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13年前、美輪明宏に見出された“一人の美男子” NHKドラマに引っ張りだこの「選ばれる俳優」とは

  • 2026.6.13
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2015年5月、映画『グッド・ストライプス』のトークショーに出演した中島歩(C)SANKEI

濱口竜介、早川千絵、ロウ・イエ。一筋縄ではいかない映画監督たちが、そろって同じ俳優の名を呼んできた。中島歩である。

派手な売れ方をした人ではない。それでも、確かな目を持つ作り手たちが繰り返し彼を選んできた。なぜ、目の肥えた監督ほど彼を欲しがるのか。指名され続けたその佇まいは、2026年のドラマ界で多忙を極めている。

目利きに見いだされた

はじまりからして、選ぶ目を持つ人に見つかっている。2013年、美輪明宏が演出と主演を兼ねる舞台『黒蜥蜴』で、雨宮潤一役に抜擢されデビューした。スタートから美輪明宏主演作という時点で、彼のその先を感じさせる。

2015年の映画『グッド・ストライプス』では真生を演じて映画初主演を果たし、第7回TAMA映画賞の最優秀新進男優賞を受けている。立っているだけで画面が締まる、品のある佇まい。中島歩は最初から、見る人が見れば分かる俳優として世に出た。鳴り物入りではなくとも、確かな目に拾われる人だった。

作家が余白を信頼する

その佇まいは、テレビの場でも信頼を集めた。2014年のNHK連続テレビ小説『花子とアン』で連続ドラマに本格進出すると、のちにNHK大河ドラマや連続テレビ小説など、NHKの大きな作品が繰り返し彼を起用していく。

華やかさで押すのではない。画面に置いて安心できる、確かな品。物語の世界観を壊さず、むしろ静かに引き締める。どんなジャンルの作品にも、違和感なく溶け込んでしまう。その信頼が、次の出会いを呼び込んでいった。

中島歩を語るうえで外せないのが、作家性の強い監督たちとの仕事だ。2021年、濱口竜介監督のオムニバス映画『偶然と想像』に出演。この作品はベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)に輝いている。

第76回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門に選出された中国のロウ・イエ監督の『サタデー・フィクション』(2019年)に呼ばれ海外作品に進出。2025年には日本・フランス・シンガポール・フィリピン・インドネシアの国際共同製作の映画『ルノワール』(早川千絵監督)にも出演。同作はカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に、日本映画として選ばれている。

なぜ作家は彼を選ぶのか。沈黙や余白で語れる身体を、持っているからだ。説明しすぎない佇まいが、作り手の描く世界に静かに溶け込む。セリフの少ない場面でこそ、この人の表情は雄弁になる。多くを語らないからこそ、観る側に想像する余地が生まれる。作家たちは、その余白を信頼しているのだ。

選ばれ続けた人が中心に立つ

世間が広く名前を覚えた瞬間といえば、2024年のTBS系ドラマ『不適切にもほどがある!』だろう。宮藤官九郎が脚本を手がけ、阿部サダヲが主演したこの話題作で、中島は昭和の中学教師・安森を演じた。

コミカルな空気のなかでも、彼の佇まいは画面にすっと馴染む。作り手たちに選ばれ続けてきた俳優の顔を、ここで初めて多くの視聴者が知った。玄人の評価が、お茶の間の認知へとつながった一作である。

そして2026年はテレビで大暴れしている。テレビ東京系の『俺たちバッドバーバーズ』で中島は元美容師・日暮歩を演じ、草川拓弥とともに、連続ドラマで初めてのダブル主演を務める。情けなくも情に厚い男を、新境地のアクションコメディで体現する。これまでの物静かな役柄とは違う表情を、ここで見せることになる。

これまで選ばれる側だった人が、いま物語の中心で画面を背負う。さらに7月からはTBS系金曜ドラマ『Tシャツが乾くまで』では蒼井優と共演する。活躍の場はますます広がっていく。選ばれ続けた俳優の重みが、ようやく物語の真ん中で動き出す。次はどんな監督が彼を呼ぶのか、それも楽しみだ。


※記事は執筆時点の情報です

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