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「築20年で建物の値段はゼロ?」日本の中古住宅評価の慣行を、海外の住宅事情と比べて考える

  • 2026.6.29
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。不動産業界で15年の経験を持ち、現在は不動産ライターとして活動する西山です。住み替えや相続で家を売ろうとした際、「建物は築20年も経つと価値がほぼゼロになる」という言葉を耳にした経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

実際に日本では長年、住宅の状態に関係なく、一定の築年数で建物価値を減らす評価が一般的でした。しかし、日本でもこの慣行を見直す動きが進んでいます。今回は日本の住宅評価の変遷と、長く住み継ぐ視点について解説します。

築年数で価値が決まる日本と、長く活用する海外の住宅事情

日本では長らく、戸建て住宅の市場価値が築20〜25年でゼロとみなされる慣行が続いてきました。背景には、木造住宅の耐用年数が税法上で22年と設定されていることや、建物価値を個別に反映した取引事例が不足していたことなどがあります。経過年数で一律に減らす評価手法が中心であり、住宅の性能や手入れの良し悪しが評価に反映されにくい環境でした。

一方、海外に目を向けると事情は異なります。欧米では中古住宅の取引が主流であり、古い住宅も手入れをしながら長く使われています。日本の住宅ストックをめぐる資料によると、統計手法が異なるため単純比較はできないものの、取り壊された住宅の平均築後年数は以下のとおりです。

  • 日本が約32年
  • アメリカは約67年
  • イギリスは約81年

日本はこれまで住宅が早く取り壊されてきた傾向があり、この慣行が住宅の資産としての価値を下げてきた側面もあります。

状態やリフォームを反映する評価へ、国の見直しが進む

国土交通省は2014年(平成26年)に、中古戸建ての建物評価を改善する指針を策定しました。この指針では住宅を「基礎・躯体」と「内外装・設備」に分類しています。基礎・躯体は性能に応じて20年より長い耐用年数を設定し、長期優良住宅であればおおむね100年の耐用年数も許容されます。

機能が維持されていればリフォームによって価値が回復・向上すると捉え、評価に反映する方向へ変わりつつあります。築年数だけで一律に価値を決めるのではなく、住宅の状態や手入れの履歴を評価する時代へと移行しているのです。

これから中古住宅の購入や売却を検討される方は、築年数だけで価値を判断せず、基礎や躯体の状態、維持管理やリフォームの履歴を確認してみることをおすすめします。

中身で判断する取引へ。専門調査の活用と長く保つ視点

住宅の価値を適正に捉えるには、目に見える築年数だけでなく、住宅の中身に目を向ける必要があります。専門家が住宅の状態を詳しく調べる建物状況調査(インスペクション)は、数万円程度の費用で基礎や躯体の劣化・不具合の有無を確認でき、取引後のトラブルを避けやすくなるでしょう。

「築20年で価値ゼロ」は実態に合わなくなりつつある慣行であり、住宅そのものの寿命とは異なります。手入れの行き届いた住宅は、長く価値を保ちうる資産です。買う側も売る側も築年数に縛られず、個別の状態を見て判断すれば、納得のいく取引につながるでしょう。住宅を長く使えるよう手入れを重ねることが、将来の資産価値を支えるはずです。

参考:
中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針の策定について(国土交通省)
我が国の住宅ストックをめぐる状況について(国土交通省)



筆者:西山雄介(宅地建物取引士・マンション管理士・FP2級などの資格所有)
不動産業界歴15年。新卒で東証プライム上場のマンションデベロッパーに入社後、計2社で新築・中古販売および管理業務に従事。実務現場を経て管理職も歴任し、組織運営にも携わる。現在はその多角的な視点を活かし、実務解説から不動産投資、法律事務所案件まで、専門性の高いコンテンツ制作・ディレクションを行っている。


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