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『指が動かしにくい…』“市販の湿布”を貼って放置→更年期の症状かと思いきや…数年後、50代女性を待ち受けていた“過酷な現実”

  • 2026.6.25
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさんこんにちは、あらゆる病気をお持ちの方に日々対応し、安全な周術期をお守りする麻酔科専門医の松岡です。本日ご紹介するのは50代女性のお話です。

「朝起きると、なんだか指がこわばって動かしにくい。でもお弁当を作っているうちに治ってきたような…。年齢的に更年期の症状かしらね。」

そう自己判断して、市販の湿布を貼って我慢していた50代の女性。しかし数年後、彼女を待っていたのは、指の関節が白鳥の首(スワンネック)のように変形し、ボタンを留めるなどの日常の作業もできなくなるという過酷な現実でした。現在は、曲がってしまった指の痛みに耐えながら、家事もままならず、関節破壊の恐怖と向き合う日々を送っています。

「ちょっとしたこわばり」が、どのようにして普段の生活すら困難にしてしまう状況につながったのか解説しましょう。

湿布の下で進行する「骨が溶かされていく」メカニズム

なぜ「ただの手の動かしにくさ」が、関節の変形につながっていったのでしょうか。これは、「関節リウマチ」という、免疫システムが暴走する病気のためです。
以下のメカニズムで静かに、しかし着々と進行していきます。

【関節破壊のフロー】

免疫の暴走:本来、細菌などから体を守るはずの免疫システムが、誤って自分の関節の内側にある「滑膜(かつまく)」を敵と見なし、攻撃して炎症を起こします。

関節の破壊:炎症が続くと滑膜が異常に増殖し、そこから炎症物質(サイトカインなど)が放出されます。これが関節の骨を壊す「破骨細胞」を活性化させ、骨を内側から溶かし始めます。

関節の変形:治療が遅れると、発症から半年〜1年という短期間で骨が食べ進められるように溶かされ、変形して元に戻らない状態へと至ります。

「年齢のせい?」と放置してはいけない境界線

「指が痛いのは年齢のせい」と一括りにせず、以下の違いをチェックしてください。

注意が必要なケース:ヘバーデン結節

更年期世代に多いヘバーデン結節は、主に「指の一番先の関節(第1関節)」が変形・突出します。原因は完全には解明されていませんが、加齢や遺伝、女性ホルモンの変化などが関与していると考えられています。放置すると変形が進行するため、痛みがある場合は整形外科を受診しましょう。

即受診すべきケース:関節リウマチ

リウマチは「指の付け根」や「第2・第3関節」「手首」から腫れや痛みが始まるのが特徴です。ここが痛む場合、免疫が「骨を溶かし始めている」という危険なサインかもしれません。

「第1関節」か「それ以外か」。ひとつの目安としてこの場所の違いを知っているだけで、手遅れを防げるかどうかが決まります。

手遅れになる前に、確認すべき3つのサイン

関節破壊を食い止めるためには「発症早期の治療」が何よりも重要です。以下のサインがあれば、迷わず受診してください。

1. 朝起きた時に「指がこわばって動かしにくい」

起きてすぐが最も強く、使っているうちにだんだん楽になるのがリウマチの特徴です。

2. 指の第1関節ではなく「手首や第2・第3関節が腫れて痛む」

前述のようにヘバーデン結節とは痛む場所が異なります。特に手首の腫れは要注意です。

3. 複数の関節が「かわるがわる痛む」

必ずしも左右対称とも限りませんが、指だけでなく手首や足首など、複数の場所が痛む傾向があります。

指や手首の関節に違和感を覚えたらお早めの受診を

「そのうち治るから」と自分の体の不調を後回しにするお気持ちは痛いほどわかります。

しかし、この分野の治療も進歩しており、早期に治療を開始できれば、進行を抑制して、発病前とほとんど変わらない生活を保つことが十分に期待できるようになってきています。

「指の付け根が腫れている」「朝のこわばりが続く」と思ったら、まずは整形外科やリウマチ科で医師の判断を仰いでください。あなたの「いつもの日常」を守るために、まずは小さな一歩から始めてみましょう。その一歩があなたのこれからの毎日を守るのです。


監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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