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3年前、ネトフリドラマ主演に抜擢→森七菜と並んだ「透明感女優」名匠にも選ばれる「若き天才」とは

  • 2026.7.4
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2025年12月、ELLE CINEMA AWARDS2025でライジングスター賞に選出された出口夏希(C)SANKEI

一人で主役を張るより、誰かと並んで主役を背負うほうが難しい。互いの芝居の温度を計りながら、自分の役を立て、相手の役を引き立て、二人の距離そのものを画面に成立させなければならないからだ。

出口夏希は、その難しい仕事を立て続けに任されてきた女優である。元ミスセブンティーン、そしてnon-no専属モデルから俳優の本格的な仕事に入り、森七菜、櫻井海音、ラウール、蒔田彩珠と、隣に並ぶ相手の格が一作ごとに上がっていく。なぜこの人が「W主演で隣に立つ人」として呼ばれ続けるのか。配信からスクリーン、是枝裕和監督作までを順に辿ると、その理由がはっきりと見えてくる。

隣に座る人として呼ばれた最初の大仕事

2023年、Netflix『舞妓さんちのまかないさん』で、森七菜と並んで主演を任された。原作は小山愛子の同名漫画。青森から京都の置屋へ出てきた幼なじみが、舞妓と仕込みさんに分かれていく物語で、出口の役は舞妓側の百はなである。

表情の小さな揺れだけで信頼の濃さを伝える。隣に座るキヨと、別々の仕事を持ったまま長い時間を共有する関係を、出口は静かな温度で運んでみせた。

モデル出身の俳優を語るとき「見つけられた人」という言い方がよくされる。だが百はなの仕事は、見つけられる側の段階ではもう成立しない。隣の人を生かしながら自分の輪郭も保つ、長距離を共に走るための筋肉が要る。モデル時代から地続きで積み重なってきた本格的な仕事が、「隣で背負う」役どころとして最初に大きく結実したのが、この百はなだった。

同じ二人でもう一度と望まれる

同年のWOWOW連続ドラマ『アオハライド』では、咲坂伊緒の少女漫画を原作にした実写で、櫻井海音と並んで主演に立った。出口が演じたのは吉岡双葉。動きと表情だけで青い恋を支え、隣り合う温度をぶらさないまま二人で物語を運ぶ。そして翌2024年のSeason2も、同じ二人で続投された。

ここに、出口が呼ばれ続ける理由のひとつがある。同じ相手と二期続けて任されるというのは、現場側からの強い再評価だ。一度きりの相性ではなく、また並んで欲しいと思わせる芝居の運び方をしている、ということでもある。隣の芝居を消さずに自分の芝居を立てる。地味だが、二人で主演を張るうえで最も大事な技術の話である。

同年のTBS系『18/40〜ふたりなら夢も恋も〜』西村世奈役で第26回日刊スポーツ・ドラマグランプリ夏ドラマ助演女優賞も受けている。配信から地上波、そしてWOWOWへ、座組の中心に近い場所が同じ年に同時に増えていった。

スクリーンで並び立つ身体性を獲得する

2024年の映画『赤羽骨子のボディガード』赤羽骨子役は、ラウールと並んでのヒロイン役だった。丹月正光の漫画を原作にしたアクションエンタメで、スクリーンでアクションを二人で成立させる身体性が問われる役どころである。同年、出口はこの作品で第46回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受けた。

モデル出身の俳優に向けられがちな「見つけられた」という枕詞の段階を、この賞でひとつ閉じた。ラウールの隣にスクリーンで並び立ち、新人賞で名前が公的に裏書きされる。「見つけられる人」から「隣で背負う人」へと、出口の立ち位置が書き換わる跳躍点になった。

翌2025年には映画『か「」く「」し「」ご「」と「』三木直子役で奥平大兼とW主演を務め、ELLE CINEMA AWARDS 2025エル・ガールライジングスター賞も受けている。

名匠が並べたい二人に選ばれる

2026年9月公開の映画『ルックバック』藤野役は、藤本タツキの同名漫画を是枝裕和監督が脚本・編集まで手掛けて実写化する一本だ。出口は蒔田彩珠と並んで主演を任されている。ジャンプ+で広く読まれた作品に、是枝裕和が脚本と編集まで降りる。原作の重さと監督の重さが二重で乗る、いまの日本映画でいちばん重量のある現場のひとつといっていい。

作画する藤野と、リーダーの京本。二人の漫画家を、互いの欠けを補い合うように画面に立ち上げる仕事である。注目したいのは、是枝が出口と蒔田を並べて配したという事実そのものだ。是枝の現場は役の余白を俳優の身体に委ねる傾向で知られる。その余白を、出口と蒔田の二人ぶん預けた配役判断には、これまで並んで主演を重ねてきた出口の蓄積が確かに効いている。

Netflixで森七菜の隣に座った舞妓から、是枝裕和の現場で蒔田彩珠の隣に立つ漫画家まで、隣で背負う仕事の難度はずっと上がってきた。その到達点が、ここに置かれる。

どこでも呼ばれて立つ現在地

2026年8月公開の映画『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』千代役は、前作『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』からの続投だ。新城毅彦監督の松竹作品で、若き日の千代を再び演じる。

同じ役で再び呼ばれるのは、稀少な信頼である。2026年はフジテレビ系月9『サバ缶、宇宙へ行く』でも菅原奈未役として北村匠海主演・神木隆之介共演のレギュラーに名を連ねた。主演映画に映画の続編、月9のレギュラー。モデル出身の女優が、映画・配信・地上波を行き来しながら、隣で背負う仕事と単独で呼ばれる仕事を同時に進めていく。次に誰の隣で背負うのか、そして主演をどう積んでいくのか。ここから先が、面白いところに入っていく。


※記事は執筆時点の情報です

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