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「これも時代なのか」車好き世代が戸惑う…トヨタ車選びから消えた“紙の記憶”

  • 2026.6.9
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出典:トヨタ自動車株式会社

お目当ての車のカタログを眺めることは、車選びにおけるワクワクする体験の一つではないでしょうか。しかし現在、トヨタの販売店から紙のカタログが姿を消しつつあることをご存じでしょうか?環境への配慮やデジタル化が進む時代とはいえ、少し寂しさを感じる方もいるかもしれません。

本記事では、長年親しまれてきた紙カタログが廃止される背景と、これからの車選びがどう変わっていくのかについて考えてみます。

車を買う前から始まっていたワクワクする時間

休日に販売店へ足を運び、気になっていた新しい車のカタログをもらって帰る。そんな経験は、多くの方にとってなじみ深いものだったのではないでしょうか。リビングのテーブルに分厚い冊子を広げ、家族と一緒にページをめくる時間は、車選びの醍醐味の一つといえます。

つやつやとした表紙を眺め、細かく並んだスペック表やボディカラーの一覧を見比べながら、どのグレードにするか悩む時間はとても楽しいものです。まだ契約を結ぶ前であっても、手元のカタログを眺めているだけで、新しい車で出かける週末のドライブや、日々の生活が豊かになっていく様子が、自然と想像の中に広がったことでしょう。

このように、単なる車の説明書を超えて購入前の期待感を高めてくれる特別な存在だった紙カタログですが、先にお伝えした通り、現在トヨタの販売店からその姿を消しつつあります。長きにわたって私たちの車選びに寄り添ってくれたこのアイテムが、なぜ今になって見直されることになったのでしょうか。その理由について、詳しく見ていきます。

トヨタが紙カタログを廃止する背景とは

私たちにとって身近な存在だった紙カタログですが、トヨタは2024年5月28日をもって公式サイトでのカタログ郵送請求の受付を終了しました。さらに、2025年1月からは国内のトヨタブランド車において、紙の商品カタログの制作および印刷そのものはすでに終了しています。なお、上級ブランドの「レクサス」については現時点で未定となっています。

この大きな変化の背景にあるのは、地球環境への配慮を軸とした持続可能な開発目標やカーボンニュートラルへの取り組みです。カタログをデジタルへ移行することで、年間約7,000トンもの紙資源の使用を削減できるといわれています。さらに、年間約1.1万トンもの二酸化炭素排出量を削減できるとされており、いかに大規模な環境負荷の軽減につながるかがうかがえます。

また、環境への配慮という側面だけでなく、販売現場が抱える課題の解決も深く関わっているようです。そもそもカタログはメーカーが制作し、販売店が販促ツールとして買い取る仕組みでした。上質な紙で全車種分を印刷・製本することは多品種少量生産となりコスト効率が悪く、販売店にとって金銭的な負担が大きかったという背景もあるようです。

それに加えて、仕様変更や価格改定のたびに古いカタログを廃棄しなければならないという無駄(廃棄ロス)も生じていました。デジタル化はそうしたコスト負担や廃棄ロスを軽減し、よりスムーズな店舗運営を実現するための自然な流れだったといえるかもしれません。

新たな車選びを支えるスマートカタログの魅力

紙のカタログがなくなる一方で、販売店ではタブレット端末などを活用したスマートカタログの導入が進められています。物理的な冊子が手元にないことに戸惑うかもしれませんが、デジタルならではの大きな魅力も備わっています。

その代表例が、複雑化する最新機能のわかりやすさです。近年の車には高度な安全装備や運転支援機能が数多く搭載されていますが、それらの動作を静止画と文章だけで完全に理解するのは難しい場合もあります。スマートカタログであれば、実際の動きを映像で確認することなどができるため、文字だけでは伝わりにくい機能の仕組みを直感的に把握できるようになります。

さらに、画面の文字を拡大して見やすくできるほか、タッチペンで画面上に直接メモを書き込める機能を備えた端末を導入している店舗もあるようです。複数の車種を横並びで比較しながら、販売員の説明や気になるポイントをその場で書き残せるため、自分に合った情報を整理しやすくなるといえます。

最新の価格や仕様変更も即座にデータへ反映されるため、常に正確な情報をもとに検討を進められるのも嬉しいポイントではないでしょうか。

それでも手元に残らないのは少し寂しいかもしれない

デジタルの利便性や環境保護の大切さは十分に理解できても、長年親しんできた紙のカタログがなくなることには、どこか寂しさを覚えるものです。画面越しに見る美しい映像はたしかに便利ですが、紙ならではの質感や匂い、ページをめくるときの指先の感覚までは完全に再現できません。

販売店から持ち帰ったカタログをカバンから取り出すときの高揚感や、購入手続きが終わった後も記念として大切に保管しておきたいという気持ちは、多くの方が共感できるのではないでしょうか。数年後にふと本棚から昔の車のカタログを取り出し、「あの時代はこんなデザインだったな」と振り返る楽しみ方も、紙ならではの魅力でした。

しかし、そうした「手元に残らない寂しさ」を少しでも和らげてくれる工夫も用意されています。紙としての提供はなくなりますが、従来のカタログと同じレイアウトを保ったPDF版ウェブカタログは、引き続き公式サイトで閲覧できます。昔ながらのページ構成をじっくり眺めたいときは、ぜひそちらを活用してみてはいかがでしょうか。

これからの新しいワクワクの形を見つけよう

紙カタログの廃止は、単なるコスト削減や環境対応という枠組みを超えて、私たちの車選びのスタイルが次のステージへと進むきっかけになるのかもしれません。時代の移り変わりとともに、何かを選ぶ手段や楽しむ方法は常に変化してきました。

今後は、販売店のタブレット端末で臨場感あふれる映像を見ながら、より直感的でわかりやすい説明を受けるといった新しい車選びが主流になっていくと考えられます。情報を紙で持ち帰るスタイルから、店舗での充実したデジタル体験と自宅でのウェブカタログ活用を組み合わせるスタイルへと変わることで、これまでとは違ったワクワク感が味わえるはずです。

たしかに、分厚い紙をめくる楽しさは味わえなくなるかもしれません。しかし、新しい車を迎えるときの胸の高鳴りや、車を通じて広がる新しい生活への期待感が消えてしまうわけではありません。デジタルと対面コミュニケーションの良さをうまく組み合わせながら、これからも変わらず続く車選びの楽しみを新しい形で見つけていけたら、それは素晴らしいことではないでしょうか。



ライター:Masaki.N
自動車メーカーで車体開発エンジニアとして設計・先行開発に携わった後、マーケティング/市場リサーチ領域で商品導入・訴求設計にも従事。さらに自動車サブスク系ITベンチャーでマーケティングを担当し、ユーザー視点のコミュニケーション設計を経験。現在は自動車ライターとして、新車情報、技術解説、モデル比較、中古車相場、維持費、業界動向まで幅広く執筆。SEO記事・コラム・インタビューなど媒体横断で制作し、専門知識を生活者の言葉に翻訳して「買う/持つ」の判断を支援します。加えて、カスタムを含む実車取材・体験を通じて得た一次情報を記事に落とし込み、机上の知識にとどまらない“現場感”のある解説を強みとしています。


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