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台風の日、隣人「もう我慢できません」気付けば隣家の2階まで…新築購入年から8年後、40代夫婦が招いた“思わぬトラブル”

  • 2026.6.28
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

新築住宅を購入した記念に、庭へシンボルツリーを植えるご家庭は少なくありません。最初は小さな苗木でも、年月とともに成長していく姿を見るのは楽しみなものです。家族の思い出とともに大きくなっていく木に愛着を持つ方も多いでしょう。

しかし、その「大切に育てていた木」が、思わぬ近隣トラブルへ発展するケースもあります。

今日は、シンボルツリーの成長を喜んでいたご夫婦が、隣家との関係悪化と約20万円の出費に直面した実際のエピソードをご紹介します。

気付けば隣家の2階まで届いていたシンボルツリー

これは3年前の話です。相談に来られたのは、新築戸建てを購入して約8年が経過した40代のAさんご夫婦。ご夫婦は、新居完成時の記念として庭にシンボルツリーを植えていました。

植えた当初の高さは1メートルほど。庭のアクセントになる程度で、隣家との境界からも十分距離があるように見えました。お子さまの成長とともに木も大きくなり、毎年新しい枝葉が増えていく様子をご夫婦は楽しみにしていたそうです。

「この木を見ると家を建てた頃を思い出すんです」

そう話されるほど愛着をもって育てていました。

ところが数年が経過すると、木はご夫婦の想像を超える勢いで成長していきます。気付けば2階の窓付近まで高さが伸び、一部の枝は境界を越えて隣地側の上空へ入り込むようになっていました。

「落ち葉の掃除が限界です」隣人から繰り返された苦情

最初に隣家から声を掛けられたのは秋でした。ある日、隣人の男性から「最近、落ち葉がかなり入ってくるんです」とやんわり相談を受けたそうです。

しかしAさんご夫婦は、あまり深刻には受け止めていませんでした。

「秋だけのことだろう」「そのうち落ち着くだろう」

ところが翌年の秋も状況は変わりません。むしろ木はさらに成長し、落ち葉の量も増えていきました。隣家の庭には毎日のように葉が舞い込み、掃除をしても翌日には再び落ち葉が積もる状態だったそうです。

さらに問題となったのが雨どい(屋根の雨水を流す設備)でした。落ち葉が詰まるたびに隣人は脚立を出して掃除を繰り返していました。

ある日、再び声を掛けられます。

「申し訳ないんですが、掃除しても掃除しても終わらないんです。雨どいまで詰まってしまって…」

その頃には隣人の表情にも明らかな疲れが見えていたそうです。

それでもAさんご夫婦は「来年こそ剪定しよう」と考えるだけで、本格的な対応までは行いませんでした。ところが翌年になると苦情は相談ではなく要望へ変わっていきます。

「このままでは本当に困ります。一度きちんと対応していただけませんか」

そして問題は、落ち葉だけでは終わりませんでした。

強風で枝がカーポートに接触…ついに伐採を決断

転機となったのは台風シーズンでした。その日、地域では強い風が吹いていました。

すると越境していた枝が大きく揺れ、隣家のカーポートへ何度も接触したのです。バンッ、バンッという音が響き、隣人も慌てて外へ出てきたそうです。幸いカーポートに大きな破損はありませんでした。

しかし長年積み重なっていた不満は限界に達していました。数日後、Aさんご夫婦は隣人から改めて話し合いを求められます。

「以前から何度も相談していましたよね。落ち葉も枝も、もう我慢できません。もし建物が傷付いたらどうするんですか」

これまで穏やかだった隣人の口調は明らかに変わっていたそうです。Aさんご夫婦も、ようやく事態の深刻さを理解しました。

すぐに植木業者へ相談し、現地調査を依頼します。すると業者からは「ここまで大きくなると軽い剪定では難しいですね」と説明を受けました。

境界付近まで大きく広がった枝を安全に撤去するためには、高所作業車を使った大規模な作業が必要だったのです。さらに今後も定期的な剪定費用が発生する見込みでした。

悩んだ末、ご夫婦はシンボルツリーの伐採を決断します。高所作業費、伐採費用、処分費用などを合わせると、かかった費用は約20万円。

新築時の記念として植えた大切な木も失うことになりました。近隣との関係にも気まずさが残り、ご夫婦にとっては20万円以上に重い代償となった出来事でした。

庭木は意外と伸びやすく、定期的な管理が必須

庭木やシンボルツリーは、住まいの魅力を高めてくれる存在です。

一方で、植えた時の大きさだけで判断すると、数年後に思わぬ問題へ発展することがあります。特に境界付近へ高木を植える場合は注意が必要です。

購入前や植栽前には、以下のような視点を持つことが大切です。

  • 10年後の樹高や枝張りを確認する
  • 落葉樹か常緑樹かを把握する
  • 定期的な剪定費用を想定する
  • 隣家との距離を確認する
  • 枝葉が越境する前に管理する

また、2023年に施行された民法改正により、越境した枝については一定の条件を満たした場合、隣地所有者が自ら切除できるルールも整備されました。ただし「枝が越境しているから自由に切ってよい」という意味ではありません。

原則としては、まず木の所有者へ枝の切除を求める必要があります。そのうえで所有者が対応しない場合や、所有者が分からない場合など、法律で定められた条件を満たしたケースに限り切除が認められます。そのため、問題が大きくなる前に所有者自身が対応することが重要です。

住宅購入では建物や土地価格ばかりに目が向きがちですが、庭の維持管理にも費用や責任が伴います。

「自分の土地だから自由にできる」

そう考えてしまうと、思わぬ近隣トラブルや出費につながることもあります。

シンボルツリーは住まいの魅力を高めてくれる存在です。だからこそ、近隣への影響も含めて長く管理していく意識を持つことが大切なのかもしれません。

参考:公益社団法人全日本不動産協会|〜民法233条改正を学ぶ〜越境する根・枝の切除問題とは?



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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