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建築会社の担当者「仮契約ですから気軽に…」元住宅営業マンが明かす、“数十万円”の損害を招く落とし穴

  • 2026.6.27
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、元注文住宅営業マンのホリカワです。

仮契約なので、気軽にどうぞ」。建築会社の担当者からこのひと言をかけられ、安心して書類に署名する方が少なくありません。

サブスクの「無料トライアル」を思い出してみてください。「無料」「お試し」という言葉が心理的なハードルを下げますが、解約しなければ課金が始まる仕組みもありますよね。住宅の「仮契約」にも、似た構造が潜んでいます。

じつは、日本の法律に「仮契約」という概念は定められていません。署名したその書面は、法的には「仮」ではない場合があるのです。

「仮だから大丈夫」が招く誤算

建築会社に勤めていた頃、「仮契約ですので」という言葉をクッションにして、お客さまの緊張をほぐそうとする営業マンがいると聞いたことがあります。

お客さまは、「仮なら大丈夫」「解約してもダメージはない」と安心して署名します。

しかし、建築会社が測量を進め、設計士がプランを描き始めると、数万~数十万円規模の費用が発生することがあるのです。

他社のプランが気に入ってキャンセルを申し出たところ、すでに発生していた実費の説明を受けて驚く――そんな場面が珍しくありません。

この問題の本質は、「仮契約」の中身を理解しないまま署名してしまったことにあります。

法律に「仮契約」は存在しない

民法上、契約は原則として当事者の意思表示が合致すれば成立するとされています(民法第522条)。

一方で、法律に「仮契約」「本契約」という区分は定められていません。「仮」と名がついていても、書面に署名した時点で「合意した」という強力な証拠となり、法的な拘束力が生じる場合があるのです。

さらに注意したいのが、行動経済学でいう「サンクコスト効果」。すでに支払った費用に引きずられ、冷静な判断がしにくくなる心理傾向のことです。

仮契約を結んだあと、測量や設計が動き出せば費用が発生します。いったんその費用を支払うと、「この会社は合わないかもしれない」と感じても、「もったいない」という気持ちが乗り換えを難しくするかもしれません。

測量や設計に実費がかかること自体は自然です。問題は、「仮」という言葉がその事実を見えにくくしている構造にあります。

署名前に確認したい「2つの質問」

では、どうすれば「意図と違う仮契約を結んでしまうリスク」を回避できるのでしょうか?署名の前に、担当者へ以下の2つを確認するだけで、リスクは大幅に減らせます。

1.「この書類にサインしたあと、もし気が変わった場合、違約金やペナルティは発生しますか?書面のどこに書いてあるか教えてください

2.「本契約に進むまでの間にキャンセルしたら、戻ってこない費用やあとから請求される実費はありますか?具体的に教えてください

そして、忘れてはならないポイントがもう1つ。口頭で確認した内容を書面に残すことです。「先ほど確認したキャンセル時の費用精算の件、相違ないですか?」とメールやメッセージで送り、履歴を残しておきましょう。

「仮契約なので、気軽にどうぞ」にご用心

「仮」という言葉を過剰に恐れる必要はありません。ただ、その1文字に安心しすぎず、書面の内容を理解したうえで署名することが、万が一のときの備えになります。

信頼できる建築会社であれば、ご紹介した2つの質問に誠実に答えてくれるはずです。質問をためらわせるような空気がある場合は、立ち止まるべきサインかもしれません。

確認は、相手を疑う行為ではなく、お互いが安心して前に進むための行為です。その手間が、数年後の「この家を建ててよかった」という安心感につながっていくはずです。


ライター:ホリカワ ダット
注文住宅の建築会社に営業職として従事したあと、SEOライターとして独立。500組以上の家づくり相談に携わった経験をもとに、「マイホーム取得を少しでもラクに」をテーマに、住宅ジャンルの記事を幅広く執筆中。インテリアコーディネーター/1級カラーコーディネーター(商品色彩)資格保有。


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