1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 「知らなかったでは済まされない」買取査定のプロが警告。実は捜査対象になることも…売る前に確認すべき“思わぬ落とし穴”

「知らなかったでは済まされない」買取査定のプロが警告。実は捜査対象になることも…売る前に確認すべき“思わぬ落とし穴”

  • 2026.7.6
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

フリマアプリで、使わなくなったブランド品を売る。今ではすっかり身近な光景です。

親御さんやご親族から受け継いだ、形見のバッグを出品する方もいるでしょう。

けれど、「売る側」に立つことには、見落とされがちな落とし穴があります。

もしもあなたが売った品が偽物だったら?たとえ知らずに売ったのだとしても、トラブルに巻き込まれる可能性があるのです。

私はかつて、ブランド品の買取査定の窓口に立っていました。本物のつもりで持ち込まれた偽物に、何度か向き合った経験から、フリマで売る前に知っておきたい注意点をお話しします。

形見のブランドバッグを持ち込む方々

査定の窓口にいた頃、ルイ・ヴィトンやエルメスの高級ブランドのバッグを持ち込まれるお客様は珍しくありませんでした。中にはお母様やおば様など、年上のご親族から形見として譲り受けた女性の方もいました。

50代から60代くらいの、身なりのきちんとした方が多く、後ろ暗い気配は感じさせません。

状態の良いものなら、数十万円――ものによっては40万、50万円ほどの値がつくブランドです。

状態はいいのに、買い取れなかった理由

しかし、状態は申し分のない美品でありながら、お買い取りをお断りせざるを得ないことが稀にありました。われわれの目から見て偽物の可能性がある場合です。

「大変心苦しいのですが、当店の基準に合致しないため、お買い取りができません」とだけ、お伝えします。

お客様の反応は、二つに分かれました。思いもよらなかったと言葉を失う方と、ネットの情報で薄々不安があったのか、静かにうなずく方と。

どちらも、すっきりしない思いを抱えたまま帰っていかれました。

疑わしい品を世に出さずに食い止めるのが、査定窓口の役割でした。ところが、フリマアプリでの売買には、この「関所」がありません。

知らなかったでは済まされないこともある

フリマアプリでは、出品された品の真贋を、誰かが確かめてくれるわけではありません。本物だと信じて出品した形見のバッグが、実は偽物だった。そんなことも、起こりえます。

偽物だと知らず、本物と信じていたなら、刑事責任では「偽物と知っていたか」が問われます。形見を信じていた方が、それだけで犯罪になるわけではありません。

ですが、偽ブランド品を販売したり、販売目的で出品したりすることは、商標権の侵害にあたりえます。知らずに売った場合でも、買主から「本物と信じて買ったのに偽物だった」として、返金や損害賠償を求められることがあります。また、経緯をうまく説明できなければ、捜査機関の調査対象になることもゼロではありません。

さらに、もし偽物だと知りながら売った場合は、商標法違反として罪に問われることがあります。その罰則は、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金と、決して軽いものではありません。

数十万円で売れると思った一品が、思わぬトラブルの入り口になりかねない。それが、フリマで売る側に立つことの怖さです。

形見を手放す前に、できること

では、形見のブランド品を売るとき、どうすればいいのでしょうか。

まずおすすめしたいのは、フリマに出す前に、信頼できる買取店など、真贋の確認に慣れた窓口で相談することです。私のような査定の現場が、いわば「関所」の役割を果たします。そこで確認できれば安心して進められますし、疑わしければ出品前に踏みとどまれます。

あわせて、その品を誰から、どう受け継いだのか、入手の経緯を整理しておくと、いざというとき説明がしやすくなります。

大切な形見を守るためにも、そして自分自身を守るためにも、「分からないまま売らない」。それが、何よりの備えになると思います。


ライター:たるみくまお
リユース業界で買取窓口業務を経験し、ブランド品や高級時計など、数多くの査定に携わる。現在は技術商社に勤務する現役ビジネスマン兼Webライター。古物商許可証を保有し、現場で得た経験をもとに、二次流通市場やお金にまつわる情報を等身大の言葉で発信している。

の記事をもっとみる