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【二十四節気ガイド】小満とは?意味・由来、七十二候と時候の挨拶

  • 2026.5.21
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日本古来の自然のリズム、二十四節気と、5日でめぐる日本の季節、七十二候をはじめ、旧暦の日付や雑節のお知らせです。

【皐月の和の暦】
小満 しょうまん|二十四節気──5月21日~6月5日
蚕起食桑 かいこおきてくわをはむ|第22候──5月21日~25日
紅花栄 べにばなさかう|第23候──5月26日~30日
麦秋至 むぎのときいたる|第24候──5月31日~6月5日

和暦コラム「水口(みなくち)」──和暦研究家 高月美樹

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小満 しょうまん|二十四節気

[小満]──5月21日~6月5日
【旧暦】
──4月5日~20日

「小満」とは?-生命の輝きが自然に満ちるころ

気温が高くなり、植物の生長や虫たちの躍動に生命の輝きを感じるころ。節気名は、万物がすくすくと育ち、生命が満ちていくことに由来しています。

和の暦の「夏」は初夏→仲夏→晩夏と3段階で進みます。立夏と小満の時季は「初夏」。さわやかで過ごしやすい季節です。*記事の最後の暦図もご参照ください。

[初夏]──5月5日~6月5日

[時候の挨拶]
この時季によく使われる挨拶文です。

向暑の候 こうしょのこう
緑風の候 りょくふうのこう
新緑のみぎり しんりょくのみぎり

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蚕起食桑 かいこおきてくわをはむ|第22候

[蚕起食桑]──5月21日~25日
【旧暦】
──4月5日~9日

孵化(ふか)した蚕が桑の葉を食べて育つころ

七十二候では、この日から「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」になります。

孵化(ふか)した蚕が、桑の葉を盛んに食べて成長するころ。サワサワと、たくさんの蚕がたてる食音は小雨のようといわれます。ちなみに、蚕は家蚕(かさん)とも呼ばれ、絹糸を目的に家畜化された昆虫。野生には生息しません。



[皐月の季語]
糸取り(いととり)
春になって蚕が目覚めると、養蚕の作業が始まります。卵からかえった蚕が育ち、3週間ほどで繭を作ると、湯に入れて煮て、糸をたぐって糸車で巻き取っていきます。その作業を指した季語です。同じ時季の季語に、「繭煮る」があります

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紅花栄 べにばなさかう|第23候

[紅花栄]──5月26日~30日
【旧暦】
──4月10日~14日

紅花が一面に咲きはじめるころ

七十二候では、この日から「紅花栄(べにばなさかう)」になります。

古くから染料や生薬として使われてきた紅花。紅花の花びらには2つの色があるのをご存じでしょうか。花びらの上のほうには水に溶ける黄色、下のほうには水に溶けない赤い色素があります。紅の染料は水に溶けない赤の色素から作られます。紅花の濃厚な色合いは夏を感じさせます。



[皐月の銘]

藤の花ぶさふじのはなぶさ
爽やかな青空を背景に、紫の花を連ねる藤が目を惹く季節。垂れ下がる花房の美しさを印象的に詠んだ和歌として、正岡子規が病床から花瓶に生けた藤を仰ぎ見て詠んだ「瓶にさす藤の花ぶさみじかければたたみの上にとどかざりけり」があります。

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麦秋至 むぎのときいたる|第24候

[麦秋至]──5月31日~6月5日
【旧暦】
──4月15日〜20日

収穫期を迎えた麦が、畑を黄金色に染めるころ

七十二候では、この日から「麦秋至(むぎのときいたる)」になります。

麦は初夏に収穫期を迎えます。「麦秋(ばくしゅう)」とは実りの季節の意味で、収穫の時季を「麦の秋」と呼ぶようになりました。この時季に強く吹く風を「麦風」、降る雨を「麦雨」といいます。



[皐月の季語]
走り梅雨(はしりづゆ
例年、5月下旬に沖縄が、6月に入ると本州でも梅雨に入ります。「走り梅雨」は梅雨に入る前のぐずつく天気を指します。「迎え梅雨」とも。一方、梅雨の終わりかけに激しく雨が降ることを「送り梅雨」というなど、 梅雨に関することばは数多くあります。

Mamoru Muto/Aflo / Getty Images

和暦コラム|水口(みなくち)

田植えの季節になりました。ウツギ、タニウツギ、ツツジなど、この季節に咲く花は苗代花(なわしろばな)と呼ばれています。

種もみをまく日、田んぼの水口に、御幣(ごへい)や季節の花、木の小枝を挿し、種もみの残りで作った米を、焼き米にして供える風習があります。近所の山野でとれる季節の花は、山の神から田の神を降ろすための依代(よりしろ)。農家ごとにひっそりと行われ、花の種類は上記の他、山吹、栗の花、杜若(かきつばた)、アヤメなどさまざまです。決して豪華なものではなく、楚々としたものですが、水が引かれたばかりの静かな田んぼに、ポツンと煌めく宝石のような花の姿になんともいえない美しさを感じます。花や植物の持つ波動が、田んぼ全体に広がっていくようにもみえます。

ちなみに、お供えの焼き米やお餅は早々に鳥たちに食べてもらい、秋の収穫物を荒らさないように祈るそうです。日本には他にも似たような風習があります。正月三が日のあいだ、日頃は迷惑なねずみをあえて嫁が君と呼んでご馳走を与えたり、正月七日のカラスにお米やお餅を投げ与えたりします。ねずみは大黒様のお遣い、カラスは山の神ということになっていますが、人間と動物の豊かな共生が感じられる伝統です。

長い年月の中で育まれてきた習俗は、近代の私たちが忘れてしまった「譲り合う」という大切なことを伝えてくれているように感じます。「清明」の回で書きました燕は世界中で幸福を呼ぶ鳥として親しまれていますが、穀物を荒らさず、害虫を食べてくれる益鳥として農家でも喜ばれました。花の精霊で水口を祀ることも自然の恵みをいただき、命にあるものに宿る神意を信じていたからこその風習といえるでしょう。

暦生活「和暦コラム by 高月美樹」より

Courtesy Image / Hearst Owned

二十四節気とは

太陽が1年でひとまわりする道を「黄道」といいます。

二十四節気は、太陽が真東から昇り、真西に沈む「春分」を起点に、黄道を24等分したもの。

1年を約15日ごとに区切り、「立春」をスタートに、「雨水」「啓蟄」「穀雨」など、刻々と変化する自然を漢字2文字で表現しています。

春夏秋冬の区切りを意識させてくれる言葉として、時候の挨拶や手紙の書き出しにも使われます。

FUJINGAHO

七十二候とは

二十四節気をさらに3つに分け、約5日ごとに名前をつけたもの。

七十二候は、もともと古代中国で生まれたものといわれています。やがて日本に渡り、江戸時代の暦学者が、日本の気候に合わせて改訂しました。

気候は地域やその年によって違いますが、四季の風情を楽しむ目安になってくれることでしょう。

監修・協力

高月美樹
たかつきみき●和暦研究家。婦人画報付録のダイアリーの暦全般と月の満ち欠けを監修。旧暦手帳『和暦日々是好日』を毎年制作・発行し、日本古来の知恵や美意識を生かした暮らしを提案。 LUNAWORKS主宰。

桂 裕子
かつらゆうこ●茶道裏千家正教授。季語と季節の銘を監修。東京・大田区にて茶道教室を主宰。小学館『にっぽんの図鑑』でも「ちゃのゆのこころ」部分などを監修。TVCM監修、ベラルーシをはじめ国外数カ国での茶道講習、紹介も行う。

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