、秘密の空間が。ここは、トンネルで外とつながっている
ネット遊具の下には、秘密の空間が。ここは、トンネルで外とつながっている

壁一面に描かれた琉球イラストレーション作家による絵にも注目してほしい。村の魚であるジンベエザメが悠々と泳ぐその絵の中には、座喜味城跡の石垣や残波岬の灯台といった「隠れ読谷ポイント」がこっそり散りばめられており、親子で探すのも楽しいひとときになる。

「つくらな〜」は、無料で工作が楽しめる創作エリア
「つくらな〜」は、無料で工作が楽しめる創作エリア

また、子どもたちの創造力が弾むのが、無料で工作を楽しめる「つくらな〜」エリア。「読谷村内の企業より、捨ててしまうような廃材、例えば木材の切れ端やパイプなどをご提供いただいています。それを子どもたちが遊ぶためのツールとしてリメイクして使っているんです」と飯塚さんが言うように、自分だけの作品を自由に作って遊ぶことができる。週末には楽しい工作ワークショップや折り紙教室も開かれ、子どもたちの真剣なまなざしであふれている。

さらに心温まるのが、小さな子ども連れの家族に向けた配慮の数々。約1.5万冊の児童書や貸出用の知育玩具がそろうだけでなく、毎月第1日曜日・第3金曜日には「赤ちゃんと絵本の時間」というお話会も開催されている。お湯が出る調乳器を備えた授乳室やこどもトイレ、貸し出し用のベビーカーまでしっかりと完備。「静かにしなきゃ」と無理に我慢しなくていい“ちょうどいい距離感”が保たれているのもうれしいポイント。親子の心強いオアシスになっている。

館内を満喫したあとは、ぜひ外のエリアへも足を運んでみてほしい。テラスの芝生広場にはポップ噴水があり、飯塚さんが「沖縄は太陽が強いので、噴水で遊んでも一瞬で乾いてしまうんですよ。晴れた日はあそこで遊ぶ子も多いですね」と微笑むように、子どもたちが元気いっぱいに水遊びを楽しむ姿が見られる。広場にはキッチンカーガーデンも設けられており、おいしいフードやドリンクを片手にのんびり過ごすのもおすすめだ。さらに敷地内には、コミュニティ放送局「FMよみたん」のサテライトスタジオも併設されており、「毎週日曜日は図書館のスタッフも出演して、ここから情報発信をしているんです」とのこと。図書館のすぐそばにラジオ局があり、キッチンカーの周りに人々が集う光景は、まさに村の人々の声と笑顔が行き交う活きた場所の証拠だろう。

図書館の隣にサイエンススタジオ!? OISTの科学者が届ける「本物の体験」

そして、この図書館を「特別な場所」にしているのが、併設された「沖縄科学技術大学院大学(OIST)」のサイエンススタジオだ。

図書館の隣りには、「沖縄科学技術大学院大学(OIST)」のサイエンススタジオがある。こちらも入場無料で楽しめる
図書館の隣りには、「沖縄科学技術大学院大学(OIST)」のサイエンススタジオがある。こちらも入場無料で楽しめる

OISTは、世界的に権威のある科学雑誌『Nature』の出版社が発表する「Nature Index」の「質の高い論文の割合が高い研究機関ランキング」で、他大学などを抑えて日本1位、世界9位(2019年発表時点)にランクインした実績を持つ「知の最前線」。教員や学生の半数以上が外国人で、キャンパスの公用語はすべて英語。世界50カ国以上からトップクラスの頭脳が集まる研究機関なのだ。

そんな「ノーベル賞クラスの科学者たちが日々研究に打ち込む場所」が、村の図書館のすぐ隣にあり、誰でもふらりと立ち寄れてしまう。この規格外の環境こそが、読谷村の新しい文化拠点の大きな魅力と言えるだろう。

スタジオ内に進むと、最先端の研究を視覚的に楽しめる展示が目を引く。案内役を務めてくれたOISTの工藤さんは、「科学をわかりやすく、身近に感じてもらう場所として活用しています」と語る。ここの展示はどれも第一線の研究現場と直接つながっており、たとえばVRゴーグルを覗き込めば、「沖縄北部の『やんばる』に住んでいる生き物たちの映像や、そこで録音した実際の音を体験できます。また、沖縄の海の映像を見ながら、海の中で実際に聞こえるクジラが鳴く音なども楽しんでいただけるエリアになっています」とのこと。最新のテクノロジーを通じて自然環境や生き物たちの世界をそのまま体験し、雄大な自然の裏側に隠された生態系の不思議を感じてほしいという願いが込められている。

沖縄の自然や生命、大地のことなど、子どもだけでなく大人も「へぇ〜」と頷いてしまう、展示がいっぱい
沖縄の自然や生命、大地のことなど、子どもだけでなく大人も「へぇ〜」と頷いてしまう、展示がいっぱい

さらに見逃せないのが、不思議な形をした立体物「カライドサイクル」の展示だ。工藤さんによると「OISTの研究者が開発した図形です。表でも裏でもない形で、ずっとくるくる回り続けるんですよ」という。「この1枚の紙から折るとこの形になります」と教えてくれた。

専用のクラフトペーパーをダウンロードしてプリントすれば、誰でも「カライドサイクル」を作ることができる。詳しくはOISTのYouTube、「おうちで OIST科学」をチェック!
専用のクラフトペーパーをダウンロードしてプリントすれば、誰でも「カライドサイクル」を作ることができる。詳しくはOISTのYouTube、「おうちで OIST科学」をチェック!
「カライドサイクル」の展示模型。ぐるぐると回り続ける不思議な構造が紹介されている
「カライドサイクル」の展示模型。ぐるぐると回り続ける不思議な構造が紹介されている

「将来的にはロケットの軸の部分や、ロボットのアームの部分などに使われるのではないかと言われている図形なんです」と、まさに「未来の技術」の卵。このサイエンススタジオでは毎週末、実際にこのカライドサイクルを作る工作教室が開かれており、子どもたちが自分の手を動かしながら科学のおもしろさに夢中になっているそうだ。

また、沖縄で採取されたアリや「世界で一番臭いアリ」などの標本がずらりと並んだコーナーもあり、備え付けの虫メガネを使ってじっくりと観察することができる。普段は見えないミクロの世界の奥深さに、大人も思わず見入ってしまう。

沖縄に生息するアリや、外来種のアリの標本を展示。虫メガネで覗いてみると、種類ごとの違いを見比べることができる
沖縄に生息するアリや、外来種のアリの標本を展示。虫メガネで覗いてみると、種類ごとの違いを見比べることができる

さらに魅力的なのは、世界中から集まる科学者たちとの交流が生まれること。「イカの足は10本なのに、なぜタコは8本なの?」といった子どもたちの素朴な疑問に、本物の研究者が丁寧に答えてくれる大人気の掲示板も、そのひとつだ。最先端の研究者を、身近で親しみやすい存在として感じられる工夫が随所に凝らされている。

科学者たちと交流できる、OISTならではの掲示板
科学者たちと交流できる、OISTならではの掲示板

科学の不思議に触れられる楽しいイベントが開催されることもあり、ここは地域の大人たちと国際的な科学をつなぐ架け橋のような場所。そして何より、工藤さんが「小さいころにOISTのイベントに来て科学者を目指すようになり、大学を経て再びOISTの研究者として戻ってきた方もいるんです。そういったケースが少しずつ増えていますね」と話すように、ここで生まれた子どもたちのワクワク感が、やがて世界を変える新しいアイデアへとつながっていく。ただの展示施設にとどまらず、「次世代の創造性を育むパイプライン」としての役割も静かに、けれど確実に果たしている。

読谷観光の拠点にしたい「ゆんラボ・未来館」。地元と触れ合う、新しい楽しみ方の形

観光の合間に寄り道する場所として、これほど心地よいスポットはなかなかない。まずうれしいのが、無料駐車場を備え、朝10時から夜22時まで開いていること。ホテル日航アリビラなど、周辺のリゾートホテルからのアクセスも抜群だ。旅行中、急なスコールに見舞われても、ここなら家族みんなで雨上がりを楽しく待つことができる。お金をかけずに子どもを思い切り遊ばせることができる、雨の日の頼もしい救世主になってくれるはずだ。

イベントスペースも、普段は閲覧スペースとして活用されている。大きな窓があり、とても開放的な空間
イベントスペースも、普段は閲覧スペースとして活用されている。大きな窓があり、とても開放的な空間

そして、冒頭でも触れた「日本全国どこに住んでいても利用者登録ができる」という仕組みは、観光客にとって非常にありがたい。旅の途中にサクッと本を借り、海辺のカフェや滞在先のホテルで続きを読む、なんていう贅沢な使い方もできてしまうのだ。

そして、この空間をより特別なものにしているのが、圧倒的な活気にあふれたイベントの数々。年間170件を予定していたイベントが、なんと開館から半年で180件以上も開催されるほどの盛り上がりを見せている。マイクを使って音を出せるイベントスペースでは、過去には「島唄」で知られるTHE BOOMの宮沢和史さんを招いたライブや朗読会、名作絵本『もったいないばあさん』の作者、真珠まりこさんとの交流イベント、さらにはプログラミング体験会や英会話教室まで、多種多様な催しが行われ、館内はいつも人々の明るい笑顔であふれている。

自動貸し出し機も備えられた図書館のカウンター
自動貸し出し機も備えられた図書館のカウンター

県内の利用者はもちろん、国内外から訪れる観光客にも利用してほしいという願いの通り、観光客の誘致について尋ねると、「今はまだ県内の方の利用が中心ですが、よく見るとご家族で観光にいらっしゃっている方もいるんです」と飯塚さん。国内に住所があれば外国籍の方でも登録できるそうだ。もし、広場に多くの店が並びにぎわう「むらぬ市(マルシェ)」の日や、キッチンカーが出店している日に訪れることができたら、地元のおいしいものや手作りの品々をぜひのぞいてみてほしい。並んだテントを眺めながら「どこから来たの?」と地元の人と言葉を交わした思い出は、きっとその旅をさらに色鮮やかなものにしてくれるはずだ。

 写真展などイベントも定期的に開催されている
写真展などイベントも定期的に開催されている

休館日は6月23日の「慰霊の日」のみ。この日だけお休みというのも、歴史や平和を大切にする沖縄らしさを感じさせてくれる。それ以外の364日はいつでも温かく迎え入れてくれる、訪れるたびに心弾むようなとっておきの居場所だ。

読谷村周辺に住んでいるなら、今週末のちょっとしたおでかけに。これから沖縄旅行を計画しているなら、ぜひ旅のプランのひとつに。お気に入りの一冊とコーヒーを楽しみながら、自分のペースで過ごす。そんなひとときを過ごしてみてはいかが?

ゆんラボ・未来館

住所:沖縄県中頭郡読谷村字座喜味2901-1

時間:10時〜22時(カフェ・物販も同時間)

休み:慰霊の日(6月23日)

駐車場:約230台※駐車料金無料

アクセス:沖縄自動車道石川ICから約20分

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取材・文・撮影=北村康行

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