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「うちの泣き声、ご近所まで届いていたんだ…」児童相談所の訪問で知った30代夫婦。初夏の窓と"音の届き方"【一級建築士は見た】

  • 2026.6.29
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「初夏になって、夜は窓を開けて寝るようになったんです。そんなある日、児童相談所の方が訪ねてきて…。最初は頭が真っ白になりました」

そう話すのは、郊外の戸建て(4LDK・延床約33坪/土地約41坪、約5,200万円)に暮らすBさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。2歳の子どもがイヤイヤ期の真っただ中で、夜中に激しく泣く日が続いていました。エアコンを使うほどではない時季だったため、夜は窓を開けて過ごしていたといいます。

訪ねてきた職員は、子どもの様子を確認し、家庭の状況について話を聞くと、まもなく帰っていきました。「近所のどなたかが、泣き声を心配して連絡したのだと思います。責められたわけではないのに、ショックで…」とBさんは振り返ります。

その連絡は「見守り」の仕組みによるもの

まず知っておきたいのは、こうした連絡は、誰かを罰するためのものではない、という点です。児童虐待防止法では、虐待を受けたと「思われる」子どもを見つけた場合、すべての人に児童相談所などへ連絡(通告)する義務があると定められています。確証は必要なく、結果として思い違いであっても、連絡した人が責任を問われることはありません。連絡を受けた児童相談所などは、家庭を訪ねるなどして子どもの安全を確認します。

つまり、泣き声を聞いた近所の方が連絡するのも、職員が訪ねてくるのも、地域で子どもを気にかけた結果といえます。Bさん夫婦のように驚き、落ち込む保護者の方は少なくありませんが、「疑われた」というより「いざというときに子どもを守る仕組みが、きちんと働いた」と捉えたいところです。

窓を開ける季節は、家の音が思った以上に届く

そのうえで、住まいの側から知っておきたいのが、窓を開けたときの音の届き方です。

住宅の壁や窓ガラスは、閉じていれば室内の音をかなり抑えてくれます。ところが窓を開けると、音はほぼそのまま外へ出ていきます。とくに夜の住宅街は、昼間に比べて車の走行音などの生活音が少なく静かなため、同じ大きさの声でも、昼よりずっと遠くまで聞こえやすくなります。

初夏は、エアコンを使うほどではなく、窓を開けて休む家庭が増える時季です。開けた窓から子どもの泣き声が思った以上に響いていた、というのは、どの家庭にも起こりうることなのです。

Bさん夫婦はどう対応したのか

職員の訪問のあと、Bさん夫婦は気持ちを整理しながら、できることを考えました。

まず、夜泣きが激しい時間帯は窓を閉め、短時間だけ冷房や扇風機を使って室温を整えるようにしました。寝室の窓は、道路や隣家に近い側を閉め、反対側の窓で風を通すなど、開け方も工夫したそうです。あわせて、日ごろ顔を合わせるご近所には、「夜泣きでお騒がせしているかもしれません」とあいさつの折に伝えるようにしました。

「気にかけてくださる方がいると分かって、かえって心強くなりました」とBさんは振り返ります。

「窓を開ける暮らし」は、音の届き方まで考えて

窓を開けて過ごす季節は、風が通って気持ちのよいものです。一方で、音の出入りも増える時季だと意識しておくと安心です。とくに以下の点を意識してみてください。

・寝室や子ども部屋の窓が、道路や隣家とどれくらい近いか
・夜に窓を開けるときは、開ける窓の位置や時間帯を工夫できないか
・泣き声が続く時期は、短時間の冷房なども使い、窓を閉める選択肢を持てないか

子育ての音と、ご近所と

子どもの泣き声は、成長の一部であり、止めることはできません。保護者の方が責められるべきものでもありません。同時に、窓を開ける季節は、その声が思った以上に遠くまで届くことも事実です。

大切なのは、泣き声を無理に抑え込むことではなく、窓の開け方や時間帯といった「届き方」の工夫を知っておくこと。そして、日ごろからご近所と顔の見える関係をつくっておくことです。地域の見守りの仕組みは、子どもと保護者の方を守るためにあります。

「泣かせないように」と思い詰めるのではなく、「音の届き方を少し工夫する」と考えること。それが、窓を開ける季節を、子育て世帯が安心して過ごす第一歩です。

参考:
児童虐待防止対策(こども家庭庁)
児童相談所虐待対応ダイヤル(こども家庭庁)
児童相談所虐待対応ダイヤル「189」について(こども家庭庁)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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