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「韓国文化通信」Vol.38 デザインスタジオ〈Ae Office〉

  • 2026.5.30
Ae Officeの二人のポートレート

多様な環境で素材を探究するデザインスタジオ

──学生時代はどんなことに興味があったのでしょうか?

チェヒ

私は弘益(ホンイク)大学校でインダストリアルデザインを学んでいましたが、工芸に興味があって、1年休学して、アフリカやヨーロッパ、アメリカに旅をしました。

旅先ではいわゆるデザイナーではない名もなき人たちの作品や人と出会い影響を受けました。デザイナーでは、商業デザインにも携わりながら人間の根源的な形を探究したエンツォ・マーリやジャスパー・モリソンから多くを学びました。卒業後は、韓国の伝統工芸の作品を販売する場所で働いていたこともあります。

キム・ミョンニョン

私はヒュンダイの車工場がある、蔚山(ウルサン)広域市の大学でインダストリアルデザインを学びました。デザイナーを志したのは、小学生の時にiPadに出会ってからアップルのデザインに興味を持って。家電デザインを専攻しており、リチャード・サッパーらの工業デザイナーから影響を受けました。

────民芸品のような大量生産品には表せないフォルムが好きな方と無駄のない研ぎ澄まされたデザインが好きな方、お2人の興味が真逆なんですね。スタジオを始められた経緯は?

チェヒ

同じデザイン会社に勤めていたんです。お互いまったく異なる思考やセンスを持っていたので、一緒にやったら面白いシナジーが生まれるかなって思いました。

ミョンニョン

会社にいた時代は、サムスンやLG、ヒュンダイ等のクライアントを担当し、本当に幅広いデザインを手がけていました。3年在籍し、2020年に2人で独立して、翌年開業しました。

──最初はソウルで活動されていて、その後済州(チェジュ)島に移られていますが、移住された理由を教えてください。

チェヒ

韓国はプロダクトデザインもトレンドの移り変わりが非常に速くて、それについていかなければならず、ソウルの生活に少し疲れたタイミングだったんです。済州島を選んだのは、もともと工芸が好きだったのもあるし、韓国本土とは違う文化を持っているから。

朝鮮時代の両班(ヤンバン)がかぶっていた馬の毛で作られた「カッ(갓)」という帽子を作る人がいたり、伝統文化が息づいています。移住した人も多く、文化が混ざり合う感じもよくて。済州島の中でも田舎に一軒家を借りて住んでいました。なんでも自分たちでやらなければならないのが面白かった。

ミョンニョン

本当にそう。足りないものは、近所のおじいさんやおばあさんが作ってくれたりして助けてくれた。助け合い文化も残っていて、ミカンが名産なんですが、ミカンを買う人は人間的に問題があると言われています(笑)。

そんなゆっくり時間が流れる中で、自分たちの作品について考える時間もとれました。デザインをするうえで大きな影響を受けたのは、素材です。済州島は島全体が玄武岩に覆われた火山島なので黒い岩が取れる。それを作品にどう生かしていくかを考えました。

──作品についてお聞かせください。実用的でミニマルなデザインがある一方で、済州島の溶岩を感じさせるワイルドな作品もあります。

チェヒ

済州島で受けたインスピレーションを形にしたのが、「DOL」です。済州島において玄武岩は畑の境界線になったり、椅子になったり様々な用途に使われます。触り心地はゴツゴツした見た目と違い、軟らかく心地よいものでした。その後ベルリンに移住して、コルクの素材に出会った時にアイデアが浮かびました。

ミョンニョン

軟らかくて軽いコルクを使って、済州島の玄武岩のようにスツールやテーブル、様々なものに使えるプロダクトを考えました。済州島の地元ブランド〈ODUJEJ〉とコラボレーションして作っています。

「MUDLE X ODUJEJ」シリーズ。コルク製の多用途オブジェクト。ショールームで実物を見ることができる。

──デザインのインスピレーションはどんなところからやってきますか?

ミョンニョン

その土地に住んでいる人たちの道具を見るのが好きです。

チェヒ

昔から生活の中で使われていたものを、現代に提案するなら?という発想で考えることが多いです。

〈Ae Office〉が選ぶ、今の韓国を知る場所

「“불가마”(火窯)とは、韓国伝統サウナの一種で、炭を焼いた後の高温の窯を利用した熱気浴。ソウルにもありますが、郊外にある伝統的なところを巡るのが好きです。サウナに入るだけではなく、その炭を使って肉や野菜を焼いたり、キャンプのような雰囲気です」(チェヒ)

profile

Ae Office

エーイーオフィス/ベルリンのデザインスタジオ。Industrial Facility、Studio Kwangho Lee、SWNAといった国際的なスタジオで実務経験を積んだ。インダストリアルデザインを基盤に、家具、プロダクト、空間、クリエイティブディレクションを手がける。Instagram:@aeoffices

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