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22年前、芝居も主題歌も「自分の色」で染めにいった表現者 飾らなさの奥にあった確かな芯の強さ

  • 2026.6.14

テレビをつければ、いつもまぶしい場所にいた。歌って、踊って、笑わせて、時代の真ん中を走っていた。だからこそ、その人が一人でギターのそばに立ち、自分で書いた歌を静かに鳴らしたとき、見ているこちらの息が少しだけ止まる。

派手な振り付けも、絢爛なステージもない。あるのは、肩の力をふっと抜いた、ひとりの表現者の横顔だけだ。

堂本剛『ORIGINAL COLOR』(作詞・作曲:堂本剛)ーー2004年6月9日発売

KinKi Kids(現・DOMOTO)として、すでに国民的な存在だった人が、ソロ名義で世に出した2枚目。トリプルA面シングル『WAVER』に収められた一曲として、そっと差し出された。大々的に「これが新境地だ」と打ち上げるのではなく、束ねられた数曲のなかの一つとして置かれたところに、この曲のたたずまいがにじむ。

「歌わされる人」ではなく「自分で描く人」

注目したいのは、作詞も作曲も、そして歌も、すべて本人の手から生まれているという一点に尽きる。

アイドルという言葉には、どこか「与えられた歌を歌う人」という響きがつきまとう。誰かが書いた言葉を、誰かが作ったメロディに乗せて、最良のかたちで届ける。それも立派な才能だ。けれど堂本剛は、アイドルとしてその役割を完璧にこなしながら、もう一つの顔を持っていた。自分の内側から言葉とメロディを取り出して、自分で並べる人。シンガーソングライターとしての横顔だ。

それは「目立ちたい」とか「証明したい」とかいう力みとは少し違って見える。ただ、自分のなかにある色を、そのまま外に出してみたかった。タイトルが告げる『ORIGINAL COLOR』という言葉そのものが、彼の表現の動機を静かに言い当てているように映る。

借り物ではない色。誰かに塗ってもらった色でもない。自分だけの、もとからの色。グループの華やかな衣装を脱いだあとに残る、素のままの一筆を、この曲に感じる。

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2025年1月、「ストリートアートの進化と革命 展」記者会見に出席した堂本剛(C)SANKEI

“涼やかな”風通しのよさ

音を聴けば、その肩の力の抜け具合がいっそうよくわかる。

アコースティックギターの素朴な響きと、バンドの音が涼やかに溶け合っていく。ここにあるのは、こちらの胸ぐらをつかんで揺さぶるような強さではなく、窓を開けたときに入ってくる風のような心地よさだ。編曲には亀田誠治が名を連ね、その風通しのよさを丁寧に支えている。

自分のなかの温度をそのまま音に乗せていくような歌い方。聴いていると、彼が誰かに何かを訴えているというより、自分自身に向かって小さくつぶやいているような、そんな近さを感じる。

歌詞は、特別な事件を語るわけではない。背伸びをした美辞でもない。自分らしさをそのまま描いた言葉が、メロディと一緒にゆっくり流れていく。だからこそ、この曲は派手な記憶として残るより、ふだんの暮らしのそばに静かに置いておきたくなる。アイドルとして輝いていた人の、もっとも飾らない一面が、この涼やかさのなかにある。

主演ドラマの主題歌を、自分で描くということ

この曲は、TBS系ドラマ『ホームドラマ!』の主題歌として流れた。主演を務めたのは、ほかでもない堂本剛その人だ。

画面の中で芝居をする自分。そのドラマの最後に流れる主題歌を、自分で書いて自分で歌う。役者として物語の真ん中に立ちながら、その物語をくるむ音楽までも自分の言葉でつくる。この座組みには、彼の表現者としての姿勢がくっきり表れている。演じる物語と、歌う言葉を、別々の他人に委ねない。両方とも、自分の色で染めにいく。

思えば、2002年の『街』もまた、彼が主演したTBS系ドラマの主題歌だった。主役を張った作品に、自分の歌をそっと寄り添わせる。その繰り返しのなかで、堂本剛は「演じる人」と「描く人」を一人の体のなかでつないでいった。

アイドルとして与えられた華やかな場所に立ちながら、その場所で鳴る音楽を、少しずつ自分の手に取り戻していく。『ORIGINAL COLOR』は、そんな静かな歩みのひとこまとして、いまもやさしい光を放っている。

飾らない一筆の強さ

きらびやかな衣装も、完璧な振り付けも、アイドルとしての彼にはよく似合っていた。けれど、この曲が残しているのは、そのすべてを脇に置いたときに現れる、もっと素朴で、もっと正直な姿だ。

自分で言葉を選び、自分でメロディを編み、自分の声でそっと差し出す。大きな声で何かを主張するわけではないのに、その飾らなさのなかに、確かな芯の強さを感じる。時代を走っていく人が、ふと立ち止まって描いた一枚の自画像。その色は派手ではないけれど、二度と他人には塗れない、まぎれもない本人だけの色だと言いたくなる。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。

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