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「血の気が引きました」帰宅したら駐車場が水の中…30代夫婦を襲った“思わぬ落とし穴”【一級建築士は見た】

  • 2026.6.28
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「夕立のような豪雨があった日、帰宅したら半地下の駐車場が水びたしで…。愛車のタイヤが半分つかってしまって、血の気が引きました」

そう話すのは、郊外の新築戸建て(4LDK・延床約34坪/土地約40坪、約5,000万円)を購入したZさん(30代夫婦・子ども2人の4人暮らし)です。日当たりと価格のバランスが気に入って選んだ住まいでしたが、その年の夏、近年増えているゲリラ豪雨で、思わぬ浸水を経験することになりました。

Zさんの家は、道路よりやや低い土地に建っていて、駐車スペースが半地下のようになっています。買うときは「日当たりが良く、価格も手頃でいい物件」と感じていましたが、まさか水につかるとは考えてもいなかったといいます。

浸水は「川のそば」だけの話ではない

浸水と聞くと、大きな川のそばだけの話だと思われがちですが、そうとは限りません。近年は、短時間に激しく降るゲリラ豪雨によって、川から離れた市街地でも浸水が起きています。

その代表が「内水氾濫」です。下水道や排水路が処理できる量を超える雨が一気に降ると、水が地上にあふれ出します。とくに、周りより低い土地や水はけの悪い場所では、雨水が集まって浸水が広がりやすくなります。Zさんの家のように、道路より低い土地や半地下の駐車場は、まさに水がたまりやすい条件にあたります。

つまり浸水のリスクは、川との距離だけでなく、その土地が「周りと比べて高いか低いか」にも大きく左右されるのです。

浸水リスクは「ハザードマップ」でわかる

では、その土地に浸水のリスクがあるかどうかを、買う前に知る方法はあるのでしょうか。手がかりになるのが「ハザードマップ」です。

ハザードマップには、大雨で浸水が想定される範囲や、その深さが地図上に示されています。河川の氾濫を示す洪水ハザードマップのほか、下水道があふれる内水氾濫を示したものもあり、各自治体のウェブサイトや、国土交通省の「重ねるハザードマップ」で確認できます。

しかも、2020年からは、不動産の取引時に、このハザードマップ上で物件がどこにあたるかを説明することが、宅地建物取引業者に義務づけられています。つまり、買う前の重要事項説明で、浸水リスクを知る機会は用意されているのです。自治体のマップ整備状況によっては説明対象外となるケースもあるため、見落とさずに確認することが大切です。

Zさん夫婦はどう対応したのか

浸水を経験したZさん夫婦は、まず自宅がハザードマップ上でどんな場所にあたるのかを、あらためて確認しました。

すると、周辺は浸水が想定される区域に含まれており、購入時の説明でも触れられていたことに気づいたそうです。そのうえで、半地下の駐車場の入り口に、大雨のときに設置できる簡易な止水板を用意。さらに、豪雨の予報が出たら早めに車を高い場所へ移動させる、家の貴重品は1階の床に直接置かないなど、できる範囲の備えを始めました。

「リスクをきちんと知っていれば、慌てずに動けます。知らないままだったのが、いちばん怖かった」とZさんは振り返ります。

家を買うときは「土地の高さ」と「ハザードマップ」まで見て選ぶ

戸建ての購入を検討する際は、日当たりや価格だけでなく、浸水のリスクも確認しておくと安心です。とくに以下の点を意識してみてください。

・ハザードマップ上で、浸水が想定される区域や深さに入っていないか
・周りの道路や隣地と比べて、土地が低くなっていないか
・1階や半地下、地下駐車場など、水がたまりやすい部分がないか

「晴れた日」だけでなく「大雨の日」も想像して

家を見に行くのは、たいてい天気のよい日です。だからこそ、つい「晴れた日」の暮らしばかりを思い描いてしまいます。けれども、住まいは大雨の日もそこで過ごす場所です。

大切なのは、土地の高さや水の流れにも目を向け、ハザードマップで浸水リスクを確かめておくこと。そのうえで、止水板や避難の段取りなど、できる備えを知っておくことです。リスクは、知ってさえいれば、過度に恐れるものではありません。

「日当たりや価格」だけでなく、「大雨の日に、この土地はどうなるか」まで想像しておくこと。それが、長く安心して暮らすための第一歩です。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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