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玄関を開けた瞬間「なんか臭い」…SNSの対策を信じて旅行に出た40代夫婦が陥った“思わぬ落とし穴”

  • 2026.6.29
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

夏休みやお盆休みを利用して、家族旅行や帰省を計画する方も多い時期ではないでしょうか。旅行前には冷蔵庫の整理をしたり、ゴミを捨てたり、戸締まりを確認したりする方は多いものです。しかし、普段は意識しない「排水口」が思わぬトラブルの原因になることがあります。

私が以前相談を受けたご家庭でも「ネットで見た対策」を実践した結果、旅行から帰宅した瞬間に家中へ下水のような悪臭が広がる事態が発生しました。

今日は、楽しかった家族旅行の余韻が帰宅直後の悪臭騒動で一気に吹き飛んでしまった40代ご夫婦の体験談をご紹介します。

夏休み前「これで安心」と思って家を出たご夫婦

これは私が不動産売買仲介に携わっていた頃、購入後の住まい相談を受けた40代のAさんご夫妻のお話です。

小学生のお子さま2人を含む4人家族で、その年の夏休みに約1週間の家族旅行を計画していました。出発前、ご主人はSNSで見かけた住宅関連の投稿を参考にしていたそうです。

そこには「長期間家を空けるなら排水口対策をした方がいい」という内容が書かれていました。投稿には「排水口を掃除したあとに水気をできるだけ残さず、排水口周辺を乾いた状態にしておくと、ぬめりや害虫対策になる」と、間違った紹介がされていたそうです。

「カビ対策にもなるし、害虫対策にもなるから一石二鳥だね」

ご主人は、SNSで紹介されていた方法に特に疑問を持つこともなく、そのまま実践することにしたそうです。

旅行前日には浴室や洗面所、キッチンを丁寧に掃除し、生ゴミも全て処分。排水口を丁寧に掃除し、中の水気もできる限り拭き取ったうえで、しばらく水を流さない状態にして出発しました。その年は連日35度近い猛暑が続いており、日中は室内温度もかなり高くなっていたそうです。さらに24時間換気システム(住宅内の空気を常時入れ替える設備)も作動したままでした。

「これで帰ってきても気持ち良く過ごせるはず」

ご夫妻は、帰宅後に思わぬトラブルが待っているとは知らず、旅行を楽しみに出発したのです。

帰宅直後、玄関を開けた瞬間に異臭が襲った

ところが約1週間後。旅行を終えて帰宅したご家族は、玄関ドアを開けた瞬間に異変を感じました。

「なんか臭くない?」

最初に気付いたのは奥様でした。ご主人も違和感を覚えます。

「生ゴミは全部捨ててあるよな…」

まず疑ったのはキッチンです。冷蔵庫の中も確認しましたが、腐った食品などは見当たりません。ところが家の奥へ進むにつれ、臭いはさらに強くなっていきました。

特に洗面所や浴室の周辺では、下水のような不快な臭いが漂っていたそうです。

ご主人は芳香剤や消臭スプレーを使いましたが、あまり効果はありません。窓を開けて数時間換気しても改善せず、ご家族のストレスは一気に高まっていきます。

子どもからは、「旅行は楽しかったのに、家が臭い……」という不満の声が上がり始めました。帰宅したばかりの楽しい気分は一変し、ご夫妻は原因の分からない悪臭に頭を悩ませることになったのです。

原因は排水トラップの「封水」だった

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出典:PhotoAC ※画像はイメージです

困ったご夫妻は設備業者へ点検を依頼しました。すると原因は意外な場所にあったそうです。業者が洗面所や浴室の排水口を確認し、「原因は排水トラップかもしれませんね」と説明しました。

排水トラップとは、浴室や洗面所、キッチン、洗濯パンなどの排水設備に設けられている構造です。内部に水をためることで、下水管と室内の間にフタを作り、下水臭や害虫の侵入を防ぐ役割を担っています。このたまっている水は「封水(ふうすい)」と呼ばれています。いわば、水でできたフタのようなものです。

ところが業者からは「この封水がかなり減っていますね」と言われたそうです。Aさん夫婦には心当たりがありました。

ご夫妻は旅行前に排水口を丁寧に掃除し、中の水気もできる限り拭き取ったうえで、そのまま長期間使用しない状態で家を空けていました。本来、排水トラップ内に残る封水は下水臭や害虫の侵入を防ぐために必要なものです。

しかし、その年は猛暑が続いており、室内は高温状態でした。さらに24時間換気システムも稼働していたため、封水が通常より蒸発しやすい環境になっていたとのことでした。

もちろん、1週間家を空けたら必ず悪臭が発生するわけではありません。

しかし、排水トラップの仕組みを知らないまま「乾かした方がよい」と考えてしまうと、必要な水まで減らしてしまうおそれがあります。その結果、水のフタとしての役割が十分に機能しなくなり、下水管の臭いが室内へ上がってきていたことが判明したのです。

良かれと思った対策が裏目に出た

業者の指示に従い、ご夫妻は浴室や洗面所、キッチン、洗濯パンなど全ての排水口へ水を流しました。すると臭いは徐々に改善。幸い大きな故障ではなく、高額な修理費が発生することもありませんでした。

しかし原因が分かるまでは「どこか設備が壊れたのではないか」という不安を抱えながら過ごしたそうです。

ご主人は「ネットで見た情報をそのまま信じてしまいました」と苦笑いしていました。奥様も「設備の仕組みを全く理解していませんでした」と話していました。

結果的に深刻な被害には至りませんでしたが、ご夫妻は「良かれと思ってやったことが裏目に出てしまった」と後悔していたそうです。

長期間不在にする前は排水設備も確認を

長期間家を空ける場合、意外と見落としやすいのが排水設備です。特に夏場は室温が高くなりやすく、条件によっては排水トラップ内の封水が減少する場合があります。

旅行や帰省などで不在にする際は、次のような排水設備の状態も確認しておきたいところです。

  • 浴室
  • 洗面所
  • キッチン
  • 洗濯パン

また、帰宅後に下水のような臭いを感じた場合でも、必ずしも設備の故障とは限りません。排水トラップの封水が減少しているだけであれば、水を流すことで改善するケースもあります。

近年では、SNSや動画サイトなどでさまざまな住まいの情報を目にしますが、設備の仕組みを十分に理解しないまま対策を行うと思わぬトラブルにつながることもあります。

排水口周辺の掃除や水気の拭き取りは大切ですが、排水トラップ内の封水は下水臭や害虫の侵入を防ぐために必要なものです。

住宅では目に見えない設備ほど重要な役割を担っています。ネットの情報だけをうのみにせず、設備の役割を理解したうえで対策を行うことが大切です。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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