1. トップ
  2. エピソード
  3. ジムの地下プールで体調不良になった60代女性…階段しかない施設で、救急隊が“応援の要請”も検討したワケ

ジムの地下プールで体調不良になった60代女性…階段しかない施設で、救急隊が“応援の要請”も検討したワケ

  • 2026.6.27
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。ライターのとしです。

救急現場では、傷病者の状態だけでなく、場所の構造によって搬送の難しさが大きく変わることがあります。

今回の要請は、ジムのプール内で60代女性が体調不良を訴えた事案でした。

現場は地下にあるプール。救急車まで移動するには階段を上がる必要があり、到着した時点で搬送の難しさを感じました。

地下のプールで体調不良になっていた

現場に到着すると、女性は地下のプール付近にいました。

意識状態や呼吸の様子、脈拍、血圧などを確認しながら、まずはその場で状態を見ていきます。

プール内は湿度が高く、空気もこもりやすい環境です。

床は濡れていて滑りやすく、救急隊が歩くだけでも足元に気を使いました。

傷病者を移動させる時は、さらに慎重になります。

体調が悪い状態で立ち上がったり歩いたりすれば、ふらついて転倒するおそれもあります。

救急隊自身も、濡れた床で足を滑らせれば安全な搬送ができません。

プールの現場では、病状だけでなく、足元の環境も大きなリスクになると感じます。

救急車までは階段しかなかった

この施設では、地下のプールから救急車まで移動するために階段を使う必要がありました。

エレベーターが使える現場であれば、ストレッチャーで比較的スムーズに移動できることもあります。

しかし、階段しかない場合は一気に難しくなります。

傷病者の状態を見ながら、どの資器材を使って運ぶのか。
どのタイミングで移動を始めるのか。
救急隊だけで安全に搬送できるのか。

その場で判断しなければなりません。

階段搬送では、傷病者の体に揺れが伝わりやすくなります。

体調が悪い方にとって、その揺れや姿勢の変化が負担になることもあります。

隊員側も、足元や手元にかなり注意が必要です。

一歩間違えれば、傷病者だけでなく隊員もけがをしてしまいます。

消防隊の応援も考えた

地下プールのような場所では、救急隊だけで搬送しようとすると無理が出ることがあります。

今回は搬送経路を確認しながら、必要に応じて消防隊へ応援を要請することも考えました。

人手が増えることで、階段での搬送や資器材の移動が安全に進めやすくなります。

プール内から更衣室、通路、階段へと進むだけでも気を抜けません。

床が濡れている場所では滑らないように足元を確認します。

通路が狭ければ、資器材や傷病者の体が壁や物に当たらないように注意します。

階段では、声をかけ合いながら、ゆっくり確実に上がっていきます。

急ぎたい気持ちはあります。

ただ、焦って搬送すれば、転倒や落下につながるおそれもあります。

こういう現場では、速さと安全のバランスを取ることがとても大切になります。

高温多湿の環境は隊員にも負担になる

プール内は、傷病者だけでなく活動する救急隊にとっても負担の大きい場所です。

湿度が高く、空気がこもっていると、短時間の活動でも体力を使います。

救急隊は資器材を持ち、周囲を確認しながら動きます。

そのうえで、傷病者の観察や搬送も同時に進めなければなりません。

濡れた床、高温多湿、階段搬送。

こうした条件が重なると、普段以上に慎重な動きが求められます。

公共施設では、体調不良の内容だけでなく、施設の構造によって活動の難しさが大きく変わるのだと感じました。

場所に合わせた搬送判断が必要になる

この事案で印象に残ったのは、傷病者の状態だけを見ていればよい現場ではなかったことです。

地下にあること。
床が濡れていること。
湿度や温度が高いこと。
救急車まで階段を上がる必要があること。

一つひとつは施設として珍しい条件ではありません。

ただ、救急搬送の場面では、それらが重なることで大きなリスクになります。

地下施設やプールのような場所では、搬送経路の確認と安全確保が欠かせません。

傷病者の負担を減らしながら、隊員も安全に動ける方法を考える。

その判断が、現場ではとても大切になります。

公共施設での救急活動は、病状だけでなく場所との戦いになることもある。

そのことを改めて感じた事案でした。


ライター:とし
元救急隊員。消防で17年、主に救急隊として活動し救急救命士資格を取得。現場経験をもとに、救急の分かりにくい部分を一般向けに噛み砕いて発信しています。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる