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50万安く土地購入した40代夫婦→新居完成直前、隣人とトラブルになり…彼らを襲った“思わぬトラブル”

  • 2026.6.30
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

土地を購入する際、多くの方は建物の間取りや住宅ローン、日当たりなどに意識が向きがちです。一方で「境界」についてはあまり深く考えないまま契約を進めてしまうケースも少なくありません。

実際、「フェンスは後で設置すればいい」「境界確認なんて大きな問題にはならないだろう」と思われる方もいらっしゃいます。

しかし土地の境界は、隣地との関係や将来の資産価値にも関わる重要なポイントです。

今日は、価格交渉を優先した結果「境界立会いを引渡し後に行う」という条件で土地を購入した40代ご夫婦が、思わぬ境界トラブルに巻き込まれ、外構工事が数ヶ月間ストップしてしまったエピソードをご紹介します。

値引きと引き換えに境界確認を後回しにした土地購入

これは、私が以前同じ会社で働いていた他部署の40代のAさんご夫婦の話です。

ご夫婦は長年の夢だった注文住宅の建築を計画しており、土地探しから家づくりまで熱心に進めていました。ようやく希望に近い土地が見つかり、購入に向けて価格交渉が始まります。

その土地は長年個人所有されていた土地で、明確な境界標(境界を示す目印)もなく、土地家屋調査士による正式な境界立会い(隣地所有者立会いのうえで境界を確認する作業)も行われていませんでした。

本来、不動産売買では引渡しまでに売主負担で境界明示を行うケースが一般的です。ところが今回は売主側から、次のような提案がありました。

「境界明示は行わない代わりに、その分価格を下げます。境界確認は引渡し後に買主様の負担でお願いできませんか」

約50万円の値引きが提示されたこともあり、Aさんご夫婦は快諾。

こうしてこの土地は、売主による境界立会いは行わないという特約付きで契約が成立したのです。

建物完成直前に発覚した境界トラブル

住宅建築そのものは順調に進んでいました。基礎工事や上棟も問題なく終わり、いよいよ完成が近づいてきます。残るのはフェンスや駐車場、アプローチなどの外構工事だけという段階でした。

ところが、そのタイミングで実施した境界立会いで思わぬ問題が発生します。隣地所有者の方が「私はその境界位置には納得できません」と異議を申し立てたのです。

原因となったのは、敷地の境界付近に設置されていた古いブロック塀でした。Aさん側は、現在の境界標の内側を基準に考えていましたが、隣地所有者は「このブロック塀は昔から境界上に造られています。境界は塀の中心ではないですか」と主張したのです。

もしブロック塀の中心が境界ということになれば、その塀は双方で管理する共有物として扱われる可能性があります。将来、ブロック塀にひび割れが発生したり、建て替えや撤去が必要になったりした場合も、費用負担や工事方法について協議しなければなりません。

Aさんは「今後ずっと隣地の方と相談しながら管理しなければならないのは不安でした」と話していました。

一方で隣地所有者も長年そう認識していたため、簡単に譲ることはできませんでした。さらに、過去の測量図や古い資料の解釈にも食い違いがあり、話し合いはなかなか前に進みませんでした。

しかし、境界問題は一方だけの主張で決められるものではありません。双方が納得しなければ境界を確定できないため、協議は長期化していきました。

こうして、完成間近だったマイホームは思わぬ“境界トラブル”に巻き込まれることになったのです。

外構工事がストップし未完成のまま入居

問題はここからでした。境界が確定しない以上、フェンス工事には着手できません。施工業者からも、次のような説明を受けました。

「後で境界位置が変わる可能性がある以上、このまま工事を進めることはできません」

工事は、フェンスだけではありません。境界付近に関係する駐車場やアプローチ部分についても、一部の施工を中断せざるを得なくなったのです。

一方で、建物本体の工事はすでに完成間近でした。引越しの日程変更も難しかったため、ご夫婦は予定通り新居へ入居することになります。

しかし、敷地の一部は未完成のままでした。本来設置されるはずだったフェンスはなく、一部は砂利や土が見えたままの状態です。外から見ると、まるで工事途中の住宅のようにも見えました。

さらに問題となったのが工事の再手配でした。境界問題が解決する時期が見通せないため、施工業者も次の工程を確定できません。

その結果、当初の工事スケジュールは大きく崩れ、再調整や再訪問に伴う追加費用も発生しました。

解決まで数ヶ月かかった境界確定

境界問題はすぐには解決しませんでした。最終的には土地家屋調査士を交え、過去の資料調査や再測量が行われることに。古い測量図や境界標の位置、ブロック塀の設置経緯などを確認しながら、双方で何度も話し合いが重ねられました。

しかし、長年の認識の違いは大きく、協議は想像以上に難航します。その間もAさんご夫婦は、「いつ解決するのだろう」という不安を抱えながら生活を続けていました。

最終的に境界位置について合意が成立したのは、立会い開始から数ヶ月後のこと。境界確認費用や再測量費用に加え、工事スケジュール変更に伴う負担も発生しました。

当初は約50万円の値引きに魅力を感じていたご夫婦でしたが、結果的には時間的にも精神的にも大きな負担を抱えることになりました。

Aさんは「値引きしてもらえた時は得をした気分だったけど、今思えば、最初から売主負担で境界明示を終わらせてもらった方が安心でした」と振り返っていました。

土地の境界は普段あまり意識しないものです。しかし、一度トラブルになると解決まで長い時間と労力を要する場合があります。

Aさんご夫婦は、念願のマイホーム計画の中で、その現実を身をもって経験することになったのです。

土地購入時は境界関係の確認を忘れずに

土地を購入する際は、どうしても価格や立地、建物プランに意識が向きがちです。しかし、境界関係は購入後のトラブルを防ぐうえで非常に重要なポイントでもあります。

特に次のようなケースでは注意が必要です。

  • 境界明示が未実施のまま引渡しを受ける
  • 境界立会いを買主負担で行う特約がある
  • 隣地所有者との確認が終わっていない
  • 境界確定測量が実施されていない
  • 古い測量図しか存在しない

境界が未確定の土地では、今回のようにフェンスや駐車場などの外構工事へ影響が及ぶことがあります。また、将来その土地を売却する際に境界確認が必要となり、同じような問題が表面化する可能性もあるでしょう。

Aさんご夫婦は約50万円の値引きに魅力を感じて契約しましたが、その後は境界協議や工事の遅延、追加費用、精神的な負担に悩まされることになりました。

土地購入では価格だけで判断するのではなく「安くなっている理由」まで確認することが大切です。特に契約書に境界に関する特約が記載されている場合は、その内容や将来的なリスクを十分理解したうえで判断したいところです。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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