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「家賃が相場より3万円安い」駅徒歩5分の好条件物件に即決…30代女性が半年で退去に追い込まれた“夜の盲点”

  • 2026.6.24
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

賃貸物件を探しているとき、相場よりかなり安い物件を見つけた経験はありませんか?

駅から近い。室内もきれい。設備も悪くない。それなのに周辺物件より数万円安いとなれば、「これは掘り出し物かもしれない」と感じる方も多いでしょう。もちろん、本当に条件の良い物件が市場に出ることもあります。

しかし、不動産業界では「安い物件には何らかの理由がある」と言われることも少なくありません。今日は、私が数年前に勤務していた不動産会社の賃貸課で実際にあったお話です。

転職を機に一人暮らしを始めた30代女性が、駅近で家賃も手頃な物件に出会いました。ところが、昼間の内見では気付かなかった周辺環境が原因で、入居後の生活は大きく変わってしまいます。

駅徒歩5分なのに家賃が3万円安かった“お得物件”

ある日、転職を機に一人暮らしを始めるという30代前半のAさんが来店されました。勤務先への通勤を考え、次の条件で物件を探していました。

  • 駅徒歩5分以内
  • 築20年以内
  • オートロック付き

ところが、希望条件を満たす物件は予算を超えるものばかりです。そんな中、賃貸課から紹介されたのが、駅徒歩5分のマンションでした。しかも家賃は周辺相場より約3万円安かったのです。

室内はリフォーム済みで、フローリングやクロスも新しくなっていました。内見は平日の昼間に行われましたが、周辺は静かで特に気になる点もありません。

そしてAさんは、その日のうちに申し込みを決断したのです。

毎晩23時になると聞こえてくる走行音

入居から数週間後のことでした。Aさんから、私が勤めていた不動産会社の賃貸課へ一本の電話が入ります。

「毎晩、電車の音が聞こえてくるんです」

駅に近い物件だったため、私たちも最初はそこまで深刻な話だとは思いませんでした。

しかし詳しくお話を伺うと、23時を過ぎた頃から聞こえてくる列車の走行音で何度も目が覚めてしまうというのです。改めて周辺環境を確認したところ、物件の近くには貨物列車が通る路線がありました。

昼間は車の走行音や人通りがあるため、それほど気になりません。しかし夜になると周囲は一気に静かになります。すると、昼間は気付かなかった列車の走行音が想像以上に響いて聞こえるようになるのです。

特に貨物列車は通勤電車とは運行時間帯が異なり、深夜帯にも走行することがあります。Aさんも当初は「そのうち慣れると思っていました」と話していました。

ところが現実はそう甘くありませんでした。夜中に何度も目が覚める日が続き、徐々に睡眠不足が続いていったそうです。その後、Aさんは自分なりに対策を始めました。高性能な耳栓を購入し、防音カーテンを取り付け、窓の隙間には防音テープも貼りました。

しかし、どれも決定的な解決にはなりませんでした。やがてAさんは睡眠不足の影響を強く感じるようになります。

  • 仕事中に集中力が続かない
  • 朝起きても疲れが取れていない
  • 休日も寝不足を解消するために寝て終わってしまう

そんな生活が続いたそうです。

その後、Aさんは再び賃貸課へ相談に来られました。そして少し疲れた表情で「家に帰るのが憂うつになってしまいました」と話していたのが印象に残っています。

本来、住まいは心と体を休める場所です。しかしAさんにとっては、帰宅するたびに「今夜もまた電車の音で起きるかもしれない」と感じる場所になってしまっていたのです。

半年後に退去…総額50万円超の想定外出費

結局、Aさんは入居から約半年で退去を決断しました。新居探しを行い、再び引っ越しをすることになります。結果的に次の費用が発生し、総額は50万円を超えたそうです。

  • 短期解約違約金
  • 引っ越し費用
  • 新居の初期費用
  • 仲介手数料

騒音による睡眠不足は最後まで改善せず「このまま住み続けるのは難しい」と判断した結果でした。

実は、当時対応していた賃貸課の担当者も線路が近いことは把握していました。しかし、深夜帯に貨物列車が運行していることまでは認識していなかったとのことです。

もちろん、列車の走行音は事故物件のような告知義務の対象とは異なり、原則として法律上必ず説明しなければならない事項ではありません。そのため、昼間の内見だけでは分からない周辺環境の問題が、入居後に初めて見えてくることもあります。

Aさんも退去後「家賃の安さばかり見ていました。契約前に一度でも夜の時間帯に来ていれば違ったと思います」と振り返っていました。

賃貸物件は“夜の顔”まで確認することが大切

賃貸物件を探す際、多くの方は昼間に内見を行います。

しかし、実際に暮らし始めると昼間には気付かなかった音や周辺環境が気になることがあります。特に線路や幹線道路、繁華街に近い物件では、時間帯によって住環境が大きく変わるケースも少なくありません。

そのため、賃貸物件を検討する際は次のような点も確認しておきたいところです。

  • 昼だけでなく夜の時間帯にも現地を訪れる
  • 窓を開けた状態で周辺の音を確認する
  • 線路や踏切との距離を確認する
  • 貨物列車など夜間の運行状況を調べる
  • 不動産会社へ周辺環境で気になる点を質問する
  • 相場より大幅に安い理由がないか確認する

家賃や駅からの距離は物件選びで重要な判断材料です。しかし、実際の住み心地は図面や募集条件だけでは分からないこともあります。Aさんのように「昼間は静かだったから大丈夫」と判断した結果、住み始めてから後悔するケースもあるでしょう。

住まい選びでは建物の中だけでなく、周辺環境まで含めて確認することが大切です。特に相場より大幅に安い物件を見つけたときは、その理由にも目を向けてみるとよいかもしれません。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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