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要介護2に判定された70代母→『介護費は月1万ほど』かと思いきや…50代長女が直面した“想定外の事態”に「最初は驚きました」

  • 2026.6.4
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーを務めながら、家計のご相談に日々向き合っている中川です。

今回ご紹介するのは、70代のお母さまの介護を支えてこられた50代長女Sさんの体験談です。「介護保険は1割負担」と考えて立てた介護費の見積もりが、お母さまの合計所得が一定額を超えたことで2割負担となり、10年間で当初想定の倍程度に膨らんだ経緯をご紹介します。

「介護費は月に1万円程度」と考えた家計設計

Sさんは50代前半の会社員。70代のお母さまが要介護2の認定を受けられ、在宅サービスと月に数回のショートステイを組み合わせる形で介護生活が始まりました。

要介護2のケアプランの自己負担額は、おおむね月に数千から一万数千円程度。当初は「介護費は1割負担で月1万円程度」として、お母さまの年金収入と少しの貯蓄取り崩しで家計を組まれていたといいます。

「ご近所の事例も大体それくらいでしたし、長く続いてもなんとかなると考えていました」

母の所得が基準を超えた年から、負担割合が「2割」に

転機は、お母さまが現役時代から積み立ててこられた個人年金の受取が始まり、公的年金とその他の収入を合算した「合計所得金額」が、ある基準を超えた年でした。

65歳以上の介護保険サービス利用者の負担割合は、ご本人の合計所得金額に応じて1割・2割・3割の三段階に分かれています。一般的には、合計所得160万円以上、かつ年金収入とその他所得の合計が単身世帯で280万円以上となる場合に2割負担。合計所得220万円以上、かつ年金収入とその他所得の合計が340万円以上となる場合に3割負担に区分されます(世帯構成によって基準は変わります)。

毎年7月頃に届く「介護保険負担割合証」を確認すると、Sさんのお母さまもその年の8月から「2割」に区分が変更。1万円程度だった自己負担額が、ひと月あたり2万円前後に増えました。

「公的年金の額は変わらないのに、個人年金の受け取りが始まったことで判定の境目を超え、そこから負担が倍になる。最初は驚きました」

10年介護で総額1,000万円を超える試算に

要介護度はその後も少しずつ進み、要介護3〜4の時期にはデイサービスや訪問介護の利用回数が増加。施設の併用も検討されました。

サービス利用が増えれば、たとえ2割負担であってもひと月あたりの自己負担額は数万円規模に達します。介護保険サービスの自己負担分には「高額介護サービス費」で月額上限が設けられていますが、施設の食費・居住費や生活面の支出など保険外の負担は対象外です。1割負担を前提に見積もっていた介護保険サービスの自己負担額は、2割負担となったことでほぼ倍になり、当初の想定より介護費全体も大きく膨らんでいました。

要介護2〜4の在宅・施設併用で10年介護が続くケースでは、施設の食費・居住費、住宅改修、介護用品といった保険外負担を含めると、総支出が1,000万円を超える試算となる場合もあるといいます。長期で見ると介護費は家計の大きな支出になるのです。

「親の介護のために、自分たちの老後資金まで動かす必要が出てくるとは思っていませんでした」

介護費用がSさんにとって思いがけない支出となっていたのです。

年に一度は、親の所得と「負担割合の境目」を確認

これからご両親の介護を考える方は、二つだけご確認なさってください。

一つ目は、親御さまの直近の「合計所得金額」と、その年の負担割合区分。毎年7月以降に届く介護保険負担割合証で確認できます。所得が基準のすぐ近くにある場合、翌年度から区分が上がる可能性を見越して家計を組む必要があります。

二つ目は、介護費総額の「1割」と「2割」の両方で試算をしておくこと。境目を超える可能性がある以上、片方だけの試算では資金計画が崩れる場面が出てきます。

親世代の介護費は、ご本人の所得区分とサービス利用量の組み合わせで大きく変わります。年に一度、判定通知が届く時期に家族で見直す時間を持つことが、家計を守ることにつながります。


※介護保険制度や税制は定期的に見直しが行われます。本記事の試算・基準は執筆時点のものであり、将来的に負担割合の判定基準や上限額が変更される可能性があります。具体的な状況については、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口(高齢福祉課等)へご確認ください。

執筆・監修:中川 佳人
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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