1. トップ
  2. マンガ
  3. ロボット掃除機が義母をゴミ判定? ブチ切れされるかと思いきやまさかの展開。まったく陰湿ではない嫁姑マンガが面白すぎる【書評】

ロボット掃除機が義母をゴミ判定? ブチ切れされるかと思いきやまさかの展開。まったく陰湿ではない嫁姑マンガが面白すぎる【書評】

  • 2026.5.22
ヨメトメ☆にっき~専業主婦歴30年の姑との日々~ 桃聖純矢/講談社
ヨメトメ☆にっき~専業主婦歴30年の姑との日々~ 桃聖純矢/講談社

【漫画】本編を読む

人間関係は、近すぎても遠すぎても難しい。ほんの一言や、ちょっとした習慣の違いがきっかけで、亀裂が入ることもある。それが嫁と姑の関係ともなれば、距離の取り方はさらにややこしい。そんな繊細な関係を、思わぬ方向から笑いに変えているのが、『ヨメトメ☆にっき~専業主婦歴30年の姑との日々~』(桃聖純矢/講談社)だ。

在宅ライターの遥香は新米主婦。夫と東京の下町・文京区根津にマイホームを建てたばかりだ。しかし家の向かいにあるのは、なんと夫の実家! 専業主婦歴30年の姑が目の前で暮らしている。時短家電や冷凍食品を駆使する令和の嫁と、丁寧な暮らしを営む姑。全面衝突は避けられないかと思いきや、始まったのは意外な形での「姑攻略」で……⁉

「嫁姑もの」と聞いて、陰湿ないじめや報復劇を浮かべ、身構えてしまう人もいるだろう。しかし安心してほしい。本作は、読者の先入観を気持ちいいほど裏切ってくる。姑ことお義母さんは、背筋の伸びた凛とした女性。朝早くから家事をこなし、料理では出汁から取るという徹底ぶり。一方で遥香は、現代のテクノロジーやサービスを駆使した“時短家事”を目指している。

いかにも反発しそうな組み合わせだが……このふたり、「戦わない」のだ。いや、正確には戦っている。ただし、声を荒らげたり、嫌味を言い合ったりはしない。ふたりが火花を散らすのは、最新の家電やサービスをめぐる“プレゼン合戦”だ。

物語は、お義母さんが遥香の家を訪れるところから始まる。しかしその直後、ロボット掃除機がお義母さんを“ゴミ”と判定してしまう。これはまずい、と身構える遥香。ブチ切れるかと思われたお義母さんだったが、どうやらロボット掃除機に興味がわいたらしい。無関心を装いつつ、気になって仕方がないようだ。その様子を見て、遥香はすかさず「いかに便利か」を語り出す。

もっとも、長年家事を担ってきたお義母さんにとって、時短グッズに頼るのは簡単ではない。手間をかけてきた分だけ、譲れない部分もある。その気持ちを理解したうえで、遥香は“お義母さんに刺さるポイント”を見極めながら言葉を重ねていく。

便利さを巧みにアピールする遥香に対し、真剣な表情で冷静に切り返していくお義母さん。だが内心はぐらぐら揺れていて、そのギャップがおかしくてたまらない。シリアスと見せかけて、一コマで崩す間も絶妙だ。あっさり陥落するのでは……と思いきや、この姑、意外と手ごわい。納得すれば取り入れるが、そうでなければ無理には変えない。だからこそ、「次のアイテムはどこに食いつくのか」と楽しみになっていく。

たとえ面倒でも、大事にしたい部分は守る。そんなお義母さんの気持ちを汲み、遥香も引くときは引くと決めている。この絶妙な距離感の描き方が、本作最大の魅力だ。価値観が真逆でも、無理に押し付けない。相手の話はちゃんと聞き、否定しない。そんな心地よいやりとりが、ロボット掃除機や宅配フードといったアイテムを軸に繰り広げられる。

下町の片隅で繰り広げられる、優しくて笑える新感覚嫁姑コメディ『ヨメトメ☆にっき~専業主婦歴30年の姑との日々~』第1巻は5月22日発売。ふたりの静かで熱い応酬を眺めているうちに、他人との「ちょうどいい距離」のヒントが見つかるかもしれない。

文=倉本菜生

元記事で読む
の記事をもっとみる