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新築購入した30代夫婦「よかれと思って…」敷地内に建てたフェンスなのに…お隣から苦情が来たワケ【一級建築士は見た】

  • 2026.6.30
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「道路や隣の家からの視線が気になって、庭に背の高い目隠しフェンスを建てたんです。自分の敷地に建てた自分のフェンスなのに、まさかお隣から苦情が来るとは思わなくて…」

そう話すのは、郊外の新築戸建て(4LDK・約5,100万円)を購入したGさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。リビングや庭が外から見えるのが気になり、境界沿いに高さ2mほどの板張りの目隠しフェンスを設置しました。ところがしばらくして、隣家から「お宅のフェンスができてから、うちの庭が暗くなって、地面もじめじめしがちで」と控えめに伝えられたのです。

「よかれと思ってしたことなのに、関係がぎくしゃくしてしまいました」とGさんは振り返ります。

「自分の敷地のフェンス」でも、隣への影響はある

まず、フェンスを建てること自体は、多くの場合問題のない行為です。建物の外壁は民法で境界線から一定の距離を空けるよう定められていますが、フェンスのような工作物を自分の敷地内に設置する場合、境界からの距離にそうした制限は基本的にありません。

ただし、民法に距離の定めがないからといって、どこでも自由に建てられるとは限りません。地域によっては、自治体の条例や「地区計画」で塀・フェンスの高さやデザインが定められていたり、分譲地の住民同士の「建築協定」でルールが決まっていたりします。とくに分譲地では、購入時の取り決めや地域の慣習が優先されるケースもあります。設置の前に、市区町村の都市計画課・建築指導課や、分譲時の重要事項説明書・管理規約などで確認しておくと安心です。

そして、適法であることと、隣に影響がないことは別の話です。背の高いフェンスは、位置や高さによっては境界沿いの隣家に日陰をつくり、風の抜けを遮ることがあります。日が当たらず乾きにくくなれば、じめじめした印象にもつながります。「自分の敷地の中のこと」でも、影響は敷地の外に及ぶのです。

高さと「隙間」が、印象を大きく変える

トラブルでよく問題になるのが「高さ」と「隙間」です。一般に、高さが2mを超えてくると隣家は圧迫感を覚えやすいといわれます。また、板を隙間なく張ったフェンスは目隠しの効果が高い反面、光や風を遮りやすく、隣家の外壁にカビや苔が出やすくなることもあるとされます。

一方、ルーバー(羽根板)の角度を工夫したフェンスなら、視線は遮りつつ光や風はある程度通せます。「隠す」と「ふさぐ」は同じではなく、工夫次第で両立できる部分があるのです。

Gさん夫婦はどう対応したのか

悩んだGさん夫婦が選んだのは、フェンスの工事ではなく、お隣への声かけでした。専門業者にも相談しましたが、目隠しの効果を保ったまま隣家の日当たりを元どおりにするのは難しく、相応の費用もかかると分かりました。

それでも「正しいかどうか」より「気持ちよく隣り合えるか」を大事にしたいと考え、お隣へ「気づかず、ご迷惑をおかけしました」と率直に伝えました。あわせて、いずれ建て替える時期がきたら光や風を通すルーバー状のものを選ぼうと話しているそうです。「最初に一声かけてから建てればよかった、というのが反省です」とGさんは振り返ります。

フェンスを建てるときは「地域のルールと隣への影響」まで考える

目隠しフェンスやブロック塀を検討する際は、自分のプライバシーだけでなく、地域のルールや隣家への影響まで考えておくと安心です。

・フェンスの高さが必要以上に高くなっていないか(圧迫感の目安とされる2mを超えていないか)
・板の隙間や形状で、光や風の通り道を確保できているか
・自治体の条例・地区計画や、分譲地の建築協定などで高さやデザインが制限されていないか
・分譲時の取り決めや、地域の慣習で決まっているルールがないか
・設置の前に、隣家へ高さやデザインを一言伝えられているか

ご近所と「気持ちよく」暮らすために

プライバシーを守りたい気持ちは自然なものです。問題になるのは、その思いが強いあまり、地域のルールや隣の暮らしへの影響に気づかないまま高く囲ってしまうこと。

大切なのは、目隠しは「高く、隙間なく」だけが答えではないと知り、その地域のルールを確かめ、できれば設置の前に隣家へ一声かけておくことです。フェンスは一度建てると変えにくいからこそ、建てる前のひと手間が後々の関係を左右します。「自分の家を守る」ことと「隣に配慮する」こと。その両立が、ご近所と気持ちよく暮らす第一歩です。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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